飲み会も我慢し、5年で1000万円を準備!自転車での世界一周を成し遂げた男の体験談

 やさしい笑顔と、細身の体が印象的な小口良平さん。激動する国際情勢のど真ん中を走り抜け、去年ついに自転車での世界一周を成し遂げた。訪れたのは157の国と地域、走行距離は実に15万5502km、地球4周分だ。訪れた国の中には、混沌とする今の世界情勢を象徴する場所もあった。

 危険を顧みず、なぜ自転車での世界一周に挑んだのか。小口さんは「サッカーをやっていたが、サッカー選手になれるわけないとか、法律の勉強をしていたが楽しくもないし面白くもないとか、諦めてばかりの人生で、何か一つだけでも、自分を変えるきっかけを作りたかった」と話す。自転車を選んだ理由は「10年くらいかければ、時速15kmくらいで世界200カ国のうちの7、8割は回れるのではと思ったから」。

 旅の資金作りも、驚くような節制をして成し遂げた。「スポンサーを集める度胸もなかったので、自力で貯めようと。食事はご飯を1合ちょっと炊いて、朝は贅沢に納豆か卵ご飯。昼はおにぎり、夜は食べないという生活をひたすら続け、約5年間、色々な仕事をしながら1000万円貯めた。諦めてばかりの自分だったので、やっぱりどこか厳しさをおいておかないと…」と、飲み会など、社会との関わりを半分シャットアウトしたストイックな生活を笑顔で振り返る。

 5年間の準備期間中には、"前哨戦"として日本一周を成し遂げ、満を持して2009年3月にオーストラリアから世界一周をスタートさせた。

 ニュージーランドでは全長約350m、高低差約70m、最大勾配37%というギネス認定の世界一の坂を登った途中、止まりそうになりながらも懸命に漕ぎ続け、見事4分で登りきった。ガイアナ共和国ではニュースでも取り上げられた。

 エジプトでは、民主化運動「アラブの春」のデモに遭遇した。「首都のカイロではデモ行進があったりした。警察と民衆が争う姿とか、軍隊とケンカをする姿を見ていた。暴力を振るわれたことはないが、ペットボトルとか物を投げつけられた。他の旅人はカメラを盗まれたり、今までのエジプトよりみんな危なくなっていると感じていた」。

 旅の終盤には、政治的混乱が続き、先日トランプ大統領が軍事介入を示唆したベネズエラも訪れた。去年7月、経済危機から政府への不満が高まり、内戦状態とまで言われる状況にある。「かつて南米で一番お金があった国なのに、物がなくなってきた。ハイパーインフレを起こして、食料が高価になったので、倉庫を狙う強盗が現れたり、カージャックが目の前で起こる状況で自転車を走らせていた。世紀末のような状況になっているとあらためて感じた」。

 途中、交通事故にも3度遭い、前歯を3本失った。差し歯はそれぞれエチオピア、インドネシア、ペルーのものだという。それだけではない。腸チフス、デング熱、マラリア、インフルエンザ、食中毒など様々な病気にも悩まされた。8年半にも及ぶ長い旅は、再び訪れたアメリカのニューヨークで終了した。

 「メカニカルトラブルで進めない状況では、自転車を置いて、歩いていきたいという気持ちに何度もなった。そこが歩く旅とは違うところかな」。普通の自転車よりも丈夫な車体だったにも関わらず、パンク回数110回、タイヤ交換20本、チェーン交換28回というのが、旅の過酷さを物語っている。

 危険な思いをすることもあれば、温かい歓迎を受けることもある。

 例えばイランでは人々のおもてなしを受け、食料や水をもらった。小口さんは旅をする上で一番大切なことは笑うことだと話す。「陸地で繋がっているし、何千年という歴史の中で、人種も血も混ざっている。他人に対する怖さもあるし、自分も怖がられているとわかっているから、まず最初のアクションは笑顔で始めていた。やっぱり頑張っている姿は世界共通して好きなのかなと感じた」。

「世界中に会いたい人ができた。最初は観光だと思っていたが、旅の目的が"人"になっていった」と旅の醍醐味を語る小口さん。世界一周を終えた今、旅の良さを伝えるための本『スマイル!』出版し、講演活動も行っている。10月8、9日には群馬県で「第三回定期連絡会みなかみフェス」というイベントを行う。

 将来的には「カフェ、ゲストハウスをして人を集まる場所を作って、最終的には好きなアウトドア、故郷の諏訪湖のガイドサイクリングをしたり、みんなで楽しめることをしたい。自転車で南極、月にも行きたい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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