山手線に防犯カメラ設置へ!中国はAIカメラも登場!?プライバシー保護か防犯か

 痴漢などの犯罪防止とテロ対策強化のために、防犯カメラを搭載したJR山手線の新車両が走り出す。プライバシー保護か防犯か、その2つを天秤にかける時代が来ている。


 新潟市で起きた小2女児殺害事件の捜査で、容疑者特定につながる重要な証拠になったのが、街に設置された防犯カメラやドライブレコーダーに残された映像だった。また、おととい、東京・足立区で口論になった男性を車で1.5kmひきずるなどして若い男女の容疑者が逮捕された事件も、決め手となったのがカメラの映像だった。

 2015年、大阪府寝屋川市で行方不明になった中学1年生の男女2人が遺体で発見された事件では、防犯カメラが捉えた商店街を歩く被害者と近くを走る犯人の車の映像が繰り返し放送された。昨年、埼玉県杉戸町で起きたタクシー強盗事件では、ドライブレコーダーの映像公開が犯人の出頭に結びついた。

 防犯カメラの設置は、事件を未然に防ぐ"抑止"にもつながる。たとえば新宿・歌舞伎町における路上犯罪認知件数の推移を見てみると、防犯カメラ設置前の2001年は634件だったのが、2016年には325件にまで減少していることがわかる。

 ITジャーナリストの三上洋氏によると、犯罪捜査の現場では捜査員による地道な映像の確認作業が行われているそうだが、AIとの融合による精度の向上、効率化が急速に進んでいるのだという。

 例えば予め登録された対象者の姿を捉えた場合、人混みの中でも顔の輪郭や表情から特定、さらにデータ上の顔写真と向きや角度が異なっていても同定できるのだという。さらに「歩容認証」という姿勢・歩幅・腕の振り・動きの左右非対称性など、歩き方の特徴を利用して照合する技術の研究も進んでいるようだ。

 こうした技術革新の一方、プライバシーの問題や、カメラがネットワークと接続されることによる不正アクセス・ハッキングの不安は拭えない。


 2006年、全国5000か所を超える防犯カメラの映像がハッキングされ、飲食店やオフィス、街頭などの映像が海外のウェブサイトを通して閲覧できる状態になっていた事件が発生。カメラの所有者がインターネットと接続して、パスワードが見破られたことが原因とみられている。また、先月には千葉県八千代市の川の水位を監視するために設置されたカメラ2台が外部からの不正アクセスを受けて操作不能になる事件も起きている。


 三上氏は「どこからでも確認できるという利点があり、ほとんどの防犯カメラがネットに繋がっている。しかし、パスワードの安全性が低かったり、ネットワークカメラ自体に脆弱性があったりすることから、アメリカの大企業の中には、オフィスのノートパソコンのカメラにテープを貼って盗撮防止の対策をしているところもある」とした。


■海外で進む監視社会化と法整備

 中国ではAI内蔵の防犯カメラを2000台設置、GPSや顔認証システム、犯罪者データベースと連携することで、容疑者の居場所を即座に特定、警察が駆けつけることができる体制を整えているという。三上氏によると、中国企業が開発したこのシステムの利用により多くの犯人検挙に繋がっており、中には6万人がいるライブ会場から犯人を特定したケースもあるという。


 「クレジットカードをどう使ったのか、ネットをどう利用しているのかなどをスコア化したものもある。そのデータと防犯カメラのデータを照合することで、ある人の行動やスーパーで何を買ったかまで、国側がチェックできる仕組みになっている。日本や欧米では監視社会に抵抗があるが、中国にはそうしたプライバシーの感覚がなく、便利で通ってしまう」(三上氏)

 同じく「超監視社会」ともいわれるロンドンは、人口1人当たりの監視カメラの台数が世界一だという。道路には9000台のカメラが設置され、自動ナンバープレート認識システムも導入されており、スピード違反や駐車違反も徹底的に監視されている。さらにイギリス南西部にあるデヴォン・コーンウォール警察では、行方不明者の捜索や野生動物犯罪の取締りのため、ドローンを使った"空中監視"も検討されているという。地元メディアは「アクセスしにくいエリアで生死に関わる情報を迅速・安全に入手できれば効率的に対処できる」と伝えている。

 EUでは個人データを適切に扱うことを目的としたGDPR(一般データ保護規則)が28か国で導入されようとしている。個人データを適切に処理しなかった場合、罰金は最高2000万ユーロ(約26億円)、あるいは企業の全世界年間売上高の4%以下の納付が義務付けられる。

 三上氏はGDPRについて「監視カメラやビッグデータで集めたデータを企業がEU外に売らないよう、厳しい規則を加えた日本と関係ないように思うが、EU内に支店が一つでもあれば対象になるし、EU内の人が日本のウェブサイトで物を買ったら、その個人情報を守らないといけない」と警鐘を鳴らした。


 国内外で進む「超監視社会」化。三上氏は「国家権力が監視するようにも思うが、それだけではなく、今はグーグルやアップルなどのIT企業や警備会社が取ったデータをビジネスに展開するようになってきている。日本もGDPRにならった形で、個人情報保護法を強化していく必要がある」と指摘した。


 安全・安心と監視との関係について、議論を深める必要がある。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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