堀潤氏が中国のジャーナリストたちとの交流で覚えた"危機感"

 11日、中国・上海で始まった「日中ジャーナリスト交流会議」。両国の著名なニュースキャスターやジャーナリストが参加し今後の日中関係やメディアの役割について話し合われるもので、今回が12回目となる。日本側からは田勢康弘氏(座長)、富坂聰氏、ネットメディアを代表して津田大介氏や堀潤氏、また新聞・テレビからベテラン級の政治・国際記者が参加。中国からは政府を代表する人民日報、新華社通信、中国の国営放送・CCTVのキャスター、新興メディア、インターネットを使用した上海の東方網の編集長などが参加した。

 現地の様子をレポートした堀氏によると、「トラディショナルから新興メディアまで、普段は会えないような様々なジャーナリストたちが、非公開の場で話し合っている。オブザーバーを含めると会場には中国の関係者が50名近くということで、日本勢としては何ともいえない緊張感の中、私たちが知りたいことを果敢に聞いている。日中双方が抱えている、高齢化の問題、社会保障が増大していくという問題、介護、労働者不足の問題、さらにはITを始めデジタルテクノロジーをどうやって社会問題の解決に繋げていくか、といったことについて、情報共有や意見の出し合いができる」という。


 会議は尖閣諸島問題などで中止となった時期もあったが、個々人が草の根的な交流を通して関係を温め続けた結果、毎年開催できるまでに至ったという。


 「"大きな日本は嫌いだが小さな日本は好きだ"と言われた。政治の分野では色々な衝突があるが、日本の文化、思いやりの言葉は好きだ、と」。


 会議では世界を騒がせ続けている北朝鮮問題についても話し合われたという。


 「日本側からは中国のスタンスについて探りを入れる質問が出たが、センシティブな問題でもあり明確な答えは得られなかった。ただ、昼休み中の個々人の会話の中で、実際の感触がつかめるようなコメントが出てきた。北朝鮮を囲む国々がそれぞれ難しい関係にあり、金正恩氏の動向が読めないと中で、ぎりぎり均衡が保たれていることを指摘するジャーナリストもいた」。


 中国メディアは今、「米朝双方が暫定的に軍事行動を停止する」という意味の「双暫停」という言葉を使うようになっているという。


 「彼らは、"戦争が始まってしまうと、メディアは終わらせることができない。しかし、我々ジャーナリストたちは、熱を冷ますことはできる"と言っている。また、"中国はいまだ経済発展の最中。不安定が経済発展の阻害要因"、"軍靴の足音はうちの国には今はいらない"というニュアンスの言葉が出ているので、どちらかというと冷静に見ていこうというような言葉が目立つ」。


 堀氏のレポートを聞いていた社会学者の古市憲寿氏が「中国は言論の自由が制限された国だが、ジャーナリストたちはどんな矜持を持って仕事をしているのか。権力批判もできないのでは」と投げかけると、堀氏は「"中国には報道の自由はないが言論の自由がある。日本には言論の自由はあるが報道の自由はないのでは"という発言があり、双方から拍手喝采だった。取材したことをどう出すのか、現場で抱えている問題と向き合いながら、一歩一歩やっていこうという機運に満ちていた。また、ジャーナリズムそのものへの考え方が若干違うように感じた。中国のジャーナリストからは"どうやったら問題が解決できるのかということを言うのが我々の役割で、政治については政治家がやることだ"という声が聞こえてきた」と回答した。


 堀氏は、政府系のメディアでもトーンが違ったり、政府に批判的な発言をするキャスターがいたりするのだという。「日本人が思うような、統制一辺倒ではないと感じる。また、SNS時代なので政府も制御しきれない。現場に来て見てみないと見誤る」と指摘、「"WeChatを検索してみてほしい。WeChatの中では様々なテーマが議論されている。SNS上で果敢な議論が行われているのでそれを見ている。一方でナショナリズムを煽るような一方的な議論も出てくるので注意深く向き合っている"と教えてくれた」と明かした。


 その上で堀氏は「CCTVは北朝鮮の有事について大阪のコリアンタウンからの声を報じていた。不安の声、戸惑いの声、そして『一朝一夕では解決できない』というような意見が語られ、フランス語圏向け、スペイン語圏向けにも発進されていた。日本はこのような対外的な発信が弱い。日本のメディア関係者として非常に危機感を感じている」と警鐘を鳴らした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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