「北朝鮮を干すのではなく、核・ミサイル開発を遅らせるのが目的」北朝鮮制裁への"誤解"とは

 日本時間12日、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する新たな制裁決議の採決が行われた。


 その中身は「北朝鮮に対する全ての石油精製品の供給や輸出を年間計200万バレルに制限」「原油輸出については年間上限を設定(過去12カ月の輸出量を超過しない)」となっているが、当初アメリカが提案していた「石油の全面的な禁輸」「金正恩委員長の資産凍結、渡航禁止措置」は見送られ、"最強制裁"とも呼ばれていた内容からは一歩後退した格好だ。

 国連の北朝鮮制裁委員会で専門家パネル委員も務めた経験を持つ古川勝久氏は「協議のための時間があまりにも少ない。通常なら、北京とモスクワは数ヶ月かかって決める内容」と指摘、その上で、「もともとアメリカによる原案は、北朝鮮を軍事、経済、政治と、あらゆる面で完全に孤立化させることを目的とした相当強烈な内容だった。結果としてかなり譲歩したように見えるかもしれないが、決議されたものでもかなりの制裁ではある。例えば石油精製品を年間200万バレルに制限するというのは、これまでの50%〜75%の削減となり、大幅な締め付けになっている。これまでの制裁で、特にこの春くらいから北朝鮮経済にインパクトが出始めている。中国との国境付近では北朝鮮のビジネスマンが"外貨が取れない""貿易ができない"と漏らしている。今回の決議でその圧迫がますます強まるのは間違いない」と一定の評価をした。


 また、古川氏は制裁の目的やその効果について、誤解が広まっていると指摘する。


 「国連の制裁の目的は、核・ミサイルの開発を遅らせるということ。制裁はツールであって、それ自体が唯一の戦略というのはおかしいし、制裁だけで開発が止まると期待してはいけない。過去、制裁だけで核やミサイルをやめた国は一つもない。制裁プラス外交、あるいは制裁プラス武力行使が戦略になる。また、北朝鮮を干すことも目的ではない。むしろ潰れたら大変」(古川氏)。


 制裁後の動きについて古川氏は「国連決議は、採決されたらすべての国が履行しなければならないが、北朝鮮は密輸のプロで、中朝国境付近には密輸のルートがたくさんある。最低限必要な輸入は継続されるだろうし、すでに石油をかなり備蓄しているともいわれるので、どれだけ迅速に制裁が実行されたとしても、すぐに核開発やミサイル開発が止まることはない。安保理に毎月輸出量を報告することになっている。嘘の申告をする国も出てくるだろうが、それはないという前提。制裁違反者は安保理として処罰するということになっている。また、安保理加盟国は国連制裁違反をした外国の企業・個人を単独で制裁することもできるので、これを有効活用する必要がある」と説明した。

 そこで焦点となってくるのが、制裁に慎重な立場だったロシアの動向だ。最近のプーチン大統領の発言には「平壌に圧力をかけることは過ちで無益だ」「大規模な武力衝突の危険性がある」「北朝鮮はいくら圧迫しても核を放棄しない」「軍事圧力は何も生み出さない」「外交手段こそが唯一の正しい方法だ」といったものがあり、制裁に対して一貫して懐疑的な姿勢を見せてきた。

 去年まで特派員としてモスクワに駐在していた時事通信の平岩貴比古氏は「ロシアは一国、二国での制裁は国際法違反だというスタンス。ロシアは北朝鮮北東部で国境を接しているので、ロシアから石油が流れていく可能性としてはある。これまでも北朝鮮に対しては"制裁違反でない限り、買うんだったら、いくらでも売ってやる"というのが実態だった。北朝鮮を追い込むと暴発しかねないので、ロシアとしては完全に追い込むことには真っ向から反対している。賛成するとしても、それはあくまで"これ以上核実験をするな"というシグナルという意味での賛成だ」と話す。


 平岩氏によると、アメリカ、中国との関係が冷え込んでいるというロシアは、東アジアで自国のプレゼンスを保つことを重視しているという。古川氏も「アメリカとロシアが合意できる数少ない事項が北朝鮮問題だった。しかし今、ロシアは北朝鮮との関係を対米カードとして使い始めている」との見方を示した。


 「我々の正当な自衛的措置を完全に窒息させるための口実に利用しようとしている」「どんな最後の手段も辞さない準備ができている」とアメリカの動きを非難し、軍事行動の選択もちらつかせた北朝鮮。スイスでアメリカとの協議を行ったも報じられているが、果たして次の一手は…。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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