ロリータファッション界のカリスマ青木美沙子 今年で35歳「いつかは親子でロリータを」

1990年代から、原宿を中心に若者たちを魅了した「ロリータファッション」。そんな日本独自のカルチャーを牽引し続ける一人の女性がいる。現役の看護師でありながら、ロリータモデルとして活動する青木美沙子だ。その人気は日本だけに留まらず、世界各国にファンを抱え、外務省公認の「ポップカルチャー発信使」(通称「カワイイ大使」)としても世界中を飛び回るロリータ界のカリスマである。高校生からロリータモデルを始めた彼女も今年で35歳だという。約17年もの間、ロリータを愛し、発信し続けてきた彼女に今のロリータを取り巻く状況を聞いてみた。


■正直、「ロリータ」を何度も辞めたいと思った


―「ロリータファッション」を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?


17歳の時、原宿で『KERA』という雑誌に声をかけていただいたことがきっかけです。最初は小さなストリートスナップに掲載されて、その後読者モデルとして活動するようになりました。撮影でロリータファッションを着るようになったら、すごくときめいてしまったんです。ずっとロリータに憧れはあったのですが、高校生だったので金銭面的にもロリータブランドは買えなくて……。それまでは、当時流行っていた派手な古着ファッションをしていましたね。


―10代からロリータを続けてきての心境の変化はありますか?


ロリータファッションを始めて17年…今年で35歳になるのですが、正直何度も辞めたいと思いました。普段は看護師の仕事もしているので、モデル業とのバランスが取れない時は本当に苦しかったです。特に大学病院に勤めていた頃は、急な撮影が入ってももちろんいきなり休めないですし、看護師という仕事上、肌荒れや手荒れも多かったので、モデルをする際に迷惑かけてしまったり……。忙しくなればなるほど、悩んだこともありました。


―モデル業だけでなく、ロリータファッション自体を辞めようと思ったのですか?


モデルを辞めたいと思った時は、私服でロリータファッションを着るのも辞めようと思っていました。大好きなファッションなので、完璧に着たいという気持ちがあって。やっぱりロリータたるものかわいくなければいけない。こんな状態で着るなんて、ロリータ服に失礼じゃないのかとすごく葛藤がありました。ロリータってすごく精神性を重んじるファッションなので、若い頃は先輩方に色々注意されることも多かったですしね。


―たとえばどんな注意をされたのでしょうか?


「ロリータ服を着ている時にハンバーガーは食べてはいけない」とか(笑)。もちろん今はもっと寛容ですけれど、当時は「ロリータはこうあるべき」ということを先輩たちに教えていただきました。あとは、「大声で笑ってはいけない」とかもありましたね。私が10代だった頃は「清く正しく美しく」ということが今よりももっと重要視されている時代でした。


■今や日本の10倍にまで拡大。中国の勢いが止まらない


―約17年間ロリータをやられて、ロリータファッションはどんな変遷を辿ってきたと思いますか?


ロリータファッションも流行やシーズンによって変化があります。デザインも昔はレースが主流でしたが、一時はプリントブームにもなりました。今は、クラシカルロリータがトレンドかな。あとは、海外のブランドがとても増えてきていて、中国に大体500近くのロリータブランドが存在します。中国は今、かなり勢いがありますね!ロリータ人口も日本の約10倍にまで膨れ上がりました。


―何かきっかけがあって、中国で流行り始めたのでしょうか?


日本でも「インスタ映え」が流行っていると思いますが、中国の女の子こそ自分をアピールする傾向にあるかなと。中国版ツイッターとも呼ばれる「weibo(ウェイボー)」で、映えるのがロリータファッションなんです。「貴族みたい!」と話題になり、とてつもない勢いでロリータ人口が増えました。服のクオリティは日本のブランドの方が上ですが、中国ブランドもかなりレベルが上がってきているので、「抜かれてしまうかも」という危機感はありますね。


―最盛期と比べて日本のロリータ文化はどう変化してきたと思いますか?


私が関わってきた約17年間で1番盛り上がったのは2004年頃。映画『下妻物語』で深田恭子さんと土屋アンナさんがロリータファッションを着てくれたおかげで、一気にブームとなりました。それから2009~2011年頃にきゃりーぱみゅぱみゅさんが台頭し、原宿ファッションがまた盛り上がりましたね。当時は私も「カワイイ大使」としてたくさん海外にも行かせてせていただきましたし、海外に進出しようという風潮も強かったです。でも、今は正直なところロリータの年齢層がどんどん上がっていて、若い子があまりロリータファッションにのめり込まなくなっています。


ーなぜ、若い世代はロリータファッションを着なくなってしまったのでしょうか


もちろんブームもありますが、ロリータファッションは単純に、価格が高い。今は、ファストファッションでもすごくかわいいアイテムがそろっているので、そこまでお金をかける必要がないのでしょうね。それに、「インスタ映え」も洋服ではなくカフェ代に使う人が増えているのではないでしょうか。そうした時代の流れもあり、軒並み雑誌は休刊してしまいましたし、ロリータは日本独自のファッションカルチャーでありながら、今は少し海外に押され気味に感じます。


―10代でロリータをしている子は、今はあまりいない?


少ないですね。25歳から上の方が多いと思います。ただ、逆に50、60代の方が結構多くて。子育てがひと段落して「やっぱり着てみたい!」と思ったそうです。実はロリータファッションって歴史が30年程と短いので、青春時代にロリータというカルチャーがなかった人たちもたくさんいるんです。だからこそ、抵抗なく新しいファッションとして気軽に買えるということもあると思います。みなさん、ものすごく輝いていていますよ。


■いつかは家庭を持って、子供と一緒にロリータを楽しみたい


―40代、50代になってもロリータファッションは続けていきたいですか?


何歳までとは決めていなくて、好きという気持ちがある限りはずっと続けていきたい。あとは、将来的に家庭は持ちたいと思っています。お茶会にも10代のお子さんとそのお母さんが親子で遊びに来てくれることがあって、すごく羨ましいですね。私も親子でロリータファッションやってみたいです。でも今はいい相手がいなくて……(笑)。ロリータってどうしても男性に受け入れられ難いファッションですし、看護師の職場も女性しかいないので、なかなか出会うチャンスがないんですよ。


ータイプの男性はいますか?


恋愛しなさすぎて、もうタイプとかわからないです(笑)。だからロリータに理解のある方に出会えたらすぐにでも結婚したい!とりあえず一緒にご飯に行ってくれる方であれば満足です。基本、ご飯すら一緒に行ってくれないので……。目立つからこの服装で行ったらほとんどの男性が即アウトです。「僕といるときは普通の服を着て」と言われたこともあります。日本人男性って人の目を気にされる方が多いのでなかなか難しいですね……(苦笑)。


―ブログでもロリータに関することを多く発信しているかと思います。ブログをスタートした当時から現在までどのようにブログと関わってきましたか?


22、23歳頃からアメブロは続けていて、もう10年くらいでしょうか。少しお休みをしていた時期もありましたが、再開したら「アメブロを始めてくれてありがとう」とコメントをいただいたり、今は結婚して子供がいるけど、10年前はロリータ好きでしたと報告してくれる方もいて嬉しいです。ブログは他のSNSと違い、写真もたくさん載せられますし、文章も長く書けるので、自分の気持ちがとても書きやすいです。


―今後は、どのようにロリータファッションを盛り上げていきたいですか?


原宿ファッションを支えてきたブランドやショップが多く閉店し、それで育ってきた身としてはすごく寂しいです。着る人がいないから、なくなってしまうのであって、ロリータファッションをどうにか盛り上げていかなきゃという話は仲間とよくしています。月1ほどお茶会を行い、ロリータを着ることができる機会作りをしていく。それが、ロリータファッションを盛り上げていく1つの手段じゃないかなと。最近、海外に押され気味ですが、日本でもイベントを増やして、もっとロリータ文化を盛り上げていきたいと思っています!

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