町山智浩が語る「オーランド銃乱射事件が大統領選挙に与える影響」

アメリカ・フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日未明、オマル・マティーン容疑者が銃を乱射し、50人が死亡、53人が負傷した。マティーン容疑者は30人ほどの人質を取って立てこもったが、警察の特殊部隊に射殺された。ナイトクラブには300人以上の人がいた。

この日のナイトクラブではゲイ関連のイベントが行われていたが、マティーン容疑者は生前、男性同士がキスをしていることに腹を立てていたとのことで、同性愛になんらかの嫌悪感を抱いている可能性があると家族が語っている。そして、イスラム国に忠誠を誓っていると911(警察)にマティーン容疑者は伝えており、その後イスラム国が事実上の犯行声明を出した。なお、マティーン容疑者は警備会社で銃の取り扱い訓練を受けていた経験を持っているという。


この件について、13日に生放送された報道番組『AbemaPrime』(AbemaTV)では、ジャーナリストの丸谷元人氏と在米コラムニストの町山智浩氏が、事件の背景とこれからのアメリカに与える影響、そして米大統領選に与える影響について語った。



まず、今回のイスラム国の関与について、丸谷氏は疑問視を持っているという。

「彼らはこうしたテロが成功した後に『やった』と言う。死人に口なしみたいな話ですね。言ってしまった者勝ちです。ただし、どこで犯人が資金を得て、武器を手に入れて訓練をしたか、に興味があります。わずかの時間で50人を殺し、53人をケガさせるのは、プロの軍人でも難しいものでしょう。武器を持つと人をすぐに殺せると思うが、実際はそうではない。この人は世界最大級の民間軍事会社にいたようですが、下っ端なので、いったいどこで訓練をしたのか、と思います」


その一方、町山氏は逆の見方をする。「今回の件は、銃の問題が大きいです。合法的に手に入れたあの銃では、訓練を受けていなくても、100人でも殺せます」と語った。さらに、今回の件については意識の問題ではなく、政治の問題が存在するともいう。


アメリカの共和党を支援している組織の一つに「全米ライフル協会」がある。共和党は上院・下院をともに支配しており、彼らは銃の入手について、精神鑑定や過去の犯罪歴を調べた上で、問題のある人に銃が行き届かない法律に反対していると説明。国民全体では共和党支持者は30%ぐらいで、銃の所持に反対している人は多いものの、共和党が議会を支配しているだけにそうした規制にまつわる法律が通らないという。


月曜番組コメンテーターの堀潤氏は、「アメリカでも、いわゆる人種差別とかがクローズアップされる事件が相次いでいます。一方で経済格差もクローズアップされている。『ホームグローン』と呼ばれる国内で要請されていくテロリズムがありますが、これへの市民の反応・警戒はいかがでしょうか?」と町山氏に聞いた。これに町山氏はこう答える。


「これをテロと捉えるのは間違いです。これはゲイのコミュニティから上がっている意見。今回ゲイクラブで行われていたのは、『ラテンナイト』です。キューバ系やヒスパニック系の参加者が多い。二重に差別されている人が集まっているところを攻撃した。今回の犯人はアフガニスタン二世。それでイスラム系のテロとみるよりは、ゲイに対するヘイトクライムと見た方がいいというのが、被害に遭った人達の同世代の意見ですね」


このように同性愛者に対する差別が現れた事件と言えるそうだが、アメリカで同性婚は認められており、人権意識が進んでいるようにも感じられるのだが、実際はどうなのか。ここで町山氏は米大統領選についても言及した。話はイスラム教徒に対して敵意をむき出しにする共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏についてだ。


「半分以上の人が同性婚には賛成しています。追い込まれて少数派になっている保守的な白人がトランプ支持に回っています。今回の事件を受けて、トランプが『私が言った通り』と言っている。自分を正当化するために今回の件を使っている。この事件は政治的に利用されています。トランプが『イスラム教徒を入国させるな』、などと言いました。最近LA郊外でイスラム教徒による銃撃事件もありましたが、あれはアメリカで生まれ育った人によるもの。アメリカで生まれ育った人を(外国から)ネットで洗脳していると言われるが、あくまでアメリカ国内の問題です。ゆがめて排外勢力に利用しようとしているかもしれない」


今後の選挙については、民主党の有力候補のヒラリー・クリントンとトランプの両氏が事件を利用する形になっていくとの展望を町山氏は示した。トランプ氏はこのようなテロがあるから、国民が銃で身を守る必要があると言うことでライフル協会から支持される。民主党は、「ヘンな人に銃が回らないように、精神鑑定をするべきだ」と主張する。一つの事件を両陣営が利用し合い、選挙を有利に進めようとするのでは? と見解を示した。


「AbemaPrime」は毎週月〜金曜日 20:00〜21:50「AbemaNews」チャンネルにて放送中

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