子供向け教室、ナイトタイムエコノミー、オリンピック競技化…変化する麻雀業界の今を取材

 1929年、港区芝に日本初の店舗がオープン、ピーク時には全国に4万軒を数えた雀荘。しかし今では雀荘に足を運ぶ人も減り、雀荘もピーク時の3分の1にまで激減しているという。街行く若者たちも「行ったことがない」「友達の家で1回やったくらい」と「雀荘ではやらない」という意見が大半だ。

 一方、「携帯でならやったことがある」と話す若者もおり、潜在的な麻雀人口は「1000万人とか2000万人くらいはいると思う」(全国麻雀業組合総連合会の高橋常幸・副理事長)との見方もある。実際、登録者数440万人を超えるスマホアプリもあり、ニンテンドースイッチにも麻雀ソフトがある。

 麻雀人口を増やし、再び雀荘を盛り上げたいと願うファンや業界にとって、大きな障壁となっているのが「風俗営業法(風営法)」の存在だ。21日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、識者を招いてこの問題を議論した。


■風営法と麻雀の歴史

 雀荘は風営法が定める「風俗営業」に分類され、午前0以降の深夜営業は禁止されている。また、齋藤貴弘弁護士は「射幸心をあおる遊技、賭博につながる可能性があるので規制されている。警察も地域住民も懸念を持つので、健全化を図らないといけない」と指摘する。

 しかし実際には「時間外営業」や「賭け麻雀」が行われている雀荘が存在しているという。「点棒」に応じてお金のやりとりをしている場合も多く、今年1月には名古屋市の雀荘が大会を開き、参加者に賞金として現金10万円などを提供したとして摘発されている。「現実的には夜7〜8時に始まって、朝までやりたいというニーズは大きい。実際に営業している店もあると思うし、多少の金銭が動くような仕組みでやっている店があるのも実情。現在のスタイルに合わせた法律のあり方をお願いしたい」(高橋氏)。


 「最高位戦日本プロ麻雀協会」所属の現役プロ雀士でもある津田岳宏弁護士は、かつて雀荘でアルバイトをしていたと話す。午前0時以降、表向きは閉まっていることになっていたが、実際には店内で営業が行われており、正午まで働いていたと明かした。

 賭博法違反の疑いで現行犯逮捕された経験がある漫画家の蛭子能収は「賭けの結果を雑誌に載せていたら、警察に注意を受けた。それから1か月後、警察が突然雀荘に来た。珍しく勝っていたので、"マズイ、せめて来るなら負けている日に"と思った」と振り返る。

 「もちろんやってはいけないことだが、おおっぴらにはするなというのが風営法の考え方にはある。警察としても、こっそりやっているところを無理に捕まえることはあまりせず、おおっぴらにやっているところを摘発している」(津田弁護士)。


■雀荘が"夜の経済"の主役に?!

 また、別の文脈から、麻雀の深夜営業を緩和しようとする動きもある。それが風営法改正による規制緩和で、ナイトクラブ、演劇、ミュージカルなどエンタメ分野で"ナイトタイムエコノミー(=夜の経済)"を活性化しようというもので、成長戦略の切り札とも言われている。

 ナイトタイムエコノミー推進に取り組む自民党議連の事務局長でもある秋元司・国土交通副大臣は「昔は料亭で麻雀をやって、その中で物事が決まることもあった。麻雀を見る人も楽しめるスポーツだと捉えれば、新しいエンターテイメントとしても位置付けられるかもしれない」と話す。

 風営法では青少年の健全育成のため、ゲームセンターやディスコ、雀荘などについて、午前0時以降の営業を禁止してきた。そのため、「店の立地についても規制があった。しかし、2016年6月に施行された改正風営法により、原則的には日の出から午前0時までという形だが、条例によってはそれ以降も営業できるようになった。そのため、例えば東京は深夜1時までしか営業できないが、長崎県は深夜2時まで営業できる」(秋元氏)。


■麻雀教室の子どもたちから東大生も

 秋元氏が「囲碁・将棋は麻雀とは異なり、点数を競い合うゲームではなく、勝ち負け。点数になると、どうしても賭けにつながりやすい」と話すと、津田弁護士も「昔は囲碁・将棋でも賭け行われていたが、風営法の規制が厳しくなった段階では新聞社がスポンサーに入る大会が開催されるなど、イメージが改善されていた。麻雀はそこに乗り遅れてしまった」と指摘。「長時間遊んでしまうという特徴があり、賭けて遊ぶのが楽しいゲームであることに間違いはない。ただ、今のままでは法律がいつまでも改正されない。業界自体が努力しているという状況」と語った。


 そんな状況を打開するため、麻雀のイメージを刷新、クリーンさを謳った雀荘の運営も始まっている。

 東京・五反田にある「ニューロン麻雀スクール」は、全国で唯一という子どものための麻雀教室だ。4歳から17歳の高校生まで、およそ200人が麻雀の腕を磨いている。代表の池谷雄一氏は「存在していなかった18歳未満の方の遊べる場所があったらいいなと思い企画した。健全で楽しめる場所がなければ普及しないと思うし、麻雀がいろんな人に好ましく映るよう意識している」と話す。

 保護者たちも「私が『アカギ』という麻雀漫画のドラマ版を見ていて、子どもが興味を持った」「長い間座ったまま集中していられる力とか、全然知らない子どもたちとやるので、我慢する力がついた」と好評だ。

 子どもたちからは、「文章問題とかから答えを読み取るのと、捨て牌の中から相手の考えていることとかを推理したりするのが似ている」という意見もあり、脳科学者で諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏は「脳の頭頂側頭接合部を使う。ここは作者は何が言いたいんだろうといった理解にかかわってくる場所なので、国語能力が伸びてくるというのも想像できる話だと思う」と話す。これまで、この教室の卒業生から5人の東大生が生まれているそうだ。

 講師の今井さんも現役東大生で、麻雀サークルの代表を務めている。「論理的思考力と、確率で計算することを続けることで忍耐力も身についたなと思う。麻雀をやっていたおかげで東大に入れたってところはある」とした。

 また、高齢者には「健康麻雀」が人気だ。「シャングリラ」は、"カルチャーセンター"という形態にすることで、風営法で定められている警察署の営業許可を取ることなく運営している。初心者でも麻雀を気軽にできるよう、手厚いサポートつきだ。


■オリンピックの競技種目になる可能性も?

 楽しむ麻雀だけでなく、真剣勝負の麻雀も広がっている。プロ団体「麻将連合μ」では、金銭を賭けない麻雀を表す"麻将"を使うなど、競技麻雀の発展に力を入れる。代表理事の忍田幸夫氏は「麻雀は本当に優秀な頭脳競技。囲碁とか将棋と同じレベルに上げていって、競技そのもので楽しんでいけたら」と話す。

 一般の人も参加できる大会も開催、参加者は「普段テレビで見ているトッププロの方も参加されている。そういうときに対戦するとワクワクする」「決勝大会で負けた方が80歳の方だったんで、その方くらいまでは麻雀打ちたいなって思っている」と語った。

 麻雀の母国・中国では、2022年北京オリンピックの室内競技として麻雀を申請するとも言われており、「頭脳スポーツ財団」の前野茂雄理事長は「中国では学校でやるくらい。いずれは世界の人たちが楽しんでいただける文化の一つだと思う。オリンピック競技化の可能性も大きいと思っている」とした。

 秋元氏は「風営法の適用範囲外の場所を作り、健全にスポーツとして楽しむ人がどんどん増えていけば、スポーツとして成長し、賞金で稼げるような世界ができていく可能性も大いにある」との見方を示す。津田弁護士も「健全に取り組まれている方々はたくさんいらっしゃる。本当に一昔前とは状況が変わってきているので、可能性は必ずあると思っている」と期待を寄せた。

 麻雀アイドル「More」が活動するなど、盛り上がりを見せる麻雀界。新たな存在へとなれるのか。今後の動向に注目だ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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