厚労省で不適切統計、踏襲を良しとする“官僚組織の体質”に問題も

 厚生労働省の不正統計問題を調査していた第三者委員会が22日、中間報告を発表した。報告書では「職員が事実を知りながら漫然と過去の取り扱いを踏襲し是正しなかった」「組織としてのガバナンスが欠如している」と厚労省の体質を厳しく批判している。


 ただ、第三者委員会が設置されたのは今月16日で、わずか6日で報告書を発表したことになる。また、会合を開いたのは2回だけで、統計調査の実務を担当した東京都への聞き取りもしていないということだ。焦点となっていた組織的な隠蔽については「真っ白と言い切っているわけではない。しかし、それを委員会として隠蔽する意図があったと認定するには無理がある」とした。


 厚労省は鈴木俊彦事務次官ら幹部を含む22人を訓告や減給処分とし、根本厚労大臣と政務3役も給与を自主返納する方針だ。

 勤労統計不適切問題の経緯は2004年に遡る。そもそも、従業員が500人以上の事業所を“全数調査”するとしていたが、2004年に調査手法の手引きに「全数でなくても良い」と明記し“抽出調査”を開始。2015年に手引きから「全数でなくても良い」という不適切な記述を削除する。しかし2016年、厚労省は「全数調査を継続する」と明記した書類を総務省に提出。2018年3月に全数に近づける加工を開始し、12月に総務省が「統計が不自然」だと指摘した。


 調査の省略は誰の発案だったのか。元経産省キャリアでコンサルタントの宇佐美典也氏は「調査方法を変更することで厚生労働省の仕事が減ることはない。事務作業が減る東京都にとっては恩恵が多いため、おそらく都からの要望だろう」との見方を示す。また、誰が不正を指示したかについては「数年で部署を異動するキャリア職員が出世や他部署との関係で変更を指示したのでは」とし、「人事権を握られているノンキャリアがリスク承知で従い、年数が経過。責任から逃れるために隠蔽し続けたのではないか」と述べた。

 それを受けて、東京工業大学准教授で社会学者の西田亮介氏は「前段の経緯の中で、決済権を持っている人がかなり動いているはず。決済権を持っている人というのは多くの場合キャリア官僚であることが多いので、恐らく決済はそこで出したのではないか。前の人が行っていたことを変えるのは、官僚組織の中では必ずしも好ましいことではないとされていて、以後人が代わっていく中でそれを追認するような形で現在に至ってしまったのではないか」と見解。


 また、不正調査によって賃金額が低めに算出され、失業保険や年金が過小給付されていたこともわかったが、西田氏は「怒りを覚えるのは当然」と指摘。一方で、抽出調査で対応することに「合理性はあると思う」との考えを示しつつ、「前の人が決済したことの整合性を取るためにやり続けてしまったと同情的に見えてしまうが、全数調査をするという決まりになっているわけで、(全数調査が)合理的なものでないのであれば正規の手続きを踏んでやり方を変えるべき」と述べた。

 さらに、今回の問題は他にも影響を与える可能性があるとし「政府の統計は、正確であることと同時に信頼できるものであると人々が思えることが重要。一見些末な問題に見られかねないが、ひとつの統計が信頼できないのであれば、なぜ他の数字は信頼できるのかという疑問を呼び起こす。これは全く看過できる問題ではない」と苦言を呈した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


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