7月2日(土)から公開される『それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ』。今回、ゲスト声優としてロボット・ナンダと、海の主・ヌラの声を担当した人気漫才コンビ「中川家」のお二人に、『アンパンマン』の命題とも言うべき質問を投げかけ、『アンパンマン』作品の魅力と本質に迫りました。『アンパンマン』の思い出話からお二人が好きなカバおくん愛があふれでた前編に続き、後編ではいよいよ確信に迫ります。
画像左の緑のキャラクターが中川家・剛演じる海の主、ヌラ。中央のロボットが中川家・礼二演じる、ナンダ。手前が同じくゲスト声優を務める波瑠が演じる本作のヒロイン・ルンダ。
――『アンパンマン』は子どもたちのヒーローですが、お二人にとってのヒーローとは?
剛:僕らにとっては、漫才師がヒーローというか。
礼二:あぁ、確かにそうでしたね。
剛:寝ても覚めてもという感じでしたね。ちょうど、漫才ブームが来た頃だったんで。僕たちの親戚のお兄ちゃんとか親は、漫才師を馬鹿にした感じで見てましたけど、僕らにとってはカッコよく映ってて、「芸人様」っていう感じでしたね。ただ、この世界に入って、初めて先輩に挨拶したときは、ほとんどの人がロビーでパンツ一丁で寝てたんで、「夢壊さないでください」って言いましたけど(笑)。
礼二:ほんと、「カッコいい」っていう目で見てましたからね。
剛:芸人のシール持ってたもんね。鉛筆とか。
礼二:「人を笑わせるって、カッコええな」って思ってたんですよね。子どもながらに。
――具体的に、「芸人様」と感じたきっかけというのはありましたか?
礼二:小学校低学年の時に、生で舞台を観たんです。やっぱり、生で観たときの客席の歓声とか、テレビで観てるイメージとは違って、芸人さんがすごく光輝いて見えたんですよ。ウワァっていう拍手なんて、普通聞かないじゃないですか、小学生は。それを初めて聞いたときに感動して。芸人さんが言ったことに、お客さんが大爆笑してるっていうのが、最初の衝撃でしたから。
剛:僕の場合は、舞台に出てる芸人さんとトイレでたまたま会って、思わず顔見たら表情が全然違ったんです。それ見たときに、「あ!」って気づいて、ちょっとカッコええなと感じたんですよね。普段と顔が違うっていうことは、「これ職業でやってるんや。それでお金もらってんねんや、なるほどな」っていう。あと、威圧感ですね。舞台の上ではニコニコしてる芸人さんが、間近で見るとちょっと、「お~」っていうね。オーラというか、そのギャップがちょっとカッコいいなと思ってしまったんです。
――実際に、お二人も「芸人」というヒーローになられた感想はいかがですか?
礼二:いやぁ、さすがに(ヒーローに)なれてるとは自分らでは思わないですけどねぇ。子どもの頃、親戚のおっちゃんとか笑わしてて楽しかったんで、ゆくゆくはこういうのが職業になったらいいなぁと思ってやってて、いま、芸人にはなれてますけど……。
剛:ただ、子どもに見られると緊張するんですよね。ごまかしがきかないから。
――お二人が子どもの頃に感じていたように、子どもの目はだませない……と。
礼二:そうですね。いやぁ、はっきりしてますよ。考えてみたら、一番厳しいかもしれないですね。
剛:面白い、面白くない、がはっきりしてるから。
礼二:大人って、多分面白くなくても我慢して、「面白い」っていう顔して見てくれてると思うんですよ。でも、子どもにね、一番やられるのが嫌なのは、こういうやつ(と言いながら、椅子に座ったまま完全に背もたれにもたれて、天を仰ぐポーズをする)。
剛:あぁ、もうダメですね!!
礼二:もう、わかりやすいでしょ! あぁ、このネタ、ダメなんだ……って。その場で見て、すぐわかるっていう。厳しい(笑)。
剛:正直ですよね~。
礼二:本当に。
――そういう意味でも、子どもたちの心をずっと捉えている『アンパンマン』というのは、やっぱり本物っていうことですよね。
礼二:いやぁ、そうでしょう。これは。
剛:もう、ずっとですもんね。
――このブレなさ加減は本当にすごいですよね。
剛:いやぁ、ばいきんまんも、結構義理堅いですからね~。
――ばいきんまん、も?
剛:DVDで見たんですけど、どっかの星の女王様が来て、ばいきんまんがすごいよくできるから、「私の星に来てくれへんか? 好待遇で」って。
――笑。引き抜きされたんですね。
礼二:そうですね! ヘッドハンティング!!
剛:で、ドキンちゃんが、本当はばいきんまんが居なくなるのは悲しいのに、そんな素振りを見せないようにしてるけど、ばいきんまんは、そのドキンちゃんの顔を見て、「あ、これは、俺があっちに行ったら、多分この子は悲しむ」って、引き抜きの話を断るんですよ。「お前みたいなのに付いていくかボケェ」って急に言い出すんです。
礼二:なんか、いい話ですね~。
※編集部注:ここで語られているのは、おそらく2005年公開の劇場版併映『それいけ!アンパンマン くろゆき姫とモテモテばいきんまん』のエピソード。ばいきんまんが主役となっている短編作品です。
▲今作でも、ばいきんまんはもちろん健在。相変わらず悪さを働きます。
――今回の作品でも、ルンダがアンパンマンに「なんでそんなに頑張れるんだ?」と聞くシーンがありますが、お二人は、『アンパンマンのマーチ』の歌詞に出てくる「なんのために生まれて なにをして生きるのか?」という究極の命題に、どのようにお答えになりますか?
礼二:何のために生きているか!? う~ん、そうですねぇ。
剛:お笑いの世界に足を突っ込んだ以上は、笑ってもらうために生きてるのかなぁ。
礼二:「笑わしたい!」ってことだけですかね。
剛:もう、それしかないですもんね。それなくしては、僕ら、何にもないですから。
――最後に、お二人にとって『アンパンマン』の魅力とは?
礼二:さっきもちょこちょこ出てましたけど、純粋さというか、何もけがれてないところというか。いまの世間と真逆なところがすごいなと思いますね。たとえ一瞬でも嫌なことを忘れられるから、意外と大人が観たほうがいいかもしれない。自然とストレス解消になってるかもしれないですよ。なんか、没頭できるっていうかね。大人にとっちゃ簡単な物語だからぼーっと観られるし。子どもはもう、夢中になって観られるし。
剛:『アンパンマン』って、結構感動するし、大人もはまるんですよ。DVDでもちゃんと最後に「これを観たら片付けようね」とか言ってくれますからね。歯磨きから、国語や英語まで、『アンパンマン』が全部教えてくれるんですよ。
礼二:仕上げは「アンパンマンこどもミュージアム」に連れて行って、パン買って帰るっていうね。
剛:本当に、よくできてますわ。
――本日はありがとうございました!
「なんのために生まれて なにをして生きるのか?」
この問いに、あなたなら、なんと答えますか? その答えの1つが、本作にて描かれています。ぜひ子どもたちと一緒に、劇場で楽しんでほしい作品です。
取材・文/渡邊玲子
取材・編集/加藤真大
『それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ』
7月2日(土)元気100倍ロードショー
(c)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
(c)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2016
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