2年ぶりの南北対話で韓国が北朝鮮に取り込まれる可能性?狙いは日米韓の分断か

 平昌冬期オリンピックが目前に迫る中、約2年ぶりに韓国・北朝鮮の代表者10人が話し合いの席に着いた。昨日、軍事境界線のある板門店の韓国側施設「平和の家」で、南北閣僚級会談が行われた。


 北朝鮮の李善権・祖国平和統一委員会委員長が「今年の冬は寒い。天気よりも南北関係は冷え込んでいる。南北対話と関係改善を望む国民の声が会談を実現させた。南北が真剣に取り組み、国民に新年のプレゼントをあげたい」と述べたのに対し、韓国の趙明均統一相は「南北の和解と平和は韓国の国民も望んでいる。久しぶりに再開した会談だ。急がずに南北で一つ一つ解決して、国民にプレゼントを贈りたい」と応じた。


 今回の会談は北朝鮮のペースで始まったようで、李委員長は会談の内容について「公開して実況が全民族に伝達されてはどうかという見解である。必要であれば記者たちを呼び、この会談の状況を知らせるようにしよう」と提案。しかし韓国側は「一理ある」としながら、やんわり否定したという。


 北朝鮮政治に詳しい慶應義塾大学の礒﨑敦仁准教授は今回の会談について「韓国側には対話で解決したいというのがあり、北朝鮮もそうだった。しかし米韓合同軍事演習の中止要求など、前提条件で折り合わなかった。それが元日に突然、金正恩委員長がオリンピックに触れ、当局間で会談をしましょうといい、そこに韓国が乗った。その意味では、北朝鮮ペースで始まったと言わざるを得ない」と指摘。「北朝鮮はどこかのタイミングで韓国に対話を仕掛けてくると考えられていた。私も昨年末に北朝鮮が新年の辞で対話攻勢を仕掛けると思っていたが、予想以上だった」と驚きを隠さない。

 韓国政府によると、北朝鮮が平昌オリンピックへの選手団や応援団などの派遣の意向を示し、韓国側は「北朝鮮の希望を反映してできるだけの支援を行う」と歓迎。一方、李委員長は非核化についての言及に強く不満を表明、3日には開通していた南北ホットラインを、この日開通したと公表した点にも不満を表明したという。


 遅くまで続いた会談の終了後、韓国側が発表した共同発表のポイントは


 (1)平昌オリンピックをきっかけに北朝鮮代表団が訪韓する。これを文書で協議する

 (2)軍事当局者会談を開催する

 (3)民族の問題は民族で解決する


 というものだった。しかし、とりわけ(3)にみられるように、韓国と北朝鮮が二国間だけで問題を解決するというスタンスを突然表明したことに関して、国際社会から批判が起こる可能性は否定できない。


 礒崎氏は「アメリカや中国といった大国が朝鮮半島をコントロールするのではなくて、あくまでも南北間で物事を決めるんだということで一致した。核・ミサイル問題についても、韓国、特に民族主義的な傾向の強い文在寅政権としては、アメリカではなく自分たちが北朝鮮と話し合いをしていくんだという意識がある」と説明。「朝鮮戦争、そしてそれ以前の分断の過程を見ると、常に大国が関わってきた。それを排除していくというのが韓国の進歩派の考え方であり、北朝鮮もそれを考えてきた。アメリカが主導権を握り、中国に指示をする中で、置いてきぼりにされていることへの不満があったのかもしれない」との見方を示した。


 そのような状況下での今回の会談。北朝鮮にリードされる形の韓国が取り込まれ、日米韓に分断が生じてしまう可能性はないのだろうか。


 礒崎氏は「文在寅政権としてはオリンピックで国威を発揚し、平和をアピールする。そして朴槿恵政権を支持していた保守層に『やはりあなたたちの政策は間違っていた。対話によって北朝鮮がここまで融和的になるんだ』ということを訴えたい。北朝鮮はその辺もよく見ている」と指摘する。


 「文政権としては、核・ミサイル開発の中止要求を突きつけにくいだろう。しかし、北朝鮮はこの6年間、一貫してスピーディーに政策を変化させ、しかもその振り幅が大きかった。今回も予想以上のことを警戒しなくてはいけない。これまで核・ミサイル問題はアメリカとだけ交渉すると見られていたのが、一時的にでも実験を停止すると提案すれば、アメリカも反対はできないし、韓国とっては大きなお土産になるし、まだまだ他のお土産を持っている可能性もある」(礒崎氏)。

 アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授も「あくまでも想像だが、オリンピックの間に少しでも核・ミサイル開発を進めようと思っているのだろう。また、韓国とアメリカの関係、韓国と日本の関係を割りたいという意図もあるだろう」と話す。


 さらに前嶋氏は「金大中政権が『太陽政策』を採って、北朝鮮に擦り寄っていた頃の文章のような感じがする。これだけ緊張状態が高まっている中、フィクションのような感じを受ける。民族的な和解というのも格好いい言葉だとは思うが、日本やアメリカからすれば、核・ミサイル開発を止めてくれ、という話。トランプ政権としても、重大な問題を勝手に話すなとという気持ちがあるが、想定内の話でもある。北朝鮮が核の問題に触れてくれるなという姿勢なのもアメリカ側は読んでいた」と話す。


 一方の日本について礒崎氏は「首脳会談を見据えて南北は接近しつつある。そういう中で核・ミサイル問題では我々は連携していかないといけないが、拉致問題も忘れてはならない。これについては日本独自で動いていかないといけないと思う」と指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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