英バンドMUSEと鉄拳がコラボしたMV 感動だけじゃない力強い反戦メッセージ

イギリスのミューズが、最新アルバムからのシングル・カット「アフターマス」のミュージックビデオを公開した。新しいMVはパラパラ漫画の手法で描かれているが、この作風どこかで見覚えがある人もいるだろう、日本のお笑い芸人でイラストレーターの鉄拳が手がけているのだ。

鉄拳といえば、国内アーティストにも数多く作品を提供している、例えばRAM WIREの「名もない毎日」やSEKAI NO OWARIの「プレゼント」、馬場俊英「弱い虫」などどれも“心に響く”“泣ける”と出すたびに大きな反響を呼んでいるが、実は一番ミュージックビデオを制作しているのが、イギリスの人気バンド、ミューズの作品で今回が3作目となる。

ミューズのサウンドといえば、本国ではプログレやハードロック寄りの論調で語らるハードな音、一方で鉄拳の温かみのあるパラパラ漫画の作風、客観的に見てもややミスマッチな印象は否めないが、毎回ミュージックビデオを作るたびに、この二組の関係がより密接した良いコラボレーションになっている印象だ。


ミューズと鉄拳のコラボといえば最初は日本のテレビ番組の企画で「振り子」という大作のBGMでミューズの「Exogenesis Symphony Part III」を使用したのが切っ掛け。

ある夫婦の馴れ初めから、一緒に老いて行く人生を綴った作品で、特にバンドの許可を得たという訳でもなく、1ヶ月かけてパラパラアニメを作る深夜番組のいち企画に過ぎなかったが、YouTubeでの評判を耳にしたミューズが公式MVに「格上げ」した経緯がある。

続いて日本のワーナー・ミュージックが、鉄拳に描きおろしの依頼をし日本独自版として発表した「フォロー・ミー」。ヴォーカルのマシューが誕生する我が子に向けて書き上げた曲だった。


今回の「アフターマス」のミュージックビデオに関しては、日本限定MVにでもなければ、TV番組の企画映像でもない正真正銘のオフィシャル・ビデオ。

アルバム『ドローン』は、コントロールされた社会や戦争へのアンチテーゼが主なテーマのコンセプト作品であり、フロントマンのマシュー・ベラミーはある本からドローンを使用した大量虐殺の実態を知り「アメリカのオバマ政権などへの見方が大きく変わった」と本作を作った切っ掛けをインタビューでも明かしていた。

この「アフターマス」というタイトルは「戦後」というより、戦争の余波を受けて変わってしまった世の中という意味合いが強い。

一人の兵士の戦場での壮絶な戦場での体験や、がれきに立ち尽くし「敵」にもかつてあった平和な日常を想像し現状の惨状に葛藤しながらも前を向いていく姿を描く。平和を願いながらハッピーエンドで終わる「いい話」と捉えることも出来るが、鉄拳の柔らかな画風の中には力強い「反戦」メッセージが込められていて、悲惨な実写シーンなどを見せるよりもむしろ説得力がある。


鉄拳の作品は、歌詞の内容を深く理解するというよりも、曲に対して自分のイメージを投影させつつインスピレーションの赴くままに感動的な絵を紡いて行く印象だが、今回もその試みがピタリとハマっている。「アフターマス」という曲自体は、ドローンに操られた戦争の恐ろしさからの兵士の解放と帰郷を歌った曲だが、5分47秒のクリップの中で、アルバムの本質をさらりと解りやすく表現できている当たりからもミューズと鉄拳の関係「以心伝心」で、これまで以上に良い作品に仕上がっている印象である。

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