漫画業界を蝕む海賊版サイト、漫画家からは「それだけのせいなのか?」と問題提起も

 漫画業界がいま注目せざるを得ないのが「海賊版サイト」。漫画の海賊版サイトでは、著作者に無断でアップロードした人気漫画や雑誌の最新号を無料で読むことができ、利用者が急増している。


 インターネットの利用状況を調べているビデオリサーチインタラクティブによると、ある海賊版サイトでは去年12月の時点で約23万人の利用者がいるという。年代別では10代が42%と最も多いが、次に多いのが40代で21%と、若者から中年まで幅広い世代が利用しているのが現状だ。

 漫画の万引きとも言われ、一切漫画家の収入にならない海賊版サイト。これが法に触れるのかどうかは国会でも取り上げられ、文化庁次長の中岡司氏は「権利者・著作権者の許諾を受けておらず、権利制限規定の適応もない場合には権利侵害となりうる」、警察庁生活安全局長の山下史雄氏は「著作権法等の法令違反が疑われる事案に対しては、適切に対処していく所存」と見解を述べた。


 日本のカルチャーである漫画を蝕む海賊版サイト。漫画の未来はどうなるのか、『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)は取り上げた。


 漫画単行本の前年比増減率を見ると、2016年から2017年にかけて約13%減と落ち込みが激しくなっている。海賊版サイトの影響だけとは言い切れないが、漫画単行本が買われなくなっているのは事実だと言える。海賊版による被害額は、経済産業省が平成26年にまとめた報告書では500億円にのぼると推計され、被害の深刻化が懸念されている。

 そういった漫画の海賊版サイトと示談を成立させたのが山口貴士弁護士。2016年10月、成人向け漫画を扱う松文館の漫画が、あるサイトに大量にアップロードされていた。山口氏は「細かくは言えないがアナログな方法」でサイトの運営者を特定したといい、約1年かけて交渉。結果、2017年11月に示談が成立し、損害賠償金は印税に準ずるものとして漫画家にそれぞれ分配した。


 山口弁護士は、示談成立について「国内で相手を特定できたこと」が大きな要因だと話す。

 「逃げられないということで、運営している法人からすべて押さえた。もう一つは、逆説的な言い方だが被害にあった点数が多かった。少ない点数ならともかく、多い点数だと損害賠償請求しても大きな金額になる。警察としても動かざるを得ない状況になる」


 また、ある漫画の海賊版サイトについて意見を聞くと「違法にアップロードされたリンクの集合体。『リンクを紹介しているだけだから違法ではない』という理屈を先方はこねているのでは」との見解。山口弁護士が示談を成立させた海賊版サイトは、国内の自分たちのサーバーにすべてのデータをアップロードしていたが、この海賊版サイトはデータを世界中のサーバーに分散し、表向きはリンクの集合体としているという。


 これは違法行為ではないのか。山口弁護士は「違法行為ではないと言っても著作権侵害行為を激しく助長している、著作権侵害を容易にしているのは間違いない。何らかの形での責任、不法行為に問えるかをキッチリやる必要がある」とした。


 セキュリティ会社の調査によると、ある海賊版サイトはトップページを開いただけで利用者に無断で仮想通貨の採掘(マイニング)を行わせていたという。

 このような海賊版サイトについて、公益社団法人日本漫画家協会は「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが利益をむさぼっている現実があります。このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう」との見解を示している。


 一方で、漫画『やれたかも委員会』作者の吉田貴司氏は「本が売れないのは本当に海賊版サイトだけのせいなのか?」「電子の価格を下げてほしい。そして人気作を網羅した定額読み放題を作る」「読者にストレスなく選択させないとダメでしょう」と問題提起した。

(AbemaTV/『けやき坂アベニュー』より)


次回『けやき坂アベニュー』は3月4日(日)12時から!「AbemaNews」チャンネルにて放送

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