「憲法9条、日米安保、そして地位協定はセットにして理解しなければならない」石破氏、改めて9条改正の必要性を強調

 衆院選で圧勝し、与党で改憲発議に必要な3分の2以上の議席を確保した自民党。公約にも盛り込んだ「自衛隊明記」に向け、どう突き進むのだろうか。安倍総理が5月に提案したのは、9条1項、2項を残したつつ、新たに3項を設け、そこに自衛隊を明記するというものだった。しかし、自民党が2012年に党議決定した憲法改正草案では、9条2項の戦力の不保持を削除し、代わりに「国防軍」の創設を盛り込むとしており、違いも目立つ。


 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「もう一度、安倍政権としての憲法改正スケジュールが見直される。今後、自民党案の改訂版の取りまとめが行われ、来年夏頃には自民党の改憲案が国会に出てくる。」と話す。

 自民党憲法改正推進本部長に就任した細田博之衆院議員は朝日新聞の取材に対し「9条2項が禁止する戦力は一種の『攻撃的戦力』であって、3項として自衛隊の根拠規定を加えても、論理的に何の問題もない」と答えているが、防衛・安全保障のスペシャリストとして知られる石破茂衆議院議員は「9条3項に自衛隊を明記すると、2項戦力の不保持と論理的整合性が取れない」と主張し続けている。

 その石破氏が18日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演、憲法9条、そして日米安全保障条約の議論の必要性を改めて訴えた。


 「今の憲法改正草案を自民党が決めたのは平成24年。私たちは野党で、衆議院には119議席しかなかった。その後で当選した人もいて、憲法の議論なんか一回も聞いたことない人がいっぱいいる。もう一回、ちゃんと『今の憲法9条はどういう意味ですか。なんで直さなくちゃいけないんですか』というところからやらないと。国会議員がわからないのに国民がわかるわけがない」と、党内議論の意義を強調する石破氏。

 「前文に『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と書いてあり、それを受ける形で9条の『(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』が論理的にはつながる。しかし、『おいおい、そういう国ばっかりではないだろう。そしたら、陸海空軍その他の戦力って必要なんじゃないか』となる。交戦権とは戦争をする権利ではなくて、戦争のルール。それなくして戦争なんてできない。これらは全てロジカルな話だ。しかし私は法学部を出ているが、自衛隊は違憲だと教えている。小中高でも、正面から自衛隊は合憲だとは教わっていない。それをきちんと説明するのは結構大変なこと」。


 「国民の生命財産、公の秩序を守るのが警察。国の独立を守るのが軍の使命であって、ゴジラを退治するのが軍の使命ではない。国の独立とは国家主権を守ること。国家主権とは領土、国民、国を治める仕組み。だから領土等の保全に自衛隊が自衛権を行使するのは、至極当然で、国際社会では当たり前のこと」と説明する石破氏。その上で、「(現行憲法には)『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』と書いてあるが、『じゃあ10式戦車を持っている陸上自衛隊とは何ですか?イージス艦を持っている海上自衛隊とは何ですか?F-15を持っている航空自衛隊は何ですか?』『いや、あれは、軍隊ではない』って、それはどういうことですか。国の独立を守る組織が存在しない国家はありえない。それをきちんと書くのは当たり前だ。交戦権=戦争のルールなくして、どうして自衛権が行使できるのか。それを認めないのは、自衛権の否定と一緒だ。そんなことがあるはずがない。ロジカルに考えれば絶対にそうなる。軍隊という言葉が嫌だという方は大勢いらっしゃるだろう。ならば100歩譲って、『日本国の独立を守り、地域ならびに国際社会の平和の維持に寄与するため、陸・海・空自衛隊を保持する』。これ(自民党改憲草案)のどこがいけないのか。何が問題なのか、ぜひ教えてほしい」と力説した。


 また、「自民党内でもほとんど行われていない議論だが、軍隊と政治の関係をきちんと憲法に書かないとまずい。自衛隊が政府を倒そうと考えることなんてありえないが、本来、軍隊というのはその国の警察が束になってかかっても絶対にかなわないもの。軍隊がその気になれば、政府を倒すことなんて簡単。民主主義も簡単に壊れてしまう。軍人というのは正義感、使命感が強い人たち。二・二六事件や五・一五事件のように、軍人が『こんな政治は許せない』と思うような時代が100年後、200年後に来たらどうなるか。司法、立法、行政が軍事組織をコントロールする仕組みが憲法に入ってないことが、どれほど恐ろしいことか。そして、国の独立に関わる最強の集団に最高の規律と最高の名誉があって、軍人が誰よりも尊敬される人たちでなければ、最高の規律なんて保てない」と、現行憲法に自衛隊の統制規範などが無いことも併せて指摘した。


■日本国憲法と日米安全保障条約、そして日米地位協定はセットにして理解しないといけない

 そんな現行憲法下で成立したのが、限定的な集団的自衛権の行使が可能な安全保障関連法だった。


 「日本の場合、自衛隊の海外派遣は禁じられている。侵略戦争はもっての外だし、今の憲法解釈では集団的自衛権はごく限定的にしか行使しないとなっているので、自衛隊をかなり自由に外国に派遣するということはできない。ただ、地球の裏側であっても必要であれば行くし、お隣であっても必要でなければ行かない。今の法律上、そこで起こっていることが日本国民の生存権などを根底から脅かす明白な危険が生じたとするならば、自衛隊が集団的自衛権の限定的行使として海外に行くことはありうる。それはあくまで自衛権の行使であって、それ以外の権限を行使するわけではない」。

 角谷氏は「安全保障の議論ではテロの話も出ているが、平和の定義もどんどん変わってきている。『平和とは何か』という議論が国会であってもいい。もう一つは沖縄のことがある。我が国は独立国だというものの、日米地位協定の問題などについて自民党が積極的に議論に着手したという痕跡もあまりない。憲法の議論になる前にもっとやって欲しいことがある」と指摘する。


 石破氏は「実は憲法9条と日米安全保障条約はセットだ。地位協定はその安保条約とセットで、まさしく一体のものだから、日本国憲法と日米安全保障条約、そして日米地位協定はセットにして理解しないといけない。ロジカルに憲法を読むと、"個別的自衛権は良くて集団的自衛権はダメ"とは書いていない。理屈から言えば、個別的自衛権も集団的自衛権も行使できる。ただ、70年安保闘争の頃は社会党も強く、佐藤栄作総理大臣としては、これを乗り切るためには集団的自衛権などという、おどろおどろしいものは使わないと言わざるをえなかった。そういう政治的判断として出てきたものだ」と説明。


 「集団的自衛権、つまり自国と密接な関係にある他国が攻撃を受け、それが自国の平和と安全を脅かす状況になった時は、それを自国に対する攻撃とみなして、反撃する権利。これを行使できないということは、アメリカは日本を守る義務を負うが、日本はアメリカを防衛できない。日本はアメリカを守れないけど、アメリカは日本を守る。そういうことだ。しかし、それは不公平じゃないか、君たちも何かやれということで、北海道から沖縄まで、日本のどこに基地を置くのもご自由にと、基地提供の義務を負うことにした。アメリカは日本を守る義務を負う。日本はアメリカに基地を提供する義務を負う。これが日米安全保障条約。また、地位協定では、アメリカ国内でもやれないようなことが可能になっていたりするし、アメリカの軍人の犯罪を日本の法律で裁けないようになっていたりする。これも安全保障条約で果たす義務が違っているので、地位協定の中身も違ってしまっている。地位協定を変えようと思ったら、アメリカが日本に基地を置く時に受ける待遇を、日本がアメリカに基地を置いた時と同じ待遇を受けないとおかしい」。


 コラムニストの吉木誉絵氏が「護憲派がよく言うように、同盟を結んだ小国にとっては、大国による大義のない戦争に巻き込まれるのではという懸念がある。その反面、巻き込まれるのを恐れ、同盟の結びつきが弱くってしまうと、今度は見捨てられる恐怖が出てくる。この"同盟のジレンマ"に振り回されてきた日本は、憲法改正後、日米同盟とどう向き合っていくべきなのだろうか」と石破氏に尋ねると、

 「アメリカは色んな国と安全保障条約を結んでいるが、主権国対等の原則だから、どんなに相手国が小さかろうが、軍事的に強くなかろうが、果たすべき義務は一緒になる。日本だけが、果たすべき義務の内容が違う。それは憲法上、集団的自衛権を行使できないとされてきたから。だから仮に集団的自衛権が憲法上の制約なしとなれば、日米安全保障条約が変わることになる」とした上で、「私は在日米軍は必要だと思っている。だが、なぜここに基地を置くのか、飛行機を置くのか、船を置くのか、ということをきちんと考えないと、日本の安全保障政策はできない。何で三沢にF-16がいて、岩国にオスプレイがいて、嘉手納にF-22がいるのかということも、突き詰めて考えて来なかった。日米同盟の中で合衆国がいかなる役割を果たすのか。極東の平和と安定のため、いかなる役割を果たすかということが理解できないで、どうして、日本の安全保障政策が語れるのか。"巻き込まれる恐怖"におののくあまりに、その中身を検証しようとしない。しかし"見捨てられる恐怖"を考えた人も、ほとんどいない。日米安全保障条約は二国間同盟だから、本来、自国の利益にならなければアメリカはすぐ退いてしまう。自衛隊が自衛隊として動くためにも、安保条約で果たすべき義務は対等であるべきだ」と説明した。


 そんな石破氏は5月、『週刊朝日』の取材に対し、「総裁選で憲法改正が主要テーマになれば、堂々と持論を主張していく覚悟」と答えている。党是として憲法改正を掲げてきた自民党について、何を思うのか。

 「昭和30年、主権を回復した国家にふさわしい憲法を作るというのが自民党ができた目的だった。日本国憲法ができた時に日本は独立していなかったし、主権はなかった。だから、独立を守るための軍隊も必要ではなかった。『独立したからには軍隊を持とう』というのは、イデオロギーとは関係がない。自民党だろうが、日本共産党だろうが、国の独立あっての政党。沖縄が返還されたが、基地はたくさん残っている。本土の基地がいっぱい返還されたから、この基地いらないんだけど、自衛隊が代わりにやるからと思っても、そんなことを言う権利が日本にはない。基地削減を言う人ほど、集団的自衛権を認めて『この基地はいらない。自衛隊が代わってやる』と言わなければ、基地の縮小はできない。これらは、昭和30年にやっておかなければいけなかった。今、中国や北朝鮮がこういう状況になったので、憲法に一行付け加えるだけでもいいじゃないかという主張に価値があることも認めるが、本質を変えなければいけないところまで国際情勢は来ているのではないか。もし憲法に手をつけないとするならば、解釈の範囲内で何ができるかと言うところにこれからもエネルギーをつぎ込んでいく必要がある」と、改めて憲法改正の必要性を訴えた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)


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