「プリキュア」は先輩からのバトンをつなぐ“伝統芸能” 成瀬瑛美×小原好美×安野希世乃×小松未可子『映画プリキュアミラクルユニバース』インタビュー

 いよいよ3月16日(土)に公開される「プリキュア」シリーズ最新映画『映画プリキュアミラクルユニバース』。物語の中心となるのは、今年2月から放送がはじまった「スター☆トゥインクルプリキュア」のプリキュアだ。TVシリーズのオンエアから間もないなか、“新人プリキュア”がアフレコ現場で感じたこととは? 「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」の先輩プリキュアとの共演は? 星奈ひかる/キュアスター役の成瀬瑛美、羽衣ララ/キュアミルキー役の小原好美、天宮エレナ/キュアソレイユ役の安野希世乃、香久矢まどか/キュアセレーネ役の小松未可子の4人に意気込みを聞いた。

「プリキュアになれるかも!」「なろう!」と挑んだオーディション

――まずはTVシリーズ「スター☆トゥインクルプリキュア」ご出演が決まったときのお気持ちから教えてください。


成瀬:実は私、「プリキュア」シリーズをわりと大人でありながら見続けてきました(笑)。初代のころから15年間見続けてきた大ファンなんです。ずっとプリキュアになりたい! って公言してきて、それが一番の夢だったので、まさに夢が叶いました。


――プリキュア役は、毎回、オーディションで選ばれるとか。オーディションはいかがでした? まずは、キュアスター役の成瀬さんから。


成瀬:実はオーディションの話をいただいたときは、緊張がまったくなくて。


一同:えーっ!?


成瀬:うれしー! って、とにかく舞い上がって、「プリキュアになれるかも!」「なろう!」と思ってオーディションに行きました。不安とか緊張が生まれたのはその後ですね。


――決まった後はいかがでしたか?


成瀬:大喜びをして、その後に、あ、でも、今までの「プリキュア」シリーズを背負うことになるわけだから失敗なく、一生懸命頑張らなきゃ! って。プレッシャーを感じたのはその後で、とにかくうれしかったです!


――キュアミルキー役の小原さんはいかがでしたか。


小原:私の場合、オーディションではガチガチでした。私はこの声の仕事をはじめて、今年の4月で3年。デビューしてから毎年、「プリキュア」シリーズのオーディションを受けてきました。でも、やっぱり受かるのはそれぞれの役につき、ひとりだから……。


――狭き門ですね。


小原:実は私、オーディションはキュアスター役で受けていたんです。オーディションの最中、「すみません、キュアミルキーでやっていただけませんか」と言われて。そうしたら、セリフを言い終わった後、ブースの向こうから、「あ、こっちだわ」と声が聞こえたんです。


一同:うわー! すごい!


小原:そのときは受かるかどうかはわからなかったけれど……。まっさらな状態で演じた役が、合っていると思っていただけたのかなと思って、うれしかったです。後日、マネージャーさんから「キュアミルキーで受かりました」と連絡をいただいたとき、自分の中でカチッと何かがハマった感覚がありました。スタッフさんはきっと覚えていらっしゃらないけれど、あの言葉があって、私はちゃんとキュアミルキーとして呼んでいただけたんだな、という実感が芽生えてきたんです。しかも「プリキュア」シリーズは放送期間が1年と長期間。ここから夢のような時間が始まるんだと思ったら、すごくうれしくなって、やっぱり泣いてしまいましたね。


成瀬:実は私も全く同じでした。私、アイドルグループ(でんぱ組.inc)もやっていまして、メンバーカラーが黄色なんです。なので、「プリキュア」のオーディションが受けられるかもしれないと言われたときに、(イメージカラーが黄色の)キュアソレイユ役で受けまーす! って言ったんです。


小原:色で選んだんだ! どう演じたのか気になり過ぎる!


成瀬:「灼熱の、きらめき~い!」みたいな(笑)。キャラクターをすごく作って行ったんです。オーディション会場で「キュアスター、どうですか?」と言われて。急にやったので、まさに素でスターを演じました。それで合格をいただいたんです。


小原:普段しゃべってる感じ、キュアスターだもんね。


小松:遠い距離にいても、キュアスターだってわかる(笑)!


――安野さんは、そのキュアソレイユ役ですね。


安野:私はデビューして丸8年。声優のお仕事での目標のひとつが、芯の通った強い女の子を演じることでした。ただ、私自身のキャラクターによるものなのか、今まで演じた役は、大人しい役柄や上品な役柄が多かったんです。


――安野さんは前々シリーズの「キラキラ☆プリキュアアラモード」には、「いにしえのプリキュア」ルミエル役でご出演されていました。ルミエルはそんなイメージでしたね。


安野:「いにしえのプリキュア」は、プリキュアたちが過去に飛んだとき、力を授ける役割。奥ゆかしい雰囲気で、おとなしいけれど芯が強い女性でした。でも、一度「いにしえの~」という形でプリキュアになっちゃったので、もう正規メンバーになるのは難しいのかも……と思いながら挑んだのが、「スター☆トゥインクルプリキュア」のオーディションでした。


――キュアソレイユははつらつとした役ですが……。


安野:最初は、おとなしいキュアセレーネ役で、とオーディションのお話をいただきました。それだと演技幅が似通ってしまうし、何より私の中でプリキュアといえば強い戦う女の子というイメージ。「いにしえのプリキュア」を演じさせていただいたからこそ、思い切ったチャレンジをしてみようと思い、キュアソレイユをぜひ!と。彼女は大家族で育っていて根が明るい、人に元気を与えられる子。その人柄に私も力をもらって、「なんとしてもソレイユを演じるぞ!」という意気込みでオーディションを受けました。思いが叶ったなと、感じております。


――喜びもひとしおだったのでは?


安野:「いつかプリキュアになりたいね」と一緒に目標にしていたマネージャーさんから、仕事帰りに、「安野さん、ちょっといい?」と小道に連れていかれました。なんだろうと思ったら、「プリキュアになれました!」とお知らせしてくれて。思わず「ウワーッ」って、大騒ぎをしました。小道に連れて行ったのは、叫ぶのを予想していたんでしょうね(笑)。


――キュアセレーネ役の小松さんは?


小松:みんな一緒だなあ(笑)。「プリキュア」のオーディションは、私ももう5年ぐらい受けさせていただいていました。そもそもオーディションのお声がけ自体、自分が声優の仕事をしていると知っていただかないと来ないもの。オーディションの話をいただいてからも、なかなかハマることがなくて……。毎年思っていたのは、まだ自分には、夢を与えられるような説得力、キラキラしたものがないんだなということでした。


――今回は、最初からキュアセレーネ役を?


小松:最初はキュアソレイユ役とキュアセレーネ役、両方受けていました。私が普段演じるキャラクターで多いのは、キュアソレイユのように活発で、パワーがあって、元気な子。お嬢様であり、芯の強さはあるけれどおとなしいキュアセレーネは演じることが少ないタイプです。オーディションでは歌の審査があり、それを受けられるのはどちらかの役だけ。「キュアセレーネで歌ってください」と言われ、これをどうキュアセレーネで歌おうかと悩みながら歌いました。受かったときには、マネージャーさんから「キュアセレーネで受かりました」と、(キャラクターのイメージカラーの)紫の花束をいただきました。


一同:すてき!


小松:部屋のあちこちに紫を置きたくて、ちっちゃい花瓶をたくさん買って飾りました。


――マネージャーさんも感動されたんでしょうね。


小松:実は、「プリキュア」シリーズでは、敵役でお声がけいただいたことはあったんです。キャリアのなかで、敵役はまだやったことがないので、演じてみたい。けれど、このお仕事を受けたら、プリキュアになれる機会がなくなってしまうかもしれない。でも、プリキュアになりたい! いろんな葛藤の末、マネージャーさんと二人三脚で歩んできた道なので、感動もひとしおでした。キュアセレーネは、年齢的にはキュアスターより少し先輩だけど、プリキュアとしては後輩。そこのポジションがおもしろいので、楽しんで演じています。


女の子の生き様を描く「プリキュア」

――成瀬さんは大人のファンとして「プリキュア」シリーズを楽しんでいらしたとのこと。他の皆さんは「プリキュア」シリーズには、どのようにふれていらっしゃったのでしょうか。


小松:私は「美少女戦士セーラームーン」で育ってきた世代。「プリキュア」シリーズが始まったときには、中学生か高校生でした。私たちが「セーラームーン」で育ってきたように、今、この女の子たちが夢を与えてくれているのね!と思って見ていました。


小原:私は10歳下の弟がいるんです。家族で朝、テレビをつけると「プリキュア」が当たり前のようにやっているので、自然と姉弟で見ていました。印象的だったのは、おもちゃ屋さんに行ったとき。女の子たちが「プリキュア」シリーズのおもちゃを選んでいる横で、くっついて来ているお兄ちゃんや弟くん……男の子が、「ほしい!」と言っていたんです。「プリキュア」シリーズは本当にいろんな子たちに愛される作品、特別な作品なんだなっていう認識がずっとありましたね。


安野:私は、個人的に、水樹奈々さんと水沢史絵さんがプリキュアを演じられた「ハートキャッチプリキュア!」が好きで、よく見ていました。水沢さんが演じるキュアマリンちゃんは、型にハマらない演技で、私が子どもだったとしても夢中になっただろうなというもの。「プリキュア」シリーズは、一人の女の子が思いっきり自由に生きていることを描きたい作品なんだな、そこが魅力だなと思いました。


成瀬:素晴らしかったですよね!


安野:オーディションを受ける側になったときによく言われたのが、「声はあまり作らないでください。なるべく等身大の、あなたらしい声で」ということでした。作品を見るときの楽しみとしても、演技がどうとかそういうことじゃなくて、その世界に生きる女の子の生き様を見せてもらっているという気持ちで楽しんでいました。


――成瀬さん演じるキュアスターは主役の“ピンク”を担うキャラクターとして、前作「HUGっと!プリキュア」の最終回にもご出演。先輩プリキュアから受け取ったバトンはありますか?


成瀬:毎年、新旧のプリキュアがバトンタッチする行事があるんです。そこで、「HUGっと!プリキュア」キュアエール役の引坂さんから、「私は1年間、これを聞いて頑張ったんだよ」と言って、「HUG!っとプリキュア」のサウンドトラックをくださったんです。そのうえ、「フレ! フレ!」と言ってくださって。キュアエールに応援された! とまず興奮がありました(笑)。「1年間、本当に楽しいことがいっぱいだし、子どもたちに夢を与えてね」とも言ってくださった。そのときの先輩方が、すごくキラキラしたすがすがしい顔をしていらっしゃったんです。アフレコではプレッシャーを感じていたんですけれど、そのことですごく前向きになれました。私も1年間頑張れる、楽しいことがいっぱい待ってるんだ! 世界中を元気にしよう! と思えました。


見どころは、4人揃っての変身シーン

――TVシリーズ「スター☆トゥインクルプリキュア」のスタートが2月。『映画プリキュアミラクルユニバース』の公開が3月。まだまだ慣れないなか、アフレコは大変だったのではないでしょうか。


成瀬:私はアフレコの経験がほとんどないんです。今まで、ちょっとだけ声のお仕事をしたことはあっても、ひと言だけだったり、収録はひとりだったり。たくさんの方々とセリフを録るアフレコ現場に行くこと自体が初めてでした。現場の緊張感に、最初はめちゃくちゃ固くなっていました。そんなとき、「スター☆トゥインクルプリキュア」のみんなが、「こうしたらいいよ」とアドバイスをくれたり、肩の力を抜かせてくれたりしたので、そのおかげで無事にやりきることができました。みんなに感謝しています。アフレコ現場は絆が生まれる場所なんだなって、すごく感動しました。一生忘れられない思い出です。


小松:映画のアフレコ現場では、「スター☆トゥインクルプリキュア」「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」の3作品のプリキュアが集まりました。休憩時間に話していたら、「あれ、ここみんなイメージカラーが紫じゃない!?」ということもあって(笑)。それと、別の現場で「ふたりはプリキュア」でキュアブラックを演じた本名陽子さんがいらして、声をかけていただいたんです。「娘も楽しみにしているから、頑張ってね」って。こういう絆が生まれるのは、「プリキュア」シリーズならでは。先輩たちがたどってきた道を、私達もまたバトンをつないでいく。今回の劇場版のアフレコ現場は、まさにその縮図だなと実感しました。“伝統芸能”って感じがします。


成瀬:“伝統芸能”! そんな感じがする!


小原:劇場版のアフレコ時点で、「スター☆トゥインクルプリキュア」TVシリーズの収録はまだ5話まで。やっと4人のプリキュアが揃ったところです。なので、4人が声を合わせるセリフはTV本編ではまだやっていなくて、劇場版が初なんです。先輩プリキュアの皆さんの変身のお声って、きれいに揃っているんですよ。一方、私たちがやってみると、ぜんぜん揃わない。何回もやり直しました。リテイクするときも、ひとりで録るより、全員で録り直したほうがやっぱり音が生きてるんですよ。そういうことを数多く実感しました。私たち声優にとっても、仲間と一緒にプリキュアとしてやっていくことが、どれだけ大事なのかを感じさせてもらえました。そのうえで、TVシリーズのほうも盛り上げていけたらなと思えた、すごく大切な作品になりました。


安野:私は「いにしえのプリキュア」を演じたときは座らなかった“当代のプリキュア”が座る、真正面の席に座っていることを重く感じましたね。先輩プリキュアの皆さんが和気藹々とされているなか、プレッシャーもあって、気おされていた部分もありました。そんななか、給湯室にお湯を汲みにいったことがあって。


小松:あったね。お湯がなくなっちゃって。


安野: 小松さんと、何人かの先輩がたと一緒に給湯室でお湯が沸くのを待つ間、薄暗いその一角でいろんな昔の話を聞いたんです。「プリキュアって」という話を、世代をまたいてでできた時間がすごく新鮮で、楽しかったです。


――今回の『映画プリキュアミラクルユニバース』での「スター☆トゥインクルプリキュア」チームとしての見どころは?


小松:やっぱり、4人ではじめて収録した、変身シーンと攻撃のセリフですね。


成瀬:新人感があるよね。 


安野:この映画のなかでも、けっこう不ぞろいなところが目立つんですけど、終盤にかけて先輩たちから学んだことを踏まえて、ひとつになっていく。そういうことをストーリーの中で感じられる構成になっていると思います。


小松:「スター☆トゥインクルプリキュア」の4人のなかでも気持ちのバトンタッチがあって、キュアスターがガッと行く。


小原:そうそう。


小松:信頼感がどんどん芽生えてくる、その成長過程はじっくり見てほしいところです。


成瀬:アフレコ中は泣きそうで大変でした。とくにクライマックスのシーンは……


――次に、作品全体の見どころを教えてください!


小原:新シリーズのプリキュアたちの成長が、すごく大事に描かれています。あとは、子どもたちが応援するシーンがふんだんに散りばめられています。プリキュアって、私たちだけじゃなくて、子どもたちが入って初めて成立するんだなと感じましたね。


小松:先輩プリキュアとの会話シーン!


成瀬:あれはうれしかったー!


小松:一緒にいるだけで、こんなに感動的なのかって思いました。かけあいがそれぞれのキャラをふまえたものになっていて、おもしろい。それも注目してほしいポイントです。あのかけあいで、私もこれでやっとプリキュア同士でつながれたって……。


安野:感動しましたよね。あとは、シリーズを超えた妖精たちの絡み!


成瀬:作品のなかで、私たちも成長するんです。物語のカギを握るミラクルライトの見習い職人ピトンも、物語の中ですごく成長します。彼の頑張りを、みんなも一緒に応援してあげてください!


作品紹介

 「スター☆トゥインクルプリキュア」の星奈ひかる、羽衣ララ、天宮えれな、香久矢まどかが天体観測をしていると、突然、キラキラ星の世界へワープしてしまう。そこで出会ったのは、惑星ミラクルの星々でミラクルライトを作る見習い職人のピトン。ピトンはある悩みを抱えていて……。「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のプリキュアたちと合流したものの、ひかるたちはあるきっかけから大統領の側近・ヤンゴ率いる宇宙警備隊に追われることに! そのうえ、<伝説の宇宙大魔王>復活の危機が迫る! ひかるたちはこの大ピンチを乗り越えられるのか!?


『映画プリキュアミラクルユニバース』は3月16日(土)公開


テキスト:仲川僚子

写真:mayuko yamaguchi

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