古川雄輝、主演映画『風の色』のハードなロケで低体温症と酸欠で倒れる


 今、最も旬な俳優の一人・古川雄輝が主演を務め、『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』などのヒット作で知られるクァク・ジェヨン監督がメガホンを握る日韓合作映画『風の色』が1月26日(金)から全国公開される。流氷の北海道と桜舞い散る東京を舞台に、同じ容姿の二組の男女が織りなすミステリアスなラブストーリーだ。主演の古川は、極寒の北海道ロケで、体を張ったマジックにも実際に挑戦したという。「これまでの作品の中で圧倒的に大変だった」というハードな撮影秘話、そして作品の魅力を聞いてきた。


チェーンを巻いて冷たい水の中へ 低体温症と酸欠で倒れるハードな現場

――主演で一人二役、マジックにも挑戦するなど、多くの見せ場があった作品ですが、とくに印象に残っていることは何ですか?


古川:マジシャンとしての立ち振る舞いが一番難しかったです。


――どんなところが大変でしたか?


古川:監督がマジックの内容を本番の直前にならないと教えてくれなくて(笑)。毎回、練習時間が20分くらいしかありませんでした。ステージ上でエキストラのお客さんを前にしてショーをする際には「客の生の声がほしい」という監督の希望があって、リハーサルも無し。それに対応していくのは大変でしたね。


――ぶっつけ本番状態で、失敗することはありませんでしたか?


古川:1度だけありました。紙ナプキンからバラを作って、火をつけたら本物になるというマジックなのですが、難しくて。


――たった1回だけというのはすごいですね!マジックの監修を務めたMr.マリックさんも古川さんの腕前に大絶賛の腕前だったようですが、プライベートでマジックにハマったりは?


古川:ふとした瞬間に共演者のかたに見せたりはしています。ちょっと前も『重要参考人探偵』というドラマで、空き時間に披露することがありました。


――特技の一つになりそうですね!


古川:いや、ぜんぜんです。子供だましのレベルです。


――マジック以外の部分では、監督から演技指導などはありましたか?


古川:あんまりないですね。あっても1~2回くらいかな。それもマジックと同じで、カメラが回る直前に「このシーン泣くよね」っていきなり言われるみたいな。


――急に言われて泣けるものですか?


古川:やるしかないですよね。朝に入って、今日はなにをやるんだろうっていう毎日で。僕は普段準備をするタイプなので、準備できないことが逆にしんどかったです。でも、そのお陰でいろんな意味で強くなれたような気がしています。


――いろんな意味というのは?


古川:体力的にも、精神的にも、これまでやってきた作品と比べると、圧倒的にハードだったので。チェーンを巻いて、箱に入って、水中撮影をしたり……なかなかありえないですよ(笑)。実は、初日に低体温症と酸欠で倒れちゃって。でも、やるしかないからと撮影は続けましたが、片頭痛が2週間くらい続きました。撮影が終わってもしばらくの間は体調が悪くて、1日3時間くらいしか歩けないほどでした。


――そんな過酷な撮影で、辞めたいと思うことはありませんでしたか?


古川:「できない」というのは、業界的にはタブーなので。もっと上の責任者が言うならありえますけど、誰も言いませんでしたね(笑)。


――ハードな撮影を経て、ご自身の可能性の広がりは感じましたか?


古川:そうですね。強くはなったけど。あと、危ないことは危ないという勇気を持つのは大切だということも学びました(笑)。

(c)「風の色」製作委員会


――楽しかった思い出はありますか?


古川:スタッフさんの中に寿司を握れるかたがいたんですよ。ロケが北海道だったので、市場に行って、新鮮な海鮮を買ってきてくれて、ホテルの一室をカウンターのようにしてお寿司を振舞ってくれました。そこで食べたウニは、これまで食べた中で最高の味でした。高級店のウニ以上に美味しかったです。


――食事をスタッフや共演者とすることも多かったんですか?


古川:監督とは毎日一緒にご飯を食べていました。韓国のキムチとか海苔を用意してくれることもありました。美味しいものを食べながら、コミュニケーションも取っていました。


――毎日、監督と食事ということは撮影が終わってからもなかなか気が抜けませんね!


古川:オフはなかったですね(笑)。50日間、北海道に行きっぱなしで休みなく撮影していたので。


韓国と日本の文化が混じり合う 『風の色』は「洋画として観て欲しい」

――完成作をご覧になったときの感想を教えてください。


古川:まずは、映像がキレイです。桜、流氷、札幌の景色など。僕は今回のロケで、流氷を初めて見ましたが、美しくて感動しました。その美しさがそのまま投影されていると思いました。


――内容についてはどんな印象を持ちましたか?


古川:邦画じゃなくて洋画のつもりで観に行ってほしいなと思いました。というのも、日韓合作で、韓国と日本の文化が混じり合っているので、日本人が観たときに、日本的感覚じゃないなと感じるシーンがあると思うんです。でも、富川国際映画祭で韓国のかたにはすんなりと受け入れられていたりするんですね。吹き替えの映画を観に行くと言うような感覚がいいかも。映画祭で、英語の字幕で見たときに、字幕を読んだほうが腑に落ちる点があったんですよ。例えば、「愛しています」という台詞があるんですが、日本人って日常的に「愛しています」って言わないから、ちょっと強い表現に感じる。でも字幕では「I LOVE YOU」となっていて、すると「そうなのか」とストンと入って来る。


――演じながらも、日本人的感覚としては違和感を持った部分がありましたか?


古川:ありました。台本をもらった時点で相談もしていました。独り言で「ちきしょ~!」という台詞があったのですが、普段の生活の中で「ちきしょ~!」って言いませんよね。なので「くそ!」という台詞にしませんかと提案したり。韓国と日本の表現の間をとって僕が詰めていくような脚本家のような仕事もしていました。


――監督とぶつかりながらも、ご自身が違和感なく台詞を言えるところに持っていったんですね。


古川:日本人的に腑に落ちるところに持っていきたかった部分はあります。でも、日本人が見て、これって笑いなのかなと疑問を感じるところも、韓国で上映すると大爆笑が生まれたりするんですよね。だから、邦画じゃなくて洋画のつもりで観てみてください。


――承知しました!


元カノへのサプライズが大失敗 ロマンチックな演出は「もうしません(笑)」

――最後に、ロマンチックなシーンもたくさんある作品でしたが、古川さんご自身は、女性に対してロマンチックな演出をすることはありますか?


古川:若いころに1度ありますが、あまり喜ばれなかったのでもうしません(笑)。


――どんなことをされたんですか?


古川:18歳くらいの時にカナダに住んでいて、彼女がいたんです。帰国するというときに、遠距離になるからテディベアのぬいぐるみをプレゼントしたんですよ。その時点でも彼女は「は?」という感じで……。数か月後に彼女の誕生日があって、そのテディベアのジッパーを開けるとネックレスが入っているというサプライズを仕掛けました。


――ええ~!それは女性だったら喜ぶサプライズだと思うのですが……!


古川:でも、彼女はぜんぜん喜んでくれませんでした。それ以来、ロマンチックな演出は絶対にしないと誓いました(笑)。


――現実では見ることのできない、古川さんのロマンチックな様子も映画では見ることができますね! 公開、楽しみにしています。ありがとうございました!


インタビュー・テキスト:氏家裕子

写真:野原誠治

ヘア&メイク:赤塚修二

スタイリング:五十嵐堂寿


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