【EURO2016】スタジアムでサポーターが歌っているあの名曲の秘密

現在トーナメント進出に向けての試合が激化している『サッカー・EURO 2016™ フランス大会』。試合中ヨーロッパの多くのチームサポーターがチャントとして使用している曲がある。ザ・ホワイト・ストライプスの「セブン・ネイション・アーミー」だ。たとえ曲名が判らなくても低音エフェクトが耳に残るギターリフのメロディに聴き覚えのある人も多いことだろう。

もはやホワイト・ストライプスよりもギタリストでシンガーのジャック・ホワイトの名の方がすっかり有名になってしまったが、2003年に発表されたこのアメリカ・デトロイト出身のグループのナンバーは、2008年のEURO大会では選手入場曲として採用されるなど瞬く間に世界のサッカーアンセムとして昇格。そこに至るまでの広がりは作為的なタイアップというよりも自然発生的な盛り上がりだった。


諸説はあるが元々は、2003年10月ベルギーのクラブ・ブルッヘのサポーター集団「ブルーアーミー」がACがミランのホームに乗り込んだ時にこの曲をミラノのバーでチャントとして採用したのが最初だと言われている。この試合でブルッヘは前半33分アンドレス・メンドーサのゴールを守りきり1-0で勝利。ジャイアント・キリングを完遂したチームにサポーターたちは熱狂し「セブン・ネイション・アーミー」を合唱していたという。


この曲を収録していた『エレファント』がリリースされたのが2003年の3月だからリリース僅か半年。この曲をチャントした男たちがホワイト・ストライプスのファンだったのかは定かではないが、彼らサポーターグループの名前ブルーアーミーとの語呂の良さや、歌詞の冒頭「やつらなんて蹴散らしてやる。もし7カ国軍が攻めてきても、そんなもんじゃ止められないぞ」という内容がアウェイゲームに挑む景気付けに格好の曲だったのだろう。その後ブルッヘ・サポーターはイタリアでの熱狂を本国に持ち帰りホームゲームのゴール・テーマに採用した。

ベルギー人サポーターによってイタリアで歌われたこの曲は数年後、イタリア人の手によって2006年のワールドカップのアズーリの勝利の行進曲として見事にパクられた。その経緯も面白い、2006年2月UEFAカップの試合でブルッヘを訪れたローマー・サポーターたちは、地元ファンの歌うチャントが耳に残ってしょうがなかったというが、それはプレイしていた選手たちも同じことを考えてたようだ。ローマの主将、フランチェスコ・トッティはあまりに気になり過ぎてその後ホワイト・ストライプスのアルバムを買ったことを後に明かしている。


その数ヶ月後、ローマの街ではフランスに勝利しワールドカップを征したアッズーリたちを祝うためにイタリア人たちがこの曲を合唱していた。

その後、マンチェスター・ユナイテッド時代のロビン・ファン・ペルシーの応援チャントの替え歌や、2013年のNBAファイナルのマイアミ・ヒートのテーマ曲などスポーツイベントで必須となる。

世界中のスポーツ応援をするマーチングバンドがアレンジし易かったことも急速に広まった原因だと、ホワイト・ストライプスの著作権管理をするベン・スワンクは証言している、実際マーチングバンド用にアレンジされたスコアは、サッカースタジアムでの絶大な人気を得たあと飛ぶように売れたという。

今や、サッカーアンセムという枠を超えて、アメフト、アイスホッケー、野球など様々な場面でサポーターたちが合唱するようになった「セブン・ネイション・アーミー」。実はベルギー人のサポーターたちがほろ酔い気分で13年前つい口ずさんだのが事の始まりだったと考えると感慨深いものがある。

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