大人が大興奮の「社会科見学」ツアーの仕掛け人、小島健一氏の今年の夏のオススメは?

 映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』のロケ地にもなった、長崎県の軍艦島。この地で撮影が行われることになったのは、監督の樋口真嗣氏が島の見学ツアーに参加したからだという。そのツアーを仕掛けたのが、鹿児島在住の"見学家"、小島健一氏(42)だ。10年以上前から、たった一人で大人向けの社会科見学ツアーを企画、これまでに案内した人は3000人以上に上るという。

 小島氏のツアーはとてもユニークだ。参加申し込みは小島氏のTwitterアカウントにダイレクトメッセージを送るだけ。しかも代金は無料だ。旅行会社のツアーなら、数千円〜1万円の料金がかかるところ、小島氏のツアーの場合、参加者の負担は交通費など実費のみ。


 それにもかかわらず、小島氏は社会科見学したら面白そうな場所を見つけ担当者と交渉、参加者を募集し現場に連れて行く、という一連のプロセスを一人で担っている。「まず私自身が見たいから。私自身は社会科見学の記事を書いたり、写真を撮ったりしてお金を頂いている。団体で申し込まないといけないところも多いので、皆さんをお連れしようと。普通の人が見に行かない場所に行くのが好きなので、それをやっていれば幸せに暮らせる」。

 小島氏のツアーが人気の理由は、なんといっても「巨大なものが見られること」。SFチックな物体のある研究施設や、巨大な柱が立ち並ぶ神殿のような治水施設など、思わずテンションが上がってしまう場所ばかりだ。参加者の中にはクリエイターも多いといい、ウルトラマンやゴジラなどのポスターを手がける怪獣絵師・開田裕治氏は「見慣れていない世界に触れることで、想像力が刺激されるというメリットはある」と話す。

 小島氏が企画した、東名高速と関越道をつなぐ「東京外かく環状道路」の巨大トンネルの掘削の模様を見学するツアーを見せてもらった。

 国土交通省の担当者が説明する中、小島氏は謎の人形を撮影したり、作業員の熱中症対策のかき氷を発見したりと、自身も楽しんでいる様子だ。「やっぱり現場のプロの方に説明してもらった方が絶対にいいので、そこはお任せしている」。参加者たちも、「トンネルのデカさがイメージつかなかったけど、実際に行ってこんなにすごいんだっていうか。現場がすごかった」と満足しているようだった。


■mixiコミュニティが1万人規模に成長

 14年前に参加した日比谷共同溝の見学会に衝撃を受け、「もっと色々な場所を見学したい」と思うようになった小島氏。当時大流行していた「mixi」に『社会科見学に行こう!』というコミュニティを立ち上げ、活動を開始。すると様々なメディアに取り上げられるようになり、ついには1万人を超える巨大コミュニティに成長した。


 そんな小島氏が最初にツアーを行ったのは大飯発電所だった。「SNSがない頃は"工場に行きたい"と言ってもなかなか人が集まらなくて、最初は2、3人だった」。しかし、SNSが普及するにつれ参加者も増え、投稿・拡散による認知向上の効果から、見学を受け入れてくれる施設も増えていっているという。炭鉱が閉山し寂れてしまった島の観光客を20倍に増加させたという実績も挙げた。

 これについて東京工業大学教授の柳瀬博一氏は「事業仕分け以降、税金で何をやっているのかを楽しく、面白く伝えた方がいいという方向に公共施設などが変わっていった」と指摘した。

 「どれも人を救うために作っているものだが、そんな土木の世界には無駄がない機能美があり、どんどん見に行きたくなる。リピーターが多く、最初は小さなカメラを持ってきた人が大きなカメラを持ってくるようになるのが面白い」と小島氏が話すとおり、巨大建造物の見学ツアーは2004年ごろから人気となり、旅行会社もツアーを組み始めるなど、"大人の社会科見学"は一大ブームになり、今に至る。


■今年の夏のおすすめは東京湾の第2海堡と鹿児島の曽木発電所遺構

 小島氏には、社会科見学で関わった場所を残したいという思いもある。崩壊が懸念される軍艦島では、ドローンを使った3Dマップ作成にも携わった。「私が長崎大学にいた頃に研究室でやっていたことだが、どこがどれくらい壊れたのかを正確に把握するための3Dモデルを作っていた。どのくらいの量のコンクリートが欠けたのかが分かれば、補修が容易になる」。

 また、この夏必見のスポットは「旧日本軍が東京湾に作った要塞『第2海堡』。今月から入れることになり、旅行会社もツアーを組んでいる。また、私の住んでいる鹿児島にある曽木発電所遺構。通常はダム湖の中に沈んでいるが、夏の時期だけ水を抜くので姿を現す。今月くらいからここも見学しやすくなっている」と教えてくれた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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