「声の芝居の天敵は“クサい”芝居」田中裕二(爆笑問題)が出演作『映画プリキュアミラクルユニバース』を語る

 女の子の憧れ「プリキュア」シリーズ。その最新映画『映画プリキュアミラクルユニバース』が3月16日(土)から公開される。今年2月から放送がはじまった「スター☆トゥインクルプリキュア」の主人公・ひかるたちが、「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のプリキュアとともに悪に立ち向かう。舞台となるのは、惑星ミラクルの星々。「プリキュア」映画では定番となっている、子どもたちがプリキュアを応援するためのアイテム「ミラクルライト」が作られている工場がある星だ。惑星ミラクルの星々を司る大統領を演じたゲスト声優・田中裕二(爆笑問題)さんに話を聞いた。


戸惑いだらけの「フクロウ」役

――まず、このお仕事のオファーが来たときのお気持ちをお教えください。


田中:いやもう、どうしようかなと(笑)。戸惑いました。自分とあまりにも遠い世界の作品ですから、どうしようと思ったのが、最初です。


――田中さんは3児の父。娘さんが2人いらっしゃいます。お子さん方は「プリキュア」

シリーズをご覧になっていますか?


田中:一番上の娘は11歳。今はもう卒業しちゃっていますが、かつては「プリキュア」は相当見ていたようです。だから、すごく喜んでいましたよ。「パパ、やるんだー!」って。


――下の娘さんは?


田中:下の娘はまだ一歳半なので、「アンパンマン」の人形や玩具で遊んだり、Eテレの「おかあさんといっしょ」や「いないいないばあっ!」を見たりしています。番組を見ながら一緒に歌ったり踊ったり。この『映画プリキュアミラクルユニバース』でみんながダンスするシーンでは、喜んで踊ると思いますね。ストーリーは、まだわからないでしょうけれど。映画が公開されたら、家族みんなで観に行こうと思っています。

――今回、田中さんが演じる大統領はフクロウです。キャラクターのビジュアルをご覧になったときはどう思われましたか?


田中:大統領で、しかもフクロウ!? 何のことやらわからない(笑)。さらに混乱しましたね。台本がもう、わかんないんですよ(笑)。あらかじめ「なんとなくこんなキャラかな」「こんな声にしようかな」と考えるのは難しそうだったので、アフレコ当日、監督さんと話し合ってやっていこうと思いました。幸い、監督さんが「そんなに声を作るんじゃなくて、(セリフは)田中さんの言いやすい言い方で」と言ってくれたんです。


――自然に演技をされたんですね。


田中:ただ、フクロウなので、台本には「ホウ」っていうセリフがいっぱい書いてあるんですよ。「ホウホウ」とか「ホウ」とか。それが難しかったですね。


――ひとつひとつの「ホウ」に感情を込めて演じる……。


田中:そうなんです! 「ホウ」に感情を込めるんです。これはちょっと怒った感じの「ホウ!」とか。怒った感じの「ホウ」ってなんだよ!? と思いつつ、「ホウ!」とやって「こんな感じですか?」みたいな。「ここでは首をかしげるので、疑問の『ホウ』なんで」と言われて、「ホウ?」「あ、そんな感じです!」って。だからスタッフさんに操られるままに、言われるままにやった感じです。


――「ホウ」の数が多かったんですね。


田中:だから本当に難しかったです。たとえば前に吹き替えをやった「モンスターズ・インク」では、台詞はめちゃくちゃ多かったし、画に合わせるのは大変だったけれど、わからない、みたいなことはなかったから。


演じるキャラは「だいたいちっちゃい(笑)」

――田中さんは「モンスターズ・インク」のマイクの吹き替えや、「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記」へのゲスト出演もされています。声の演技の難しさは?


田中:まず、セリフを画のタイミングと合わせなきゃけいない。しかも、それが棒読みではなく、ちゃんと芝居をして言う点が難しい。高度なテクニックですよね。もうひとつ、これはしゃれ抜きに太田(光)にいつも怒られるんですが、「セリフが歌ってる」と言われるんですよね。これは自分でもよくわかるんですよ。


――セリフが歌う?


田中:わかりやすくいうと、友近の吹き替えのネタです。海外ドラマの吹き替え風に「オゥ! なんとか~」ってやるネタがあるでしょう。あれになっちゃうんです。素人だから、なんとなくアフレコをやろうとすると、自分の素直な感情からくる芝居よりも、「それらしくする」ほうに意識がいっちゃうんです。刷り込まれてるんですよね。そんなのはクサい芝居なわけですよ。とくに声優じゃない俺が呼ばれたということは、そういった演技は要求されてないはず。でもそういう感じになりがちで、そこが難しいんです。


――今回の大統領役でも、そういったご苦労はあったのでしょうか?


田中:今回の役だと、その「それらしい」イメージすらなかったですからね。どんな声かも想像がつかないっていう。ただ、「なんとかなんじゃ!」というセリフはあったんです。そうすると、子どものころから「まんが日本昔ばなし」なんかで刷り込まれているおじいちゃんの演技になってしまう。たしかに年齢的には上のキャラクターだけど、そうすると大統領というより長老のおじいちゃんになっちゃうから、そこは気をつけました。


――自然に演じることが一番難しいんですね。


田中:本当に難しいです。自然に演技しようとすると、まだ実写のドラマのほうがやりやすいです。アニメでは、絵を見ると、ついつい過剰になっちゃう。

――「プリキュア」の映画作品では、ゲストキャラのデザインが演じる方のイメージに似せてあることがあります。この大統領に関しては?


田中:いやー、それはわかんないです。ただ、だいたい僕が演じるキャラってちっちゃいですよね(笑)。「モンスターズ・インク」のマイクもそうだし、「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記」でやった宇宙海賊も悪役だけど小さかったし。今回もちっちゃいですよね。そういった意味ではイメージはあるのかもしれないです。


子ども時代、アニメに刷り込まれた大切なこと

――「プリキュア」シリーズは、女の子たちの憧れ。田中さんご自身が子ども時代に夢中になったヒーローは?


田中:それはもう、数限りなくあります。「ウルトラマン」「仮面ライダー」っていうヒーローがまずいたし、アニメや漫画でいったら、「あしたのジョー」に「巨人の星」、「ルパン三世」のアニメも始まりました。日本のアニメが誕生したころですよね。もちろんそれまでも手塚治虫先生の作品があったんだけど、そのころは「テレビ漫画」と呼ばれていました。それが「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」など、松本零士先生が関わった作品が人気になったころ、「アニメーション」「アニメ」と呼ばれるようになった。僕はそのあたりの時代に、ちょうど小学校から中学校ぐらいでしたから。アニメに最初にハマった世代じゃないでしょうか。


――田中さんにはお姉さまもいらっしゃいます。子ども時代、女の子向けのアニメを一緒に見ていましたか?


田中:「魔法使いサリー」とか「ひみつのアッコちゃん」とかをずーっと見ていましたよ、一緒に。「ひみつのアッコちゃん」はコンパクトを使って「テクマクマヤコン」で変身するけど、それは「プリキュア」にも引き継がれている。すごいですよね。


――子ども時代にご覧になったアニメに教えられたことはありますか?


田中:「巨人の星」みたいなスポ根ものが流行った、体罰バリバリの時代でしたよね。あれを今、動画投稿したらまたたく間に炎上するでしょうね(笑)。ただ、少年少女が見るアニメや漫画のテーマは、一貫していると思うんですよね。友情、助け合うこと、思いやり、勇気とか。それは「プリキュア」でも、「ドラゴンボール」でも「ワンピース」でも、昔の「巨人の星」でも一貫していると思うんです。大人が子どもたちに一番伝えたいのが、そういうところなのかもしれません。時代により、それを伝える方法として「殴るのはダメ」と変わってきてはいるけどね。


――普遍的なものですね。


田中:子ども時代に意識はしなかったけれど、何かしら刷り込まれていることはあるんじゃないでしょうか。ヒーローが常にいて、そのヒーローは勇気をもって、悪に立ち向かう……。自分自身はそんなことができてはいないですけれど(笑)。


――今回の映画の見どころを教えてください!


田中:ネタバレになりそうなのであまり詳しくは言えませんが……。今回、この大統領がある気づきによって救われるんです。それがとてもピュアな出来事なんですね。一番伝わってほしいのはそこですね。ピュアな気持ちがとても大事、というところでしょうか。

ストーリー

 「スター☆トゥインクルプリキュア」の星奈ひかる、羽衣ララ、天宮えれな、香久矢まどかが天体観測をしていると、突然、キラキラ星の世界へワープしてしまう。そこで出会ったのは、惑星ミラクルでミラクルライトを作る見習い職人のピトン。ピトンはある悩みを抱えていて……。「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のプリキュアたちと合流したものの、ひかるたちはあるきっかけから大統領の側近・ヤンゴ率いる宇宙警備隊に追われることに! そのうえ、<伝説の宇宙大魔王>復活の危機が迫る! ひかるたちはこの大ピンチを乗り越えられるのか!?


『映画プリキュアミラクルユニバース』は3月16日(土)公開


テキスト:仲川僚子

写真:野原誠治

(c)2019 映画プリキュアミラクルユニバース製作委員会

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000