丸岡いずみ夫妻で再び注目される「代理母」 解禁を訴え16人を出産させた医師の思いとは

 「この度、私たち夫婦の凍結受精卵を用いた海外での代理母出産で2018年1月3日(現地時間)に3400gの元気な男の子が生まれました」。


 今月23日、第一子誕生をブログで発表したフリーアナウンサーの丸岡いずみ(46)と夫で映画コメンテーターの有村昆(41)。代理出産先進国のアメリカではなく、ロシアで生まれたことでも注目を集めている。

 他人のお腹で自分の子どもを育てる代理出産について、子どもを持つ親たちはどう見ているのだろうか。街で話を聞いてみると、


 「子どもを持つ親としては子どもが欲しいという気持ちはすごくわかるので、その選択肢もありかなと思う」

 「日本の方に産んで欲しい気持ちはある。でも、かなりリスクはありますよね。お金もかかるし、難しい問題だと思う」

 「倫理的に問題があるというのもよくわかるが、高齢だけどどうしても子どもが欲しいという方の気持ちもわかるので、法整備とかきちんとして問題ない形で個人が選択できるようになればと思う」


 と、親としての気持ちを理解するコメントが相次いだ。


■「放っとけなかった」

 世界では多くの国で認められている代理出産だが、日本では法的に禁止されてはいないものの、1983年には日本産科婦人科学会が代理出産を認めない意思を表明、原則禁止という状況だ。同学会は「生まれてくる子の福祉を最優先するべきである」「代理出産は身体的危険性・精神的負担を伴う」「家族関係を複雑にする」「代理出産契約は倫理的に社会全体が許容しているとは認められない」という見解を示している。そのため、代理出産はほぼ他国で行わざるを得ない状況だ。費用もケースバイケースで、代理出産仲介業者「J baby」の斉藤代表は「アメリカでは日本円で1500万円くらいを目安にされるといいと思う。費用は代理母への謝礼金と代理母の保険によって大きく異なってくる」と話す。

 「国内で禁止するからみんな海外に行ってなんとかしなきゃいけない。ボランティアという形でできないからお金を払わなきゃならない。なんで禁止するか僕はわからない。困ってる人同士がみんなで助け合っていこうというのが社会のシステムなんだから」。


 そう話すのは、諏訪マタニティクリニックの院長・根津八紘医師。2001年、国内初となる代理出産を実施したことを公表、大きな波紋を呼んだ。日本産科婦人科学会は2003年、妊娠・出産に伴う危険性を代理母に負わせる上、生まれた子どもを代理母が手放さないというトラブルの可能性を指摘、代理出産を禁止する指針を定めた。それでも根津医師は「日本国民が代理出産の問題を明日は我が身の問題として論議して、今後の方向性を出す一助にしていただけたらと考えている」と2006年の会見で訴え、これまで卵子提供者の母親や姉を代理母として16人の子どもを誕生させてきた。


「出産で赤ちゃんを亡くし、子宮も無くしてしまった姉のために、妹さんが代わりに産んであげたいという切実な願いの中で始まった。そういう人を放っとけなかった」。


 日本産科婦人科学会が体外受精と代理出産の境界に区切りをつけ、社会の理解もなかなか進まない状況に対し「子宮がない人、卵子が取れない人、精子がない人が子どもを作らなくていいんだ、諦めなさいと切り捨てるのか。そうした人たちを、いわば"生殖障害者"として考えて、みんなが助けてあげようと言えばいい。国内でなんとかしてあげるという努力をしないで禁止しとけばいいというのは間違い」と批判した。

 根津医師の元で不妊治療を行なって子どもを授かった母親は、「みなさん自然に授かるというのにすごくこだわっている。それが普通という風に思っている方もいらっしゃると思うが、治療して授かるということはいけないことなのかな」と思いを明かす。


■法制度の問題も

 静岡大学人文社会科学部の白井千晶教授は「アメリカでは条件をインターネットで入力すれば好みのものが検索できる精子バンクが営業している。かつてはノーベル賞受賞者の精子バンクというのが開設されたこともある」と話す。白井教授によると、欧米ではシングルマザーの女性が精子バンクを使って子どもを持つ例もあり、レズビアンカップルが精子の提供を受ける割合も高いという。


 スウェーデン人の男性とカップル関係にある日本人男性のみっつんさんは、2016年、アメリカで代理母出産により男児をもうけた。スウェーデンでは代理出産はできないものの、どちらかの親と血がつながっていれば、親権が得られるのだという。「夜寝る時や朝起きた時、隣にいる息子を見て自然と笑顔がこぼれる。代理母さんへの感謝の気持ちを感じるし、この道でよかったなと毎日思う」と話す。

 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「出産の形に線引きをすること自体がナンセンス。代理出産とかクローンで生まれた子どもにはリスクが、という話もあるが、どんな場合でも出産にはリスクがつきまとう」と指摘、全面的に認めるべきだと主張した。


 しかし、日本の現行法では出産を担った代理母が戸籍上子どもの母親になり、代理出産を依頼した夫婦がその子どもを迎えるには、特別養子縁組制度を利用しなければならず、あくまでも"養子"の扱いとなる。


 元経産官僚でコンサルタントの宇佐美典也氏は「気持ちはわかるが、日本では今、無戸籍児が大問題になっているように、今の法制度の下では、生まれた時点で基本的人権が損なわれた状態になっている子どもになってしまう。産んだ人が義務を負うことになっているので、依頼者が"やっぱりこの子いらない"となっても責任を問えないし、子どもを引き受ける人もいなくなってしまう。英米圏では馴染むかもしれないが、日本では家族制度に基づいて戸籍が整備されていて、社会保障制度もまず家族が守って、家族が守れなければ国、という仕組みになっている」と、抜本的な制度改正なしでは困難が生じることを指摘した。

 受精卵を他の女性の子宮に移植、出産してもらう代理出産とは異なるものの、NPO法人「OD-NET(卵子提供登録支援団体)」は去年3月、匿名のドナーから卵子提供を受けた女性が女児を出産したことを発表している。第三者が匿名で卵子提供した出産公表は国内初だ。なお、卵子提供者は35歳未満で出産経験者が条件とされていたという。

 昨年女児を出産したイラストエッセイストの犬山紙子氏は「医療は進歩しているけれど、出産は命がけ。母親が死ぬこともあるので、リスクも考えないといけないと思う。ただ、選択肢が多い社会の方がいいと思うし、丸岡さん夫妻もすごく嬉しそうだった。きっと子どもは愛されて育つと思う」と話す。

 根津医師は「卵子がなければ卵子の養子縁組、精子がなければ精子の養子縁組、そういう捉え方をして、なるべく必要経費ぐらいでボランティアが対応するという風にしていかないと。人間の体に関することに金銭が介在するというのは絶対にいいことではない」と指摘。「国内でちゃんとした制度と法的なものの中で選択できる場を作っていてほしい」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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