「交際」「成功」語る姿も、韓国籍を捨て“自然体の北朝鮮市民”を映した女性監督の決意と期待

 韓国籍を捨てて北朝鮮に入り、ドキュメンタリー映画を撮影した女性監督が来日し、『AbemaNews』の単独インタビューに応じた。これまで映し出しきれなかった北朝鮮の“自然体の市民”をとらえた映画は、日本でどのような評価を受けるのか。


 「いま彼は大学生なんです。大学での評判も聞きましたがとても良かったので…交際を決めました」


 はみかみながら男性との「交際」について語るのは、北朝鮮の軍関係者の女性。一方、縫製工場で働く女性は「成功」について「地位を上げるためではなく、私自身の能力を上げたいんです」と話す。

 全ては「最高指導者ありき」が当たり前と思われた市民が、「自分自身」を語っているドキュメンタリー映画『ワンダーランド北朝鮮』。ドイツ国籍のチョ・ソンヒョン監督が、2014年から2015年にかけて北朝鮮を撮影した映画だ。北朝鮮の「ごく普通の市民」の生活ぶりが描かれている。撮影のきっかけは、チョ監督がドイツのテレビ局から提案を受けたことだった。


 「もちろん初めて(北朝鮮に)入ったときはすごく怖いと思いました。なにしろ子どもの頃から『(北朝鮮の人は)顔も赤くて角も生えている』と教わったから。“悪魔のようだ”という印象も残っていてすごく怖かったんですけど、1回行ってみると全く怖いと思いませんでした」


 現地渡航のため、チョ監督は韓国籍を放棄。事前の調査や交渉を含め合計6回、北朝鮮に入った。北朝鮮側の関係者が立ち会う中でのインタビューもあったが、チョ監督は「不自然な姿を見せることは祖国のためにはならない」などと主張し、関係者を退席させたこともあったという。


 「映画を観てもらえれば、この映画がプロパガンダでないことをわかってもらえます。(プロパガンダと思う人は)おそらく“北朝鮮が悪だ”ということを使って、自分たちが得をしている人のようです。そういう人は自分の考えを変える意思が全くないし、そういう人たちを助けることはできません」(チョ監督)

 映画には、最高指導者を愛してやまない市民が登場する場面も幾度となく出てくる。しかし、「英語」を学ぶ子どもたちもいれば、生活のために「アメリカ向け」の製品をつくる女性たちの姿も。国内外のメディアが“切り取ってきた”映像からは、決して見えてこなかった様子だ。


 「表向きには(北朝鮮は)『アメリカを敵国だ』と言っていますが、生きていくため、ビジネスのためにはアメリカのための服も作れるし、それが全く問題ではないこと、またそれを私たちにも堂々と話してくれました。そのことに非常に驚きましたし、うれしかったです」(チョ監督)


 今月12日、全国公開に先駆け、東京都内で行われたシンポジウムで映画が上映された。出席したチョ監督は、時折ユーモアを交えて会場を沸かせつつも「実情を見て、北朝鮮を理解してほしい」と来場者に訴えかけた。

 映画を観た人からは「北朝鮮の中にも絶対に報道されるところとその裏側があると感じていて、それを確かめるために映画を観たが本当にその通りで感動した」「人として我々と同じなんだな」との声があがった。


 映画は6月30日から全国で順次公開される。「日本での評価は予想できない」とするチョ監督だが、あくまで1人の映画製作者として「平和と共生の第一歩になり得るきっかけにつながれば」と静かに期待を寄せている。

(AbemaTV/『AbemaNews』より)


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