"北朝鮮有事で難民が大量発生か!23年前に策定された極秘計画とは?武装難民、”感染症”などリスク山積

 北朝鮮有事のリアリティが増す中、日本政府にはある懸念があるという。それは、大量の難民が発生する可能性だ。アメリカの政府系シンクタンクが行った調査によれば、有事の際に発生する北朝鮮難民はおよそ100万人と予想されており、自国民の保護だけでなく、難民対策の検討も進められている。

 実はこの問題について、23年前にある極秘計画がまとめられていた。


 それが1994年にまとめられた「K半島事態対処計画」だ。この前年、核不拡散条約からの脱退を表明した北朝鮮とアメリカとの関係が急激に悪化した。アメリカが北朝鮮への爆撃を本格的に検討する中、防衛庁(当時)は韓国から22万人、北朝鮮からは5万人の避難民が押し寄せる可能性があると分析、「海上警備」「邦人輸送」「避難民対策」の3つ柱をひそかに検討していたのだという。

 7日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した北朝鮮問題に詳しい半田滋・東京新聞論説兼編集委員は、この「K半島事態対処計画」について「今もリニューアルされ、トップシークレットの文書として防衛省内で引き継がれている。しかし、国民も政治家も、喉元過ぎれば熱さを忘れるところがあり、いまだ具体的な難民対処の法整備は進んでいない。入国管理は法務省、検疫は厚生労働省、警備は海上保安庁、警察庁、防衛省、さらに税金のことを考えれば財務省も出てくる。このように多省庁にまたがる問題は調整が難しく、エアポケットに落ちて誰もやらなくなってしまった」と指摘する。

 NPO法人「リディラバ」代表の安部敏樹氏は「日本には、移民や難民も含め外国からきた人をどのように受け入れるかという方針を定めた『移民難民基本法』のようなものがなく、出入国管理法の下で移民や難民を扱っている。そのことも、大量に受け入れる準備がなかなか用意できない背景にある」と指摘する。


 かつて日本にも難民を受け入れた経験がある。ベトナム戦争で発生したベトナム・ラオス・カンボジアの3カ国からの「インドシナ難民」だ。その数は、1979年からの26年間で1万1319人にものぼった。

 当時、難民の受け入れを支援してきたAAR Japan「難民を助ける会」特別顧問の吹浦忠正氏は「まず日本語を徹底的に教えること。それから、学校に行かせて、いい成績をとって、いい仕事に就こうという努力を彼ら自身でやること。それをヘルプすることが我々の仕事だった」と振り返る。AAR Japanではすでに、北朝鮮有事の際の難民の受け入れについて協議を始めているという。吹浦氏は「日本政府は最大10万人来るであろうと言うつもりでやっている。その際に一番気をつけなければならないのは、いわゆるスパイとか工作員などと言われる人々が混ざっていないかということ、それから武器・弾薬を携行していないか」と警鐘を鳴らす。

 半田氏も"最悪の想定"とした上で「1989年5〜9月の間に、長崎の大村入国管理局には21隻、およそ3000人のインドシナ難民が来た。お手上げ状態になり、官庁間協力ということで防衛庁に自衛艦を借り、なんとか乗り切った。今も日本の入管の能力は3000人程度しかないといわれているので、27万人も来たら、自衛隊がやることになるのかもしれない。当時の防衛庁も、自衛隊の本来の任務ではないが命令されることを想定してシミュレーションを行っている。陸上自衛隊の駐屯地や演習場を開放、隊員1人につき10人を管理するというものだ。しかし、北朝鮮には特殊部隊が10万人いるといわれており、テロを狙った偽装難民が紛れ込んでいたらどうするのか。レーダーに映らない木製の飛行機An-2に乗って、低空で夜影に紛れてやってきて道路に降り、インフラを破壊することも考えられる。なかなかデリケートな話ではあるが、それらの特殊部隊が国内の政治勢力と組んで…ということも防衛庁は考えていた」と明かした。


■医療面でも課題は山積

 難民が流入してきた場合、収容場所や治安など様々な問題が想定される。医療面からも難民問題を考える必要がある。


 沖縄県立中部病院感染症内科医長の高山義浩氏は、カンボジアやブータンなどで難民支援を行った経験を持ち、北朝鮮難民のリスクを医療面から訴えてきた。内閣官房の担当者とも話し合ったという高山氏。「日本人が歴史的に経験したボートピープルにおける感染症流入で学ぶべきなのは、満洲からの引上げだ。かなり似た状況になるのではないか。現場レベルで調整しておいて、必要な時に速やかに動きだせるようにそうした検討を進めていくことも必要だ」と指摘する。

 「感染症のリスクに注意しておく必要がある。船の中でコレラや赤痢、チフスといった感染症が広がっている可能性もある。そういった方々が上陸してくるので、重症になるものは後方支援病院を確保、隔離が必要なものについては隔離施設が必要だ。また、実は北朝鮮にはマラリアの問題がある。このマラリアを媒介する蚊は日本全国にいる。難民キャンプを農村部に作った場合、国内に感染症が広がる可能性がある。さらに、長期間の漂流によって脱水や低栄養などの症状を訴える人も少なくないだろう。そうした多数の傷病者による医療需要への対応も必要だ。受け入れ先が見つけられなかったり、特に子どもを死なせてしまったりすると国際的な批判を受ける場合もある。医療崩壊が始まりかけているような地方の沿岸部で、医師・看護師・助産師・保健師などの医療従事者の他、朝鮮語を話す医療通訳の確保をどうするのか。自治体レベルで対応させるということがあってはならない」(高山氏)

 さらに高山氏は「国際的なNGO団体による支援を受け入れる中で、日本の医師免許を持たない外国人医師の診療を認める場合は法整備をしなければならない。さらに難民の診療に慣れているのは、難民の中に含まれる医療従事者だ。そういう人たち自身にプライマリーケアを担ってもらい、重症化した時には日本のハイテク医療がサポートすると、いうような体制を整えるという考え方もある」と提言。「国際的には、中国や韓国に形成されるであろう難民キャンプに対する人的貢献も必要になってくるだろう。あるいは、これらのキャンプで難民認定された後で、日本に親族がいる方や、日本への再定住を希望される方の受け入れをどうするかも検討しておく必要がある」と指摘した。


 高山氏は、難民へのヘイトスピーチのような攻撃など、支援活動に対し心理的なものを含めた妨害も懸念、「難民はきちんと受け入れ、北朝鮮が安定した状態になって国に帰るまでは、私たちが保護していくという雰囲気を日本社会で作れるかどうか」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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