エスカレートする米朝の応酬 北朝鮮を核保有国として認めるという選択肢も?

 北朝鮮によるグアム周辺へのミサイル発射計画発表に端を発する米朝の応酬がエスカレートしている。


 トランプ大統領は11日、「彼(金正恩)がグアムに何かすれば北朝鮮で見たこともないことが起きる。その時になればわかる。彼は目にする。これは挑戦でなく私の宣言だ」など、実力行使を匂わせる、厳しい口調で北朝鮮を牽制した。


 トランプ大統領の一連の発言について、AbemaTV『AbemaPrime』に出演した軍事アナリストの小川和久・静岡県立大特任教授は「トランプは自分が知らない分野、とくに安全保障や外交分野については軍人出身のマティス国防長官、マクマスター安全保障補佐官、新しく就任したケリー首席補佐官などのに丸投げしている。思い付きで発言しているようにも見えるが、Tweetはケリー首席補佐官が添削している。トランプ流のビジネスマン的な物の言い方だ」と話す。


 一方、北朝鮮の威嚇もレベルが上がっているように見える。小川氏は「金正恩体制も色々な発言や行動をしているが、それらは極めて緻密に計算され、練り上げられたもの。米国が怒らない範囲で強硬姿勢を示している」と指摘、「ICBMの発射と核実験は、アメリカが本気で軍事行動をしてくるレッドラインではないと思っている。ICBMを打たないと、米国の圧力に屈して話し合いに追い込まれたのではないかという印象になってしまうので、米国が話し合いを望んできたという形にしたいのだろう」と解説した。


 今回の北朝鮮のミサイル発射計画は、中距離弾道ミサイル「火星12」を4発同時に発射し、島根・広島・愛媛・高知の上空を通過後に、グアム島周辺の30~40キロメートル海上水域に着弾させるというものだ。

 北朝鮮専門情報サイト「デイリーNKジャパン」編集長の高英起氏は、「あくまで『作戦を慎重に検討している』と言い方をしている。本気なら、黙って実行するはずだ。そもそも北朝鮮のミサイルは衛星などである程度捕捉されている。4発同時に発射しようとしたら当然捕捉されて先に攻撃されてしまう。北朝鮮が実際にグアムをミサイル攻撃する可能性はゼロに近いと思う」と話す。その上で「毎年、北朝鮮は米韓合同軍事演習の時期になると威嚇の声明を出してきた。その意味では通例の威嚇とも言えるが、今回はその内容が具体的。徐々に威嚇のレベルを上げていることは確かだ」と指摘する。

 小川氏は「実戦配備には程遠いが、計画を実現できるだけの能力はある。発射した結果、アメリカが撃墜したら"対等な立場を勝ち取ることができた"と言うだろうし、近くに落ちたとしても、"アメリカは手出しできなかった"と言える。どう転んでも北朝鮮は強硬な立場でいられる」と推測。「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)で迎撃する可能性は50%くらい。北朝鮮に対して、豊渓里の核実験場などにサージカル・ストライクをかける可能性はある」としながらも、「北朝鮮を核保有国として認めるという選択肢もあり得る。攻撃されないギリギリのところでやって、成功している。北朝鮮も、中国やインドが世界から非難されながらも核と弾道ミサイルを開発して成功して認めさせ、経済建設に向かったような事例を念頭に置いている」と述べた。


 高氏によると、北朝鮮が世界に対して強い言葉で威嚇する背景には国内的も事情があるという。「北朝鮮経済は以前に比べてかなり良くなってきているが、依然として苦しいことには変わりない。国民はデモや政治的手段で不満を訴えることはないが、そういった空気は漂っている。そこで、外に敵を作って内部の統制を図っている軍事は非常な負担で、何も生み出さない巨大な公共事業なので、なんとかして強力な武器を手に入れ、通常戦力を縮小化したいと考えている」とし、ある種の"捨て身の戦略"であると説明した。

 米朝情勢が緊迫する中、日本は中国・四国地方の4か所に迎撃ミサイルPAC3の部隊を配置した。また、小野寺防衛大臣は10日の国会で、野党から集団的自衛権の行使について質問を受け「我が国に対する存立危機事態になって(武力行使の)新三要件に合致すれば対応できる」と答弁している。これについて小川氏は「グアムが攻撃された場合、存立危機事態と認定して集団的自衛権の発動、安保法制の中で定められた後方支援などをする可能性はある」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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