最新作『ガルム・ウォーズ』公開 『攻殻機動隊』など観ておきたい押井守作品5選

【『ガルム・ウォーズ』公開記念特集 その2】

5月20日(金)、押井守監督最新作『ガルム・ウォーズ』が公開となった。本作は、15年におよぶ構想と製作費20億円をかけたハイファンタジー作品だ。実写とアニメーション技術を融合させたハイブリットな映像は、その枠にとらわれない監督だからこそ実現しえた新境地の映画に仕上がっている。


押井監督は、日本を代表するアニメ映画監督として国外でも高い評価を得ている。代表作でもある『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹をはじめ、クエンティン・タランティーノ、ジェームズ・キャメロン、ギレルモ・デル・トロなど、世界的クリエイターも影響を与えた。そんな鬼才の作品と魅力とは何なのか。『ガルム・ウォーズ』とあわせ、押井守という人物を知るためにも彼の代表作品をこの機会にぜひ鑑賞してみてほしい。

-「押井守」を知るために、「押井守」になる必要はない-だが、押井守を知るためには見ておきたい作品5選


■『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年公開)

押井守作品といえば、まずこのタイトルを挙げる方も多い。彼の名を知らなくても作品名なら聞いたことがある、という方も多いのではないだろうか。

全米ビルボード(ホームビデオ部門)で1位を獲得するなど、押井守の名を一躍世界に広げた代表作だ。中でも、ウォシャウスキー姉妹は『マトリックス』を制作するにあたり「攻殻機動隊を俳優により映像化したい」と明言するなど、本作にインスパイアされている。

20年以上前の作品とは思えないハイクオリティーな映像と、インターネットが浸透していない当時に描かれた「ネットによる電子戦」を主題とした重厚なストーリー。押井守の先見性を感じさせ、今見ても新鮮な印象を受ける作品だ。彼の作品に触れるなら、まず本作を見ておきたい。


■『イノセンス』(2004年公開)

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編であり、押井監督にとっても前作公開から9年ぶりとなる長編アニメ作品となる。また、日本のアニメ作品としては初となるカンヌ国際映画祭でのノミネートを果たした。前作と比較しても哲学的なテーマはより難解となっているが、読み解いていくことで押井守という人物の考え方をより理解することができる。本作は押井守ファンの中でも、最も好きな作品として挙げる人が多い。

人間とは、身体とは、そして命とは。救助した少女の「だって、私は人形になりたくなかったんだもん!」という言葉に対してバトーが放つ台詞は、押井守作品を語る上で欠かせない衝撃的な内容となっている。

また、タイトルは『ガルム・ウォーズ』でも日本語版プロデューサーを務めた、スタジオジブリの鈴木敏夫が命名したことでも話題となった。


■『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993年公開)

押井監督の習慣として「1作目はベタにつくり、人気が出たら2作目で作家性を発揮する」というものがある。『機動警察パトレイバー』シリーズといえば、ロボットアニメとして認識している方も多いだろうが、本作ではほとんどロボットは出てこない。それどころか、主役であるはずの泉野明(いずみ・のあ)ですら脇役となる。

本作で描かれるのは、東京に迫り来る戦争だ。坦々と、しかし急速に進行する緊張感を臨場感たっぷりに描いていく。演出の面でも、本作のレイアウトは後世の作品に多大な影響を与えた。

また20年以上前の作品にも関わらず、昨今大きな物議を醸している「集団的自衛権」を真っ向から取り扱っている。前作『機動警察パトレイバーTHE MOVE』(1989年公開)でもコンピューターウィルスを取扱い、現代のサイバー犯罪を見事に予見しているのだ。


■『人狼 JIN-ROH』(2000年公開)

押井守作品を語る上で欠かせないシリーズであり、ライフワークともいえる「ケルベロス・サーガ」。シリーズを象徴するプロテクト・ギアのインパクトのあるビジュアルから、本作を知ったという方も多いだろう。本作は、実写映画『紅い眼鏡/The Red Spectacles』、『ケルベロス-地獄の番犬』に続くケルベロス映像作品3部作の1つで、唯一のアニメ作品だ。本作では、押井守は監督としてではなく原作・脚本のみを担当し、『イノセンス』でも精巧な作画を披露したアニメーターの沖浦啓之が監督を務めた。

本シリーズは、「もし、第2次世界大戦でアメリカが参戦せず、日本がドイツに占領されたら」という架空戦記だ。特にプロテクト・ギアをはじめとする特機隊装備類は、軍装マニアとしても知られている押井の趣向が活かされている。

本作を見て、「ケルベロス・サーガ」に興味を持ったなら、あわせて実写映画の2作もぜひ見てほしい。


■『立喰師列伝』(2006年公開)

特にコアなファンが推薦する『立喰師』シリーズ。「ケルベロス・サーガ」と合わせて、押井がライフワークと公言するシリーズだ。立喰師とは「飲食店にて話術や奇行を用いて店員を圧倒し、飲食代を支払わずに店を出るプロ」のこと。「もし仕事を辞めたら、こんな仕事をしたい」という妄想から生まれた架空の職業で、単なる食い逃げ・無銭飲食とは異なる(らしい)。

押井守が関わった作品には、スターシステムのように立喰師が登場する。TVアニメ『うる星やつら』をはじめ、OVA版『機動警察パトレイバー』、『ご先祖様万々歳!』、などなど。こうした立喰師の集大成となったのが、本作『立喰師列伝』である。

演出面でも、本作では役者を撮影し3DCGに貼り付けてアニメのように演出する、という実写とアニメを融合した新しい技法「スーパーライヴメーション」が試された。


アニメと実写の融合は、『ガルム・ウォーズ』においても重要なキーワードだ。興味を持たれた方は、今回紹介した作品はもちろんのこと、さまざまな押井守作品を味わってほしい。

『ガルム・ウォーズ』

2016年5月20日(金)全国ロードショー

◆出演/声の出演
ランス・ヘンリクセン/壤 晴彦※つくり側の鍋蓋の下に口ふたつが正
ケヴィン・デュランド/星野貴紀
メラニー・サンピエール/朴 ?美

◆メインスタッフ

原作・脚本・監督:押井 守
日本語版プロデューサー:鈴木敏夫
宣伝コピー:虚淵 玄(ニトロプラス)
音楽:川井憲次
協力:スタジオジブリ
制作:Production I.G
製作:バンダイナムコエンターテインメント Production I.G
配給:東宝映像事業部
2016/日本・カナダ合作/シネマスコープ/ドルビー・デジタル・サラウンド 

上映時間93分

(c)I.G Films

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