三谷幸喜インタビュー 何故いま恋愛作品を扱うことになったのか?

宇宙の片隅にある小さなハンバーガーショップで展開する妙に人間臭い宇宙人たちのドラマ『ギャラクシー街道』は、脚本と監督を務める三谷幸喜自身初のスペース・ロマンティック・コメディーだった。宇宙が舞台になっているだけに中和されているものの、新宿・歌舞伎町で起こっているような生々しい世界観は、三谷作品のイメージには少なかったが、ここへきて今どうして恋愛を扱うことに!?「遅れてきた思春期」と語る三谷監督に聞く。


――今回は、登場“宇宙”人物の恋愛エピソードが過去の作品と比べて多めに描かれますが、それがメインテーマの作品はめずらしいですよね? 

以前、テレビドラマで恋愛モノの脚本を一度だけ書いたことがあります。本来、ラブストーリーを書くのは好きじゃない。恥ずかしいから。そういったものを描いたら僕よりも上手い人はたくさんいるわけで、あえて自分がやるものではないような。もっと僕にしかできないことがあるんじゃないかなって、思っちゃうんです。


――すると、ここへきていま、『ギャラクシー街道』で恋愛を扱った理由は何ですか? 

たぶん、僕が思春期に入ったのかもしれないですね。――遅れてきた思春期。気持ち悪いですね。ただ、このまま思春期が続いていくわけではないので、この時期を過ぎて、もうすぐ、成長して大人になった自分が、誕生する予感があります(笑)。


――また一方で、本作でも情けない男たちの描写が健在で楽しかったですが、男の小さな見栄みたいな描写は実体験がベースにあるわけですよね?

多かれ少なかれ、どういう登場人物も自分の分身ですから、自分の体験談を元に発想することは多いですね。実は大学生の頃から、自分の情けない部分が発端となって、ダメダメなループにはまっていくことがありました。そういう自分を見ている、そういうことをいつか映画やお芝居にしたいという客観的な自分もいるんですよね。


――失敗を作品にすることで、自分を開放するという意味もあるのですか?

自分の肯定――そうですね(笑)。情けないですけど。自分自身が特別だとは思っていないので、作品にしても問題ないとまず思っていて。そのことは自分を開放する、自分を許すと同時に、同じような思いをしている人たちとまとめて肯定してあげる作業なんでしょうね。


――キャスティングと言えば、三谷作品には毎回、日本エンタテイメント界を代表するキャストが大集結することでも話題ですが、今回は初参戦の方々も少なくないですよね。初参戦でも三谷ワールドの中でコメディーの魅力が炸裂していましたが、キャストのどこを見て喜劇が向いてるか、向いてないかを判断しているのですか? 

僕にとって俳優さんの意外な表情が自分の作品の中で花開くことは、その人と2回目に仕事する時なんです。1回目はわからないし、言われるほど俳優さんの本質を見抜く力はないんですよ。

でも、一度仕事をご一緒すると、演技をしている時とそうじゃない時の姿を見ることになって、会話も自然と増えていくものなんです。その時、その人の知らなかった側面や、こういうことをやらせたら面白そうという基本的な情報が頭の中にインプットされる。そういうことが、次の作品にオファーした時にいかされる。だから、2回目なんです。


――最近の具体的な例で言いますと? 

たとえば、いまやっている大河ドラマで草刈正雄さんがすごくいいお芝居をされていますが、それは一昨年の舞台でご一緒したからなんです。その時に抱いたイメージを、今の大河の役柄にいかしている。役所広司さんも中井貴一さんも佐藤浩市さんもですが、いい俳優さんは、やればやるほど別な引き出しを見せてくれるものですが、それって何回か仕事をご一緒しないとわからない。いい俳優さんとの出会いは、すごく大事なんですよね。


――今日はありがとうございました。パッケージ化を迎え、ブルーレイ、DVDで観る方へ一言お願いいたします。

本編オーディオコメンタリーを香取さんと収録したんですけど、香取さんが素直に役への取り組み方を話してくださって面白かったですね。“え? こんなふうに演じていたのか?”と、ちょっと僕の思いと違うぞみたいな発見もあったりして。そういうことも含めて、新鮮でした。彼と語ってみて、改めて今回は好きなことをやらせてもらったなという思いです。それに付き合ってくれた、香取さん他、俳優の皆さんに感謝!


ギャラクシー街道』2016年5月3日(火)DVD、Blu-ray発売

(C) 2015 フジテレビ 東宝

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