”働きたくない男”と箕輪厚介が語る「これから時代のシゴト観」

 がむしゃらに働くことこそが美徳だと思われていた高度経済成長期の価値観は過去のものとなり、長時間労働の削減や、ワークライフバランスの重視など、働き方や働く意味は大きく変化している。民間人として初めて月へ行くことを発表した株式会社ZOZOの前澤友作社長も「インプットとアウトプットの量は常に比例するという考え方」と、月への冒険は"いい仕事"をするためのものだと語っている。


 あなたにとっては"働く"とは?街でそう尋ねてみると、若い人たちからは「いろんな出会いとか、お金以外のものもあると思う」「必要最低限稼いで、自分のプライベートを優先したいタイプ」と、趣味や出会いを大切に考え、「なるべく働きたくない」と答える人も少なくなかった。

 そんな若者の一人、"なるべく働きたくない"という久野太一さん(33)は、LINE、サイバーエージェントとIT企業を渡り歩いてきた。「カルチャーフィットできなかった。毎日飲み会があって、給料日の前日には預金残高が3桁になってるような生活。東京で暮らすのが嫌になっちゃった。働かないで食べていこうと思った」と、1年半前に福岡県糸島市に移住した。

 「会社を辞める時、"働かないで生きていけるなら、そうしたい"と挨拶した。ルンバを改造して、自販機の下から小銭を取ってくるものを開発できるような人になりたい。そういう人生を送りたい」。


■交際相手も「収入が3分の1になっても、今の暮らしのほうが合ってるし、楽しい」

 今は海沿いにあるシェアオフィスを拠点に、知人から受けたWEB運営の仕事をしながら生活をしている。「だいたい昼前後に来て、17〜18時くらいには帰る」というが、その間も読書をしたりNetflixを見たり。働いている時間は週に10時間ほど。オフィスに来ても、ぼーっと海を眺めるだけで帰る日もあるという。

 自室には仮想通貨をマイニングするために20万円で購入したパソコンや、投資を始めようと購入した『会社四季報』など、いたるところに働かないで生きていくためのツールがあった。

 同棲している交際相手の福原桃似花さん(26)も東京の大手企業に勤めていたが、久野さんの考えに共感し一緒に移住してきた。「収入が3分の1になっても、今の暮らしのほうが合ってるし、楽しい」と話す。

 久野さんに"働く意義"を尋ねると、「お金を稼ぐためにというのは僕の中では薄くなってきている。お金の価値が下がると、仕事の内容や一緒に働く人に重きが置かれることになるが、それは入ってみないとわからないこと。その意味で、就職活動や転職活動はギャンブルだと思う。危ない。僕は人と繋がっていないと寂しくて死んじゃうので、仕事はそのためのチャネルだと思っている。ノリで福岡に引っ越してきたが、友達がいないので毎日ゲームをやっている。そこに一抹の寂しさはある(笑)」という答えが返ってきた。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「気持ちはわかる」と話す。「学生時代、集団生活にウンザリしていて、卒業後はニートになろうとしていた。性格的に組織愛みたいなものも持ったことがない。でも、運良くアイドルグループに受かり、今の仕事にたどり着けたからこうして働けている。奇跡だと思う。今の仕事は私にとって趣味、遊び。だからこそ一生懸命になれるし、プライベートも仕事で良いと思っている。もしこの仕事してないのであれば働きたくないし、お給料も生きていける分だけもらえれば、あとは家にいて読書やテレビを見て好きにしていたい」とぶっちゃけた。

 お笑い芸人・インパルスの板倉俊之は「芸人の仕事も、本を書くのもやりたいからで、お金のためではないと言い切れる。でも、バイトをしないといけなくなると、やりたいことをするための時間が削られるから、少なくとも今の生活レベルを維持できる水準は保っていきたい」と話した。


■箕輪厚介氏「クリエイティビティがないものはバリューが付かないし、ブランディングにもならない」

 "仕事を愛してやまない""誰よりも仕事量をこなす"で有名な幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は、そんな働き方の意識の変化について「ぶっちゃけ衣食住はみんな足りている。日本で普通に生きていれば死にはしない。だから自分が楽しいこと、やりたいことが一番大事で、お金よりもその優先順位が高くなっていて、"お金を稼ぐことはちょっとダサいよね"という風になってきたと思う。だからぶっちゃけメチャクチャ時給が良くても地獄みたいな仕事を提供する会社は人を雇用できず倒産する」と話す。

 「上の世代は"達成""快楽”。結果を出して、良い女を抱くとか、良いワインを飲むとか。そういうことでやる気を出してきた。でも人間の欲望には他に"意味合い""良好な人間関係"没頭"があり、今の多くの若者はそれらを求めていると思う」。


 仕事を通じて得られる、社会や人に必要とされている感覚に関しても、遊びやNPOなどを通して得ることが可能だと指摘、専門職にありがちな、いわゆる"下積み"期間、修行期間についても否定的だ。「ある種の役割が決まっていて、クリエイティビティがないものって、自分にバリューが付かないし、ブランディングにもならない。はっきり言って、会社に時間を吸い取られているだけで、魅力は感じない。そういうところでは働くべきではないし、僕の言葉を信じる人たちはそういう所をどんどん辞めていっている」。


 前出のZOZO前澤社長は、働く意義について「働くなんて一種の余暇活動でいい。人生を楽しむため、好きなことをするために会社に入るのが本来のあり方」だと語っている。"現代の魔法使い"と呼ばれるメディアアーティストの落合陽一氏は「差別化した人生価値を仕事と仕事以外の両方で生み出し続けられたものが生き残る時代」として、睡眠以外の時間全てが仕事であり趣味である「ワークアズライフ」を提唱している。


 箕輪氏にとっても仕事と遊び、趣味のボーダーラインはないという、「今AbemaTVに出演していることも遊びだし、この後、飲みに行くことも遊びだし、明日の朝一の会議も遊びか仕事か分からない。要は、絡み合っている感じ」。


■「暇にしていないと、やりたいことが見つかった時にすぐ飛びつけない」

 そんな箕輪氏が編集を担当した本は、落合陽一氏の『日本再興戦略』や佐藤航陽氏の『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』、堀江貴文氏の『多動力』など、話題作ばかりだ。最近ではメディア出演も数多くこなし、今月だけでも『スッキリ(日テレ)』に2回、『バイキング(フジ)』、『バラいろダンディ(MX)』やラジオ番組にも出演している。


 慶應義塾大学特任の若新雄純准教授は「仕事というのは、どういう気持ちでやったかということは評価として問われないと思う。つまり、"遊びのつもりでしました"というのも、"仕事のつもりでしました"というも、ただの言い訳でしかない。箕輪さんも、その周りでパートナーとしてやっている方たちも、納得のいく成果を出しているから。ただ、どんな環境であっても社会的な評価を得られるだけのポテンシャルのある人だけがそういう自由を得ているのではないか。実際、箕輪さんが編集している本を読んで高校を中退して状況してきたという子に出会ったが、"受験の方が簡単でした"と言っていた」と指摘する。

 箕輪氏は「僕の作る本や発言に影響されすぎて"楽しいことをやればいいじゃん"というノリもあるが、それはある意味では正しくない。やっぱり何者かになる人は歯をくいしばって頑張っている。生理的に合わないとか、頑張れないのに無理する必要はないけど、やっぱり大気圏を突破するためには、命がけ、死にもの狂いで頑張る瞬間が必要。それはいつの時代も変わらない」と"楽しさ"だけを求める風潮に釘を刺した。


 箕輪氏の話を受けて、久野さんは「結局は働きまくっている箕輪さんと、働きたくない久野、という対立構造に見えるかもしれないが、僕は箕輪さんの本をめちゃくちゃ読んでいるし、求めているところは同じ。僕がなんで働きたくないかというと、箕輪さんみたいに、"これだ"っていう何かを見つけるため。暇にしていないと、それが見つかった時にすぐ飛びつけない。だから今、週10時間しか働いていない」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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