ゴーン容疑者、手錠・腰縄姿での出廷で国際世論にアピールか?郷原弁護士「検察組織は動じないと思う」

 「I am innocent(私は無実です)」。きのう、東京地裁で行われた勾留理由を明らかにする手続きに現れたカルロス・ゴーン容疑者。真っ直ぐ前を見据え、英語で「発言の機会をくれて感謝している。私が捜査機関からかけられている容疑がいわれのないものであることを明らかにしたい。日産に対し、心からの親愛と感謝の気持ちを持っている。日産のために全力を尽くして公明正大かつ合法的に所轄部署から必要な承認を得た上で進めてきた」と話し始めた。


 去年11月19日に逮捕されて以来50日ぶりの公の場。ダークグレーのスーツにノーネクタイ、スリッパ姿。顔は少し痩せ、こめかみには白髪が目立っていたという。与えられた10分間で18億5000万円の損失を含む契約の付け替えや報酬を約50億円少なく記載したとされる金融商品取引法違反の容疑に対し持論を展開。「私は人生の20年を日産復活にかけて昼夜問わず努力し、日産を変革してきた。2兆円ほどの負債から資金規模を3倍にし、フェアレディZなどを復活させ、リーフで電気自動車を開拓してきた。さらに三菱をアライアンスに招き、2011年には世界1位になり、年間1000万台を売り出し、日産を日本の主軸に回復させてきた。これは家族の次に人生で大事なものだ」と訴えた。


 今回注目の集まった「勾留理由の開示」とは、勾留中の被疑者等からの請求に基づき、裁判官がいかなる理由で勾留したのか?それを公開の法廷で明らかにする手続きのことだ。裁判所の勾留決定は年間10万4529件に上ったの対し、勾留理由開示請求は583件、0.56%に留まっている。

 この理由について、元検事の郷原信郎弁護士は「身柄を拘束されることに納得のいかない人は、公開の法廷で裁判官に理由の説明を要求できる。その際には本人や弁護人も意見を言うことができるというものだ。ただ、逃亡の恐れがあるとして手錠・腰縄の姿のままだ。その姿を傍聴人の前に晒されるのが嫌だからと、被疑者の多くはこの手続をしたがらない。一般的に勾留をすぐ取り消してもらえるわけではないし、メリットはそれほどない。ただ、ゴーン氏自身が自分の言葉で自分は無実だということと、いかに不当な身柄拘束かということを訴えることは、ゴーン氏にとっては意味がある。そのゴーンさんが東京地裁の法廷から逃げ出すだろうか。100%あり得ない。手錠・腰縄には合理性がないし、海外から見たら違和感を持たれると思う」と話す。

 その上で「驚くようなことが話されたわけではないが、ゴーン氏が自分の言葉で話した内容にはなるほどということがいくつかあった。例えば、有価証券報告書について、"私が死んだら、相続人が役員報酬をもらうのか、もらえないだろう、だから確定していない"と。なかなか説得力があるという感じがした。特別背任の点についても、今までは弁護人の言葉がマスコミを通じて出ていただけだったが、サウジアラビア人への正当な対価だと本人が説明したというのは意味があったと思う」との見方を示した。

 ゴーン容疑者にインタビューをした経験もある経済ジャーナリストの井上久男氏は「非常に名誉を重んじるゴーン容疑者が、屈辱的な姿を晒しても出た理由は、弁護団のメディア戦略だと思う。年始には息子さんがメディアのインタビューに出て、お父さんが無実であるとか、やつれているというような話をした。日本人は情にほだされるところがあるので、法廷で"それでも日産を愛している"と言うことで、世間の感情が変わると考えたのではないか。日産社内にも"本当にゴーンさんだけが悪いの?""西川社長以下、執行部にも責任があるだろう"という見方もある。そういう社員たちへのメッセージ、一種の揺さぶりだとも推測できる」と指摘した。

 同日午後には、東京地検特捜部長も務めた経験のある大鶴基成弁護士らゴーン容疑者の弁護団が日本外国特派員協会で記者会見を開き、海外メディアに対し「もう少し慎重な捜査をしてもらいたい。よく証拠を見て捜査してもらいたかったということだ」と、取り調べが十分になされていなかったと訴えた。


 井上氏は「国際世論にアピールするためだ、フランスのメディアが積極的に発言をしていた。暗に日本の人質司法に対して批判的なことを伝えたいのではないかと私は受け止めた」と話す。


 一方、郷原氏は「検察は外部からの干渉を受けないことを組織のあり方にしているので、国際世論にも動じない。しかし日本社会として、国としてそれで済むのか。法務省は海外の司法当局との関係もあるし、国際世論を考えなくていいということはない。検察のあり方も含め、日本の司法は特異だ。そのことを、これを機会にもっとしっかり考えないといけないということだと思う」と主張。

 大鶴弁護士に対しては「全体的な印象として、あまり正面から検察を批判している感じではない。やっぱり遠慮があるのかなという感じがする。それでも穏やかな言い方ではあるが、検察の捜査方法は相当ひどいよ、ということは言っている。やはり逮捕して勾留まではいいが、起訴して有罪立証できるのかというところはハードルがあるような気がする。今週金曜日(11日)の勾留満期で、特別背任の事実が2つとも起訴されるのかどうか。その後の保釈がどうか。それと同時に、直近の3年分の有価証券報告書の虚偽記載についてをどうするのかが焦点だ」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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