80時間を超える残業は死の危険 過労死と過労自殺の実態

日本の過労死問題について、海外メディアからの注目が高まっている。「過労死ライン」と呼ばれる1ヶ月80時間超の残業のある企業は、22.7%で、従業員1000人以上の企業の場合は56.9%にもなるという。長時間労働者(週50時間以上)の割合は、日本が31.7%、イギリスが12.1%、アメリカが11.1%、フランスが9.0%、カナダが3.9%となり、圧倒的に日本が多い。また、厚生労働省の調査によると、2014年度は過労死数の認定件数が121件、過労自殺数は99件となっている。


これらの現状について、健康社会学者の河合薫氏は、AbemaTVの報道番組『Abema Prime』にて、過労死リスクの実態と対策を紹介した。

「過労死リスクが高まるとする時間外労働のボーダーライン――80時間を超える残業は死の危険があります。5社に1社の割合で、堂々と過労死ラインを超え、許している実態があり、命の搾取という実態があります」

これを受け、コメンテーターを務める日経BP社の柳瀬博一氏は「私が入社した年は過労死が話題になった1988年。男性がサラリーマン中心。その後非正規雇用が増えた。当時、60時間働いていたのが、今は50時間。正規の男性社員の場合は、実は当時よりも働いている。勝ち組のように思われているが、かなりきつい」と、正社員の場合はバブル期前夜の好景気の時期よりも今の方が問題だと述べている。

これに河合氏も同意。非正規労働者が増えたので、トータルが減っているように見えるが、実際は増えているかもしれないとの見解を述べた。河合氏によると、そもそも過労死というのは、心筋梗塞や脳梗塞により死に至るもの。また、鬱状態になり、自殺をすることもそうだ。「80時間」という基準は、そういった状況になった人を後に検証してみると、2か月前までの残業時間が80時間を超えていたことが多かったため。だが、たった1ヶ月でも100時間を超えたらそういう状況になりやすいというデータもあるそうだ。


そして、実際には、目に見えていないサービス残業は中小企業の方が多いのだとか。というのも、中小企業は発注元から「納期に間に合わせるのが無理なら、他に仕事を出すよ」と言われ、何としても請けざるをえなくなってしまうから。また、河合氏は過労死はもはや身体と精神が悲鳴をあげている状況とも説明。

「過労死と過労自殺の件数はあくまでも申請されているものです。遺族は自殺は言いにくいもの(だからもっと多い可能性はある)。亡くなる直前まで疲れているという自覚がない。残業を強いられている中、身体の見張りのセンサーからの『休みなさい』というメッセージが伝わらない。『つらいとかはない』と言う人もいますが、それが危険。見張りのセンサーが指令を出さないんです。忙しいのに慣れちゃったって時が危ない。メッセージが出ないだけで、心も体も蝕まれています。経営者も休ませなくてはいけない」


そして対策としては、「朝夜メール」が有効だという。これは、職場の人々にメールで朝のうちに仕事量を伝えること。これを同僚らが見ることにより、仕事量で配慮をしてくれたり会議時間を減らしてくれる効果が期待できる。

また、河合氏は、ノー残業デーの時に、マントを着用することを義務付けている例を紹介。残業規制をしようにも、個人に対して「長く働いてはダメですよ」と言うだけでは変わらない。むしろ、こうした取り組みをすることで、会社の空気を変えていくことの方が重要なのだ。

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