疑惑の次官”退職金5300万円”は妥当? 専門家「民間で”ゼロ”にしたら大問題」ペナルティは別で考えるべき?

 24日の閣議で辞任が了承された財務省の福田淳一事務次官。セクハラ疑惑を認めないままでの辞任によって浮上してきたのが、約5300万円とも言われる退職金支払いの是非だ。「懲戒処分の対象は現役職員のみ」という規定もあることから、野党は福田氏に対する辞任前の処分を求めてきた。

 財務省への野党合同ヒアリングの席上、希望の党の柚木道義衆院議員は「月給117万円、勤続36年で退職金基本額は4789万円。これに最高レベルの"役職調整額"572万円が上乗せされ、退職金の合計は5361万円になる」と推定、「懲戒免職の場合はこの退職金がゼロになる可能性があるのか」「これは税金だ。本当に処分なくしてその退職金が満額支払われた場合に財務省として国民の理解を得られると考えるか」と厳しく詰め寄った。

 こうした野党の批判に対し麻生財務大臣は「福田次官に対して今後とも調査に協力すること。調査の結果、懲戒処分に相当すると判断された場合には、その処分に相当する金額を退職金から差し引くこと。そして当面退職金の支払いを留保すること等々を伝えていて、本人も了解しているところだ」と説明。

 しかし立憲民主党の辻元清美国対委員長は「調査してじゃあ処分できるのか。もう1度さかのぼって退職金を減額すると言っているが、そんなことができるのか。この退職金の問題も批判が強かったから留保にしたのだと思う」と指摘した。


 先日、女性問題で辞任を表明した新潟県の米山隆一知事の場合、1470万円の退職金が支給されるという。にわかに注目されている退職金のあり方を議論した。


■若新雄純氏「野党に幻滅した」

 福田氏の退職金5300万円に対し、街では「ちょっと多すぎるかなと思う」「貰いすぎかな。貰っていいのかなと思う。ちょっと羨ましい」「全部が帳消しになるのはどうかなと思う。減額はあってもいいと思う」といった声が聞かれた。

 お笑いタレントの小藪千豊は「最終的にはみなさんの判断だと思うが、僕はPTAの方々をリスペクトしていて、ああいう仕事を誰かがやってくれることへの感謝がある。お金をもらっているもらっていないの違いはあるけど、公の仕事もその延長線上にあって、僕は誰もやらなくてもいい仕事をやっているという負い目もあるから、学校の先生、お巡りさん、議員さん、誰かがやらない仕事をしている人に感謝している。そこには優秀な人が必要で、給料も良いというのがベースにないといけない。だから公務員の人たちがお給料をたくさんもらうことに反対はしない。報道によって、政治家や官僚というのはセコく金をもらっている奴らだという風潮になるのは嫌だ」とコメント。


 野党合同ヒアリングで財務省の柳瀬護参事官が「福田との間でも、懲戒処分に相当するという判断が出た場合には、その処分に相当する金額を退職金から差し引くということになっている」と述べたのに対し、柚木議員は「懲戒免職処分だったら退職金はゼロにもなり得るのか」と質問。柳瀬氏が「一般論で申し上げるとそのような規定になっていると認識している」と回答したのに対し、柚木議員は「ほとぼり冷めた頃にしれっと5300万円税金から支給されるようなことはない、と約束してほしい」と迫った。

 慶應大学の若新雄純特任准教授は「野党には絶望した。なぜなら、仕事への報酬と、犯した罪に対するペナルティは別物だからだ。退職金というのは積立のようなもので、労働者が長年働いて得た権利。本来は労働者を守っていかないといけない野党の人たちが、それを簡単に召し上げるようなことを言うのはメチャクチャだと思う。セクハラは事実なのかもしれないが、40年間やってきたことは別で考えなければいけないし、今の時点でゼロになりますか?と詰め寄るのは、裁判が始まる前に裁判長に"死刑になりますよね?"と言うようなもの。退職金は支払って、その上で問題があれば正しくペナルティを科して、返金するとなればそれでいいと思う。冷静にペナルティを考えるべきだ」と厳しく批判した。

 社会保険労務士の大槻智之氏は「一つのエラーで全部を帳消しにするというのは一般企業では無い。むしろ逆で、5300万円なくすぞと言ったら企業側が袋叩きに遭うと思う。労使紛争になれば福田氏は労働者として守られていたはずで、野党もその立場で企業を追及していたはず」と話す。


■そもそも公務員の退職金は高額なのか?

 株式会社MILIZEのシミュレーションによると、メガバンクの60歳の従業員の退職金は4600〜5000万円程度だという。一方、2015年度の官民の退職金を見てみると、国家公務員は2537万7000円、民間は2459万6000円となっている。このうち国家公務員の退職金は人事院が民間水準を見ながら調整を行っており、今年1月からは3.37%減額されている。また14.9%と大幅減額された2012年には、一部の自治体で駆け込み退職が相次いだという。

 大槻氏が「国家公務員に優秀な人材を集めることを考えて、それなりの水準を維持するというのはどこの国も同じだと思う」と説明すると、小籔は「元官僚の人に、これから官僚のなり手は減るだろうと言われた。一生懸命勉強して官僚になっても、むちゃくちゃ忙しいし、政治家には偉そうにされる。その上、給料が高いってテレビでボロカス言われる。僕からしたら、外国に負けない賢い人たちになってほしいのに」と残念そうに話す。

 

 若新氏も「貴族のように、代々この家に生まれたら税金で食わしてもらえるという人が公務員をやっているなら批判するのは分かるが、官僚は努力の結果、ポジションを得た人たち。その報酬も民間に合わせているのに、その上、何で批判するのか」と訴えた。


 退職金の由来は江戸時代までさかのぼる。商家で働く奉公人が独立する際にのれん分けをしたのが始まりだと言われており、店の主人と奉公人が独立資金を長年に渡って積み立てていたという。この慣習が明治入り財閥系の民間企業に受け継がれ、"給与の後払い"として社員を囲い込むための仕組みとして普及していった。

 大槻氏は「離職率を抑えるという意味もあるが、採用も有利になる、社会保険料や税金も退職金の方が優遇されている。若い人の間にも、退職金がある方がいいと考える人も多いと思う」と説明。


 若新氏は「転職することが当たり前になり、終身雇用も崩れてきていることも考えると、退職金にするか、毎月もらえるかを選べてもいいと思う。東大法学部卒の人なら、30歳、40歳で年収3倍、4倍でいくらでも民間に転職できるが、やはり最後まで省庁に残ってもらいたい。その意味で、省庁には退職金制度を残した方がいい」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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