消費増税を先送りへ 賛成・反対両派の専門家の根拠とは

安倍晋三首相は、消費税の10%への増税を元々の公約であった2017年4月から、2019年秋まで延期する方針を明らかにした。この判断について、30日に放送されたAbemaTVの報道番組『AbemaPrime』に延期について賛成・反対両方の観点から経済の専門家が登場し、その根拠を述べあった。

延期賛成派は、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏で、反対派は、慶應義塾大学大学院准教授の小幡績氏。

永濱氏は、「増税の必要があるのかないのかよりも、上げられない状況にあります。消費税を上げる時って、景気が持続的に拡大している勢いがある時でなくてはダメなんです。前回8%に上げた時も、アベノミクス効果があったのに、経済が上がったり下がったりしてしまった。今はチャイナショックもあり熊本地震もあったので、このタイミングでは難しい」と述べた。

小幡氏は「増税すれば景気が下がるってのはありますが、いつ上げてもそうなので……。となれば、永遠に上げられないので、上げるのなら一日でも早い方がいい。どんどん追い込まれていき、むしろこれから悪くなるんじゃないですか? 最低でも消費税は20%は必要と言う人もいます。中には35%だと言う人もいます。中間でいくと、20〜25%だと言われていますが、どちらにせよそこに向かうのであれば、上げるのが早い方が痛みが広く薄くってことになります」と語った。

これに対し、永濱氏は、現在はデフレから脱却できていない状況で、経済の供給力があるにもかかわらず需要が不足している状態だと説明。増税よりも前に、経済をまずは正常な状態に持って行く必要があるということだ。つまり、経済を回復させようにも、増税することは、その回復に冷や水をかけるという主張である。

永濱氏は、これまでの日本経済の失敗には、少し上向いたところで増税をしてきた経緯があるといい、だからこそデフレ脱却ができないと指摘。まずはデフレを脱却してから増税すべきだという意見を述べた。決して増税に反対というわけではないが、今はそのタイミングではないということである。

これに対し、小幡氏は、増税と人々の心理についても言及した。

「国はお金が必要なんですよ。でも、皆払いたくない。だから『将来集めましょう』という話になる。将来、(自分ではない)別の人から集めましょうという考えです。自分でいっぱい持っていた方が、将来の人が困るんじゃないの? という意見は出るものの、『その時は世の中盛り上がってるんじゃないの?』と言って問題を先送りするのです」

また、安倍首相はサミットで現在がリーマンショックの前のような状態になっていると説明し、危機感を露わにしたが、永濱氏はこれに同意する点もあると語る。

「私はさすがに世界経済全体で考えるとリーマンショックレベルとは言えないと考えています。ただし、新興国といえば、中国やブラジルはリスクが高まっています。東日本大震災レベルではありませんが、熊本地震も起こり、深刻な被害が出ています。この二つは別々に考えれば東日本大震災級でもないし、リーマンショック級でもないけど、合わせればそのクラスになるのでは」

そのうえで、今日本はデフレを脱却できていない状況を「アリジゴクに落ちた状況」になぞらえた。だからこそ、消費増税で足を引っ張ると、またアリジゴクに足を引っ張られる状態になるので、まずは一旦抜け出すことを先にやるべきだと意見した。

小幡氏は「今はそこまで悪くもないです。リスクは常にあるもので、リスクってのは可能性です。いつ空から隕石落ちるか分からないから外に出ないってのは無意味です。失業率は、最低水準。完全雇用達成といえます。でも、景気の面では悪い。不満があるとすれば、日本の実力自体が下がっていることになるのでは」と述べた。

永濱氏は「完全雇用で実力通りと思う。私は逆」と反論し、小幡氏は「この20年で良かったことないでしょ?」と質問。永濱氏はデフレが問題だと意見した。話はその後財政出動の必要性にも移り、いずれにしても消費増税の時期については真剣な議論が今後も必要であることを改めて実感させる展開となった。


「AbemaPrime」は毎週月〜金曜日 20:00〜21:50「AbemaNews」チャンネルにて放送中

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