「第0新卒」に「メロン肩採用」、人手不足・コスト回避で人材採用に新たな波

 YouTubeなどにあげるショート動画やコミュニケーションアプリを手がけるVAZが開発し、話題となっているアプリが「バズキャリア」。「バズキャリア」は非大卒者向け専門の就業支援アプリで、18~22歳の非大卒者を「第0新卒」と位置付け、人材を発掘し企業との橋渡しをするのが主な役割だ。


 今年10月にアプリをリリースして以降、チャット相談および一対一の面談を通してすでに10人以上が就職を決めたという。利用する若者は「バズキャリアは職業選択の幅を広げてくれる」「大学4年の代なんですけど、4月までにはいい会社に就職できたら」と話す。

 実際にバズキャリアを通して人材を採用したのが広告会社のアドウェイズ。今年8月にVAZが主催したイベントで出会い、3人の採用を決めた。新卒は今まで大卒採用しか行っておらず、第0新卒の人材を採用するのは今回が始めてだという。アドウェイズの西久保剛さんは「競争が激化し人材争奪戦になっている中で、非大卒の方々が熱意と能力があるにもかかわらず、なかなかキャリアをステップさせていけていないということをバズキャリアに気づかせていただいた」と導入の意図を説明する。


 アドウェイズに内定した矢ヶ崎菜摘さんは現在21歳。2人の子どもを持つお母さんで、高校卒業後はアルバイトなどで生計を立てていた。西久保さんは矢ヶ崎さんを採用した理由について「我々がする質問の意図を汲み取ってレスポンスしてくれるのを凄く感じて、頭のいい方なんだなと感じました。非大卒であることのコンプレックスややりにくいことがあったとは思うけど、前面にまったく出てこなかった。好感が持てたし会社の環境にマッチするんじゃないかなと思います」と話した。


 「バズキャリア」が目指す未来について、VAZの森泰輝社長は「18歳から22歳というのは、環境次第でどこまでもいけるんじゃないかなと思っています。高卒の就活マーケットを作っていって当たり前にしていきたい。バズキャリアを通して年間何万人も就職していくような状態にもっていきたい」と語った。

 キャリアカウンセラーとして大学や短大で講師を担当している新保友恵氏は、第0新卒の就業支援アプリが生まれた背景について次のように指摘する。「今年の高校生と大学生の有効求人倍率を見てみると、どちらも“売り手市場”だということがわかる。就職したい学生を企業がなかなか採用できない状況。大学生は求人情報サイトなど幅広く就職活動ができるが、高校生は学校から紹介された求人に1社ずつしか応募できない。日程も、今年だと9月16日から面接等の採用選考が開始可能だと決まっていた。今まで大卒しか採用していなかった企業も、あまりにも人が取れないので、一度高校を卒業した方でも能力がある方は採用したいというふうに変わってきている。高校や大学を卒業できずに中退してしまったという人もいるので、第0新卒という流れが出てきた」。


■広がるユニークな人材採用、「メロン肩採用」とは?

 「第0新卒」以外にも新たな採用の形が登場している。情報を拡散させる力を持つ人を採用する「インフルエンサー採用」もその1つだ。


 ファッションブランド「ジャーナルスタンダード」など、若者を中心としたファッションを手がけるベイクルーズで行われているのは、応募者が送った15枚のポートフォリオをもとに選考する「ファッションインフルエンサー・セレクション」と呼ばれる制度。ベイクルーズの早野彰二さんは「ファッションインフルエンサーはファッションの価値観とセンスが高い。あとはミーハーさというところにフィーチャーした採用になります」と内容を説明する。

 ファッションインフルエンサー採用のメリットとして、「大きく違うのは入社した後のキャリアの積み方。総合職の方だと、4月に入社したら基本的に店頭に入って現場を学ぶ。ファッションインフルエンサー採用だと、適正に合わせてMD職・バイヤー職・プレスと、『こういうキャリアを積めばこう成長していく』というように才能開花していくところを中心に考える。そこが大きく違うところ」と話した。


 去年ファッションインフルエンサーとして採用された海保みちるさんは「神経を使いました。1冊を作る労力もかかりましたし、通ってから1次選考・2次選考でプレゼンする。ものを通してアウトプットするのもありますが、話してプレゼンする。学生にとってはハードルが高かったと思います」と明かした。


 ファッションの世界には、また違ったインフルエンサー採用の形もある。大手メガネブランドのオンデーズでは、インスタグラムかツイッターのフォロワー数が1500人以上いれば採用を優遇、さらに月5万円の手当てがつくという。今年から採用している制度で、通常は書類審査→1次面接→最終面接と進むところが、インスタグラムやツイッターのアカウントを提示することにより、いきなり最終面接にいくことができるという。

 オンデーズの田中修治社長は「ネットとリアルの線引きがないライフスタイル、働き方ができるような人たちを雇っていきたい。そういう人たちを会社に入れていきたい。そういう人たちが増えてくることにより、インスタを使って仕事や人間関係を膨らませていいんだ、と見本になる人間を社内に入れていきたい。(インフルエンサー採用として)募集すればいいんじゃないか」と意図を説明した。


 他にも一風変わった採用の形として、土木事業や建築事業を行なっている大熊工業が始めた、強靭な肩の筋肉を持つ人であれば即最終面接の「メロン肩採用」がある。大熊工業に話を聞くと、「メロン肩の人材が欲しいというのは確かだが、必ずしもメロン肩というわけではなく、この採用方法で大熊工業の名前を知ってもらうことが狙い」とアピールの位置づけでもあるようだ。なお、これまでに“ほぼメロン肩”という人を2人採用したという。

 また、情報機器販売のスターティアで行っているのが「麻雀採用」。麻雀には勝負勘や決断力、運も必要になるほか、長時間卓を囲んで話すことで人間性が見えてくるといい、優勝者にはいきなり最終面接の“内定リーチ”がプレゼントされる。


 このようなユニークな採用が増えてきている背景について、新保氏は「いますごく人材不足で、業種によっては大卒の求人倍率が10倍以上の状態。ただ、大手の採用サイトに求人募集をかけると、100万~400万円くらい(コストが)かかってしまう。それに対して少人数の採用だと厳しいので、キャッチーな採用方法で宣伝をしたりといった形が増えている」と述べた。

(AbemaTV/『原宿アベニュー』より)


▼『原宿アベニュー』は毎週土曜日 12:00~14:00「AbemaNews」チャンネルにて放送!

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000