「心の終戦」被爆者の兄とトルーマン大統領の孫が交流 原爆の恐怖を伝える活動を行う

5月27日、伊勢志摩サミットのため来日していたアメリカのバラク・オバマ大統領(54)は、被爆地・広島を訪れて「核なき世界」などについて約17分間のスピーチを行い、被爆者と握手をし抱擁した。

このスピーチについて、28日に生放送されたAbemaTVの報道番組『みのもんたのよるバズ!』で、番組司会者のみのもんた氏(71)は「最初にどんな言葉で語るかと思った。『皆さんこんにちは』とか、『お日和も良く…』とかではなく。『71年前の雲一つない明るい朝、空から死が舞い降り、世界は変わった』と言った。謝る謝らないとかそいういうことではなく、アメリカの現職大統領がそう挨拶したのは、ある意味感激した。『恩讐の彼方に』という心がある。人間はどこかで善意の心を持っていなくてはいけない」と述べた。

そして、こうした「恩讐の彼方に」を実践した日本人とアメリカ人が過去の憎しみを越え、交流をしていることが紹介された。番組では、そのうちの一人である佐々木雅弘さんと中継を繋ぎ、オバマ氏の広島訪問についても意見を聞いた。

佐々木さんは、1955年に12歳で亡くなった被爆者で平和記念公園の「原爆の子」のモデルとなった佐々木禎子さんの兄。その佐々木さんは、当時、原爆投下を決断したアメリカ大統領のハリー・トルーマン氏の孫であるダニエルさんとの交流を続けている。オバマ氏の訪日時、佐々木さんはアメリカでダニエルさんとも会っていた。

オバマ氏の広島訪問について、佐々木さんは「率直に言うと非常に嬉しい」と述べ、ダニエルさんは「思いやりを示していたと思う」と評価。そして、みの氏の「禎子ちゃんの思いが大きく花開いたと思いますよ」という呼びかけにはこう答えた。

「恩讐の彼方、ですね。オバマ大統領の英断、と敢えて申し上げます。苦労もあったと思いますが、それを勇気に変える決断をされた行動は、私は被爆者としても、広島の人間としても、心から歓迎いたします。国の立場と個人の立場は違う。国の立場をもう少しお互い理解すれば、今後の行動において良い結果が出るのではないでしょうか」

そして、みの氏が「謝るとか謝らないとかありましたが…」と向けると、「ずっとこれはトルーマンさん――ダニエルさんと活動していますが、このオバマ大統領においでいただくにあたり、僕は条件をつけるべきではないと思っていた。つければつけるだけお出でになりにくい。謝られるのは、アメリカ大統領として謝るので、これに対して自発的に国民全体の理解を得なくてはいけないので、こちらから条件を出すべきではないと思った」と述べた。

また、オバマ氏が被爆者と握手をし、お互いをねぎらうかのように肩を叩きあったことについては「肩を叩いたことについては泣きましたね。私が生きている間に、こういう時代が来たのかと。あの笑顔だけで、笑顔を見た皆さんは許しあえたと思います」と語った。

元々、佐々木さんとダニエルさんが出会ったのは9・11アメリカ同時多発テロ事件の現場である「グラウンドゼロ」で2010年に開かれた追悼集会だった。この時の第一印象は「この方となら、これから一緒に運動して活動していけるなと思った」というものだったという。ダニエルさんは、この時の出会いについてこう語った。

「『広島と長崎に来てくれますね?』と言われ、私は『はい』と言いました。『私達は責めているわけではない。こうした被害は繰り返してはいけないと思っている』と言われ驚いた。そして『あなたに原爆のことを伝えてもらいたい』と言われた」

この時、ダニエルさんは原爆の悲惨さを世界に伝えようと決意し、以後、佐々木さんとの交流を続けてきた。ここで佐々木さんはこう語る。

「アメリカでは『ノーモア ヒロシマ』といえば、『リメンバー パールハーバー』と言われる。現実を見ると、教育も真反対です。原爆を落としたがために第二次世界大戦が早く終わった。原爆は日本・アメリカの犠牲者を少なくできたという。これを国是としています。これをぶつけあっていたら、お互いの意味でも終戦にもならない。友好という意味でも「心の終戦」という意味を追及しなくてはいけません。両国の教育の最前線で、変えなくてはいけないです。

ダニエルさんと私達は、日本の先生、アメリカの社会歴史学者を繋げる。この2つの考えの一段上の段階である「思いやり」という心がけに思いを馳せて、新しいステージを作れるのではないか。そのためには、相手の話を聞きましょう。その言葉が『私よりもあなた』『You, rather than me』という言葉です」

佐々木さんはダニエルさんとともに、アメリカでのトークショーに参加するなどし、人々に原爆の恐怖を伝えている。番組では、現在のアメリカの若者が原爆投下を正当化する考えが少なくなっていることを紹介。

佐々木さんは「今の世界を変えたいと思ったら、次の世代を担う日米の若者への教育が絶対に重要だと思う。今回、みのさんに取り上げていただいたので、多くの人に知っていただけたと思います。やはり、核兵器というものはいいことはありません」と語った。


『みのもんたのよるバズ!』はAbemaTVにて毎週土曜日20:00~21:50にて放送中

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