将棋・藤井四段を止めた佐々木勇気六段「100万円分の花束を買う」と答えるロマンティスト

 一躍「時の人」になった男である。今年7月、佐々木勇気六段(当時五段)は歴代新記録の公式戦29連勝を樹立した直後の藤井聡太四段と竜王戦決勝トーナメント2回戦で激突し、完勝した。フィーバーに終止符を打つとともに「藤井四段に勝った男」として脚光を浴びるようになった。

 最新流行型の研究に自らの工夫や思想を投影しようとする独創家でありながら、どこか浪花節的な、あえて言えば昭和的な一面も持っているところが魅力でもある。「重圧は感じましたけど、私たちの世代の意地を見せたいと思っていたので壁になれたのは良かったと思います」。終局後に語った言葉も、22歳(現在は23歳)らしからぬ味わいがある。 昨年の「将棋年鑑」のアンケート欄で「一生お金に困らないとしたら」との質問事項に対し「100万円分の花束を買う」と答えたロマンティストでもある。


 藤井が24連勝、新記録の29連勝を飾った対局には、自ら対局室まで足を運び、戦いを見守るという異例の対応を取った。大一番の前には「藤井四段の対局を間近で見て、今の将棋界の盛り上がりを肌で感じました。刺激を受けていますが、周りの雰囲気にのまれずに連勝を止める気で臨みます」と超異例の戦前コメントを出して闘志を露わにしていた。


 名前の由来は「いちばん大切なものは勇気」。ジュネーブで生まれ、小学4年時に小学生名人戦を制して天才少年と注目された。高学年が優勝することが多い大会を小4で制覇したのは、現在に至るまで渡辺竜王に佐々木の2人しかいない。


 2004年、10歳で棋士養成機関「奨励会」入会。08年4月に三段リーグ入りしたのは2016年4月に藤井が塗り替えることになるまで最年少記録だった。


 16歳でのデビュー後は高勝率を誇ったものの、目立った活躍には至らず、成人した頃には「もう若くないです。今、自分が16歳に戻れるとしたら、もう少し違った16歳になれると思います」と振り返ったこともある。


 棋風は居飛車党の攻め将棋。攻めっ気は将棋連盟フットサル部でも発揮され、ゴールするために前線に居座り続け、渡辺竜王から「(佐々木のブルーのユニフォームを指して)青いの!」と注意されたこともあるほどだ。


 佐々木の次に藤井四段に公式戦2敗目を与えた三枚堂達也四段は小学校に入る前から大親友。三枚堂は勝利した後に「勇気の『世代の意地』という言葉が印象に残っていたので、すぐ同世代が負けては彼に申し訳ないので頑張りました」と語った。


 なお「藤井に勝った男」としてメディアから殺到した取材依頼を、将棋に集中するために全て断ったことも、佐々木勇気という男の何かを現している。


 ◆佐々木勇気(ささき・ゆうき)六段 1994年8月5日、埼玉県三郷市出身。石田和雄九段門下。棋士番号は280。2004年9月に奨励会入り。2010年10月1日に四段昇格を果たしプロ入り。棋風は居飛車党で、「勇気流」と呼ばれる戦型を使うこともある。AbemaTV「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」では、第2局(10月7日放送)で藤井猛九段と対戦する。

(C)AbemaTV

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