30秒で観客を魅了する“Fリーグ版メッシ”。奇跡の湘南の立役者・ロドリゴが2年目のジンクスに挑む

 リオネル・メッシはこの10年間、世界フットボールシーンの頂点に君臨してきた。誰にも止められないキレキレのドリブル、類まれな得点力、勝利に導くリーダーシップ。もはや説明はいらないだろう。

 そのプレーを数十秒でも見れば、ほとんどの人がファンになってしまう。メッシには、それくらいのインパクトがあるのだ。かたやフットサルでも、わずかなプレーで観客をトリコにしてしまう選手がいる。


 湘南ベルマーレのドリブラー、ロドリゴだ。自チームのチャンスと見るや一気にギアを上げて敵陣に侵入して、あっという間にゴールを奪ってしまう。シーズンを重ねるごとに、存在感は増すばかり。そんな一撃必殺のプレーを武器に持つ彼は今、クラブの浮沈を左右するキーマンとしてピッチに立っている。


“2年目のジンクス”と戦う湘南のエース

 昨シーズンのチームは「奇跡の湘南」と呼ばれた。万年下位争いが定位置となった弱小チームが「今年は強い湘南を見せる」と宣言して、本当にリーグ戦で旋風を巻き起こした。クラブとして初めて、上位5チームが出場できるプレーオフに進出して“強い湘南”を印象づけた。ところが彼らは、それに満足しなかった。


「昨シーズンがまぐれではないことを見せる」


 今シーズンの湘南は“2年目のジンクス”との戦いを強いられた。「結果を出さなければ本当の強者にはなれない」という重圧が、選手、監督、スタッフ、サポーター、すべてにのし掛かっているようだった。


 ロドリゴもそうだ。湘南で2年目を迎えた昨シーズンは、得点ランキング4位に食い込む30得点を挙げて名実ともにエースとなった。スピードに乗ったドリブルが最大の武器であり、切れ味の鋭い切り返しやフェイクで相手を翻弄して、そのまま強烈な左足シュートをたたき込んでしまう。アタッカーでありながらも、自陣の後方でプレーすることが多いのは、ボールを奪った後にスピードアップするスペースを作るため。発動したら最後、ゴールが決まるまで止まらないカウンターこそが“奇跡の湘南”の攻撃の真骨頂であり、その中心には必ずロドリゴがいた。しかし今年の彼のプレーは、その鮮烈なイメージにはまだ及んでいない。


 徹底したマークを受けることで、チームとしても選手個人としても苦戦を強いられているのだ。それでも、昨シーズンの成績で手に入れた自信と積み重ねによってベースアップしたスタイルを武器に、湘南は上位戦線になんとか踏みとどまってきた。残り10試合を切って、2位のシュライカー大阪と6ポイント差の5位。これまでのレギュレーションであれば、2年連続プレーオフも順当だろう。しかし今年からプレーオフが上位3チームへと減少したために、このままでは出場権を手に入れることができない。


 1位の名古屋オーシャンズは2位に10ポイント差をつけ、しかも残された試合数が1つ多い。当確で間違いないだろう。4位のペスカドーラ町田も同様に1試合多く残されているため、実際には3位にいる可能性がある。前節、その町田との激闘は、ロドリゴの決勝弾によって勝利目前だったが、最後に失点して引き分けた。今週末は3位・立川・府中アスレティックFCとの対戦。もはや1つも落とせない戦いが続いている。


「引き分けでもまったく問題ないですし、これから全部勝つつもりですし、その力はあると信じています」


 奥村敬人監督は町田戦後にそう話した。3回戦総当たりのリーグ戦は2巡目が終了。つまり3巡目は、互いに戦力や戦い方など手の内を明かした上で、どうやって相手から勝ち点をもぎ取るのかという戦い。この戦略戦かつ総力戦で試されるのは「地力」であり、湘南は残り9試合で「昨シーズンがまぐれではない」と証明しなければならない。だからこそ、昨シーズン並みかそれ以上のロドリゴの活躍が不可欠なのだ。


 ここまでの24試合・12得点は満足のいく数字ではないが、まだエースの本領を見せつける時間はある。奥村監督もロドリゴの覚醒の兆しを感じているからこそ、クラブの常勝を確信しているのだろう。


 21歳で来日して、最初にプレーしたのが立川・府中だった。3年間プレーした後にデウソン神戸に移籍し、そこで1年を過ごして湘南に移ってから、今年で3年目。ロドリゴの力を疑う者はもう誰もいない。だからこそ警戒され、包囲網が敷かれてきたが、それを打ち破り、チームをプレーオフへ導けるのだろうか。


 あっという間にゴールに迫り、あっという間にネットを揺らす。電光石火のそのプレーが再びリーグを席巻したとき、“奇跡”は“必然”に変わるはず。ロドリゴは“奇跡の湘南・第2章”の主役となれるか――。


文・本田好伸(SAL編集部)


(C)AbemaTV

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