貫地谷しほり、ダメ男・北原白秋を演じた大森南朋に母性を感じる 『この道』インタビュー

 2018年、日本の童謡の歴史に重要な役割を果たした児童文芸誌『赤い鳥』創刊から100年を迎えた。童謡誕生100年を記念し、天才詩人・北原白秋と秀才音楽家の山田耕筰の友情を描いた映画『この道』が2019年1月11日に公開される。遊び人でダメ男の北原白秋の波乱に満ちた人生、誰もが一度は口ずさんだことのある名曲の誕生秘話が、美しい音楽と共に描かれる。佐々部清監督が「やんちゃで色気のあるところがピッタリだと思った」と太鼓判を押す、北原白秋役の大森南朋と、白秋を支える妻・菊子を演じた貫地谷しほりに作品について話を聞いた。

貫地谷しほり、大森南朋の無邪気な演技に母性を感じる

――白秋は愛すべきダメ男という役どころでした。佐々部監督からは大森さんが白秋役にぴったりというお墨付きがあったようですが、それを踏まえてどう演じられたのか教えてください。


大森 監督のコンセプトに合うように無邪気にできたらいいなと思いながら演じました。芸術家は、ダメなところも含めて魅力的だったりするので、そこは意識していました。僕に対して“やんちゃ”とか? なんでそういう印象を持たれたのかはわかりませんが(笑)。


――実際に演じられてみて、白秋との共通点は感じましたか。


大森 どうなんでしょう。女の人にだらしないような部分が描かれていましたけど、僕はそんなところはないです(苦笑)。

――貫地谷さんはそんな白秋を支える妻役として、大森さんにどんな印象を持たれましたか。


貫地谷 最初本番前のテストをしたときに大森さんの演技を見て、ふざけてるのかなって思っちゃったんです。それくらい無邪気に見えて(笑)。でも時間を重ねていくうちに可愛らしいというか、自分の子供みたいな、母性ってこういう感じなのかなという気持ちに変わっていきました。


――妻である一方、母親としての表情も印象的でした。妻を演じ、母になるという心境の変化はどう作っていきましたか。


貫地谷 結婚前のシーンではまだ女の子。側で大森さんの演技を見ているうちに、愛おしい自分の子供のような存在に自然に思えてきたので、作りこむというよりは、感じたままを演じることで、妻になり母になれたのかもしれません。

――可愛らしい以外に「色っぽさ」も白秋の魅力だったと思います。撮影中に大森さんの色っぽさを感じたところがありましたか。


貫地谷 色っぽさ……ですか(笑)。撮影中に近くにいると可愛さのほうが印象的でした。どちらかというと、白秋を演じられる以前の大森さんのほうが色っぽいイメージを持っていました。画面を見ながら、においたつような“むんむん”とした色気を感じていました。


――妻としての立場から見ると可愛らしく映るのかもしれないですね。とくに可愛いと感じたところはどんな部分ですか。


貫地谷 白秋は妻の私に怒られて毎回しょぼんとするんですよね。反省の仕方が子供みたいで、しょうがないわねっていう気持ちになっちゃいました。


大森 46歳にもなって可愛らしいと言ってもらえるのはありがたいです(笑)。


――大森さんは、しっかり者の妻を演じた貫地谷さんにどんな印象を持ちましたか。


大森 カメラが回っていないところでは自然体の貫地谷しほりさんですが、本番になると、ちゃんとピッと変わる。ビックリするくらい、その場所に立っている人になっていました。さすが百戦錬磨の女優だなと。


貫地谷 いえいえ、そんなこと言われたことないですよ(笑)。


京都太秦のスタッフによる緻密なセットに感動「まるで外で撮影しているような」

――白秋と山田耕筰の関係がメーンとなる物語でしたが、2人の友情についてはどう感じられましたか?


大森 この時代にいた天才が交わってスパークするという部分が大きく描かれていますので、天才2人が生み出したものの素晴らしさを伝える意識をしながら演じていました。改めて2人のことを考えると、北原さんにもっと長生きをしてもらって、もっと曲作りをしてほしかったと思いました。


――白秋と耕筰の2人が縁側で語り合うシーンの夕焼けは印象的でした。あれはCGではなくセットだったということでビックリしました。


貫地谷 外で撮影しているのかと勘違いしてしまいそうなほどの素晴らしいセットが広がっていました。ホントにすごかったですよね! 


大森 京都太秦スタッフの日本映画伝統の技術です。なかなか、最近であそこまで作りこむことはないと思います。


貫地谷 関東大震災のシーンもあったのですが、そこもカメラを揺らしながら、テグスで引っ張って棚が倒れたり、お皿が割れたりと、ちゃんと計算されていて感動しました。今はCGを始め、映像技術はものすごく進化していますが、アナログなことでよりリアリティって出るんだなと思いました。


――観客のみなさんにはセットにも注目して見てもらいたいですね! 最後に、完成作品を見たときの感想を教えてください。


大森 少し恥ずかしかったです(笑)。


貫地谷 そうそう、隣で見ていたらすごく照れている感じが伝わってきましたよ。


大森 伝わりました? 人にはわからないようにしていたつもりだったんですけど。


貫地谷 どの辺がとくに恥ずかしかったんですか?


大森 無邪気にはしゃいでいる芝居をしているので、それを冷静に見ると恥ずかしかった(笑)。ただ、作品全体としては素晴らしかったです。白秋と耕筰の関係はわかりやすく描かれていて、女性陣の魅力も浮き上がっている。殺伐とした現代と近いような部分も感じますし、いい作品になっていると思いました。


――貫地谷さんはいかがですか。


貫地谷 一芸に秀でている人って、ダメな部分もあるんですよね。そこを周囲がサポートしたくなるような魅力を持っている。それは何だろうなと考えたときに「純粋であること」「自分がやりたいことをやっていること」だと思いました。それがしっかり描かれていて、皆さんが見て、意見を持ったりとか、背中を押せるような作品になっていると思います。


――ありがとうございます! 公開を楽しみにしています!

■大森南朋/スタイリスト:伊賀大介(band)/ヘアメイク: TAKAHASHI(STEREO Gn)

■貫地谷しほり/スタイリスト:酒井美方子/ヘアメイク:北一騎(Permanent)

■テキスト:氏家裕子

■写真:You Ishii

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