正月休み明け、体調は大丈夫?実は危険な”月曜日の憂鬱”、対策に乗り出す企業も

 お正月休みが明けた7日。月曜日の朝に、いつも以上の憂鬱を感じた方も多かったのではないだろうか。

 しかし、それは単なる"気の持ちよう"ではないケースもあるのだという。「ブルーマンデー症候群」といい、仕事・学校への不安や緊張を我慢したり放っておいたりすると、日曜日の夜に寝付けなくなったり、月曜日の朝になるとうつやパニック症状を引き起こす可能性があるのだ。

 出版関係に勤める山本淳さん(仮名、38)も、月曜の憂鬱に悩む会社員だ。「もう腹痛い」とこぼす山本さんは、口の中から砂利が出てくる夢を見たという。「口の中でマウスピースがバラバラになっている。粉々になって割れて」。

 また、おもちゃの企画・開発を手がける高橋晋平さん(39)は、「仕事が楽しい」、そう思っている時期にリタイアを余儀なくされた。「若手の頃で、どんどん仕事を覚えるし、運良くヒット商品も何個か出て、自分が昇っていけるような感じがした。順調に出世したいとか、お給料上げたいとか、周りの流れもあるし、それが優等生として評価されることだと思っていた。でも、そればかり見ている中で、他のことが見えなくなってしまった」。しかし、次第に月曜日の朝を迎えるのが「嫌で嫌でしんどくてしょうがない」状況に陥っていく。「日曜日の夕方くらいから動悸とか腹痛とかが出ていた。そうしたら突然全身が動かなくなるような感じで。月曜日に何とか出社して、お昼くらいになると大車輪で仕事を回して。1週間ハイで楽しいと思っていたから、自分の健康状態をみられていなかった。でも、気がついたらそこにひずみがきていた」。睡眠時には歯ぎしりや食いしばりが現れ、1年半ほど休養生活を送った。

 それでも「倒れたのはある意味ラッキーだった」と高橋さんは話す。「今は独立して起業しているが、働き方も自分に合ったものにしないといけないなと見直して、リズムを作った。あれは自分の体か神様がストップしてくれたのかな」。会社の創業理念は「健康第一」だ。「自分と家族とお客様の健康第一ということだけで仕事をしている。お客様とか取引先の方に負担をかけないことを最重視している」。

 高橋さんや山本さんら、月曜日に不安を抱える人たちが参加する「月曜クラブ」では、メンバーたちが不安や愚痴など思いのたけを語り合い、気を紛らわせている。


■"月曜日の憂鬱"は子どもたちにも

 月曜日に憂鬱を感じるのは社会人だけではない。「学校には行くが教室には行かない」「教室で過ごすが遅刻や早退が多い」「教室で過ごし皆と同じことをするが、心の中では学校に通いたくない、嫌だと感じている」という、「隠れ不登校」になってしまう学生や子どもたちもいるのだ。現在、全国の中学生約325万人のうち、不登校の中学生は3.1%にあたる約10万人だが、隠れ不登校の中学生は10.2%にあたる約33万人にも上るという推計もある。

 自身も不登校を経験し、現在は日本で唯一の不登校の専門誌『不登校新聞』の編集長を務めている石井志昂氏は「学校の中にいじめとかスクールカーストとかがあって、休み明けの月曜日は1発で人間関係が再生産される。金曜の夜からずっと月曜日の朝にかけて、不登校の子は寝られない。問題が月曜日にあるわけではなくて、苦しいことが月曜日にはじける。社会人には有給休暇が20日間くらいあるが、子どもは3日休んだだけで学校の先生から電話が来るし、30日休んだら不登校だと言われてしまう」と指摘する。


 「親も教師も、学校は命をかけてまで通うところじゃないという考えを持つことと、毎日通わなくても大丈夫な仕組みを作っていかないといけない。また、休めている大人が周りにいないことも問題だ。だらけている姿を大人が見せていく必要があると思う。ロバート・キャンベルさんは"魅力的な非常口を大人が作るんだ"と言っているが、色んな人生があるんだということを見せていくべきだ」。


■月曜日の業務内容を見直す企業も

 ブルーマンデー対策に乗り出す企業も増えてきている。データマーケティング事業を手掛けている「Supership」では、昨年11月から月曜午前を休みにする制度を導入した。実際、出社時間の10時を越えてもほとんど誰も出社しておらず、社員らはお昼頃になると続々と会社に姿を現した。また、「オウケイウェイヴ」も月曜午前は原則休みとし、「日本エクストリーム出社協会」は出勤前の時間帯にスイカ割り大会や絶叫マシン、ノンアルコール飲み会などの過激な体験をして出社するという試みを行う。

 さらに若者の人材育成や派遣事業を行う「ハッシャダイ」は、休日制度を見直し、土日・日月・月火の3パターンから選択できるようにした。社員からは「みんなが仕事を始めて憂鬱だなあっていう表情で過ごしている中で、自分は気持ちを切り替えられる」「仕事のやりとりもできる範囲でやるし、仕事とプライベートの境目っていうのはあんまりないなと思う」と話し、仕事と休日の境目をあえてキッチリ分けないことで、プレッシャーから解放されているようだ。

 こうした取り組みに、高橋さんは「午前中休みにするとか月曜休みにするというのは、結局火曜日がまた辛くなってしまうと思う。僕が一緒にお仕事している会社では、"月曜日に楽しい仕事を全部持ってくる"ということをして、クッションを入れている。週の20%は未来を作る自由なことを考えようというGoogleの20%ルールのように、月曜日は楽しいことや新しい企画を入れればいいと思う」と話していた。


■日本人の働き方に対する考えを改める必要

 昨年、1年にわたってヨーロッパを回った作家の乙武洋匡氏は「彼らは17時に仕事が終わるので、プライベートでゆっくりする時間を何時間も持っている。日本の今の働き方ではそんな時間は持てず、仕事と睡眠だけになってしまっていると思う。遠隔で仕事をすることもできるし、誰もが同じ時間帯に同じ電車に乗って同じ時間に出勤して何時間働くか決められている必要はない」、アメリカに語学留学をしていたウーマンラッシュアワーの村本大輔も「ロサンゼルスの人たちも、仕事は17時に終わって、友達とビーチで一杯飲んで、ぐっすり寝て、朝ジョギングして。"ちょっと社会回しに行こうか"くらいの感じで仕事に行って、"あとは自分の人生楽しみます"、みたいな感じに見えた」と振り返った。

 スマートニュースメディア研究所の瀬尾傑所長は「月に60時間以上残業すると、それが楽しくなってくる"残業ハイ"という現象が起きるという研究もある。これは非常に危険で、残業が増えていくどんどん傾向に向かう。8時間なら8時間と、きちんと労働時間を決めることが大事だ。また、日本にはカウンセリングが足りない。体調が悪かったら医者に行くのと同じような感じで、気楽にカウンセリングができれば、重度になる前に防ぐことができる。アメリカの場合、ミシェル・オバマが夫妻でカウンセリングを受けたことを伝記で明かしているが、日本もそういう風になればいい」との考えを示した。

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