「EUって何?」イギリス国民の多くが分からずに投票 離脱に後悔している

イギリス全土で行われたEU離脱か残留かを決める先日の国民投票の結果、離脱派が過半数を占め、同国はEU離脱交渉に入ることとなった。しかし、投票結果が出た後にグーグルの検索でEUに関する質問で最も多かったのは「EU離脱が意味することは?」で、以下「EUとは?」「EUの加盟国は?」「EUを去ると何が起こるのか?」「EU加盟国の数は?」となった。

つまり、イギリス国民の多くは一体EUが何だったのか分からずに「離脱」に投票した可能性があるということだ。そうしたこともあり、イギリスでは残留のため、再投票を求める動きが生まれ、議会には再投票を求める署名が殺到し、その数360万超となった。議会で検討するのに必要な10万人を超えているものの、今回再投票にはならない見込みだという。


果たしてイギリス国民は何を思い、今回の投票行動に出たのか。イギリス事情に詳しい慶應義塾大学法学部教授の細谷雄一氏が27日、AbemaTVの報道番組『AbemaPrime』に出演し、解説した。離脱に投票しなかった方が良かったと後悔している人がいる現状についてはこう語った。

「そうです。よくわからないまま投票しました。衝撃の大きさに後悔が広がっているというのが現状です。EUにいるメリットはたくさんあります。加盟したい国はたくさんあります。イギリスもEC(EUの前身)加盟まで12年かかりました。国内にいると、国外の悪いことは外の責任だと言いたくなるものです。アメリカではトランプ氏が『メキシコ人が悪い』、という。イギリスも失業とかあると『EUが悪い』ってことになるのです」


ここで、細谷氏は前出のグーグル検索についての見解と、辞任を表明したデヴィッド・キャメロン首相の後任として有力視されている前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏についても解説。

「EUのことをよく分かってなかった人が少なくなかった? その通りです。ほとんどの人がイメージで投票していたのです。離脱派のボリス・ジョンソンはカリスマ的な指導者です。彼にひきずられました。しかし、彼は元々残留派だったんですよ。

キャメロンは彼の中学からの知り合いです。3つ年下なのに、先に首相になられたのが悔しい。じゃあ、次に首相になるにはどうするかってことで、キャメロンの反対を主張すれば(次のリーダーになるのは)手っ取り早い。しかし、EU離脱について彼の言っていることの嘘が後で分かったのですね。失望したとか裏切られたという声があります。普段の議会選挙であれば、見識がある政治家が議論をして正しいことを検討します。でも、国民投票だったらその日投票所行く時にスマホなどを見て気分で決めてしまう。大きな問題だと思っていなかったのですよ」


また、番組コメンテーターの堀潤氏はジョンソン氏に取材をしたことがあるというが、日本に対する見識で誤りがあり、それを記者から指摘される場面もあったという。そんな人物の、その空気に国民が流されたのでは、と意見した。

また、番組には中継にて、横浜にあるパブのイギリス人経営者も登場。同氏によると、「彼等は実際理解してなかったんだろうね。だから離脱に投票し、結果が出て『オーマイガッ!』という状況なった」とのことだ。


こうした話を受け、細谷氏は「EUについてはよく分からないというのが率直なところ。得なのか損なのかが分からない。離脱に入れた人は、国のことを外国人に決められたくないってのがある。日本は安倍首相がいる。EUで一番偉いのは誰? 誰かというと、ポーランド人のトゥスク氏なんですよ。そして理事会、委員会が決定する権限を持っています。誰がどこで何を決めているか分からない。イギリス人は自分達の未来を決めたい、となる」と説明した。


また、イギリス在住ジャーナリストの小林恭子氏は、イギリス人は外国人にものごとを決められるのがイヤだという風潮があるとしたうえで、高齢者に離脱派が多かったのは大英帝国の記憶もあり、1973年にEC入る前のことを知っているからでは、と分析。若者はEUしか知らないが、高齢者は前の時代を知っているため、離脱してもなんとかなると確信していたのでは、と述べた。


また、現在はSNSや路上でポーランドやチェコ出身の人々に対するバッシングやいじめが報告されており、国内を分断する結果になったことを小林氏は嘆いていた。


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