「二元代表制が戦後初めて実現する」小池都知事の後任、野田数・都民ファースト新代表を直撃!(1)

 2日に行われた東京都議会議員選挙で圧倒的な勝利を収めた「都民ファーストの会」。公認候補の50人中49人が当選、さらに無所属の推薦候補6人を追加公認したことにより、合計55議席を占める大躍進を果たした。


 その一方、選挙翌日にはこれまで党を率いてきた小池百合子都知事が代表を退く意向を明らかにし、波紋を広げている。議会第一党の代表と都知事を同時に務めるのは二元代表制の観点から問題があり、知事の仕事に専念すべきとの考えからだ。


 小池都知事の退任に伴い、新たに代表に就任するのは野田数(のだ・かずさ)氏(43)。早稲田大学を卒業、サラリーマンとして1か月働いた後に、当時衆議院議員だった小池都知事の秘書に就任。さらに東村山市議を2期務め、2009年には自民党議員として都議会議員に初当選。2012年、地域政党「東京維新の会」を立ち上げた。その後、アントニオ猪木参院議員の政策秘書などを経て、去年の東京都知事選では小池都知事の選対本部責任者として活躍した。

 6日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、野田新代表に独占インタビューを行い、都民ファーストの会の今後や都議会運営について疑問をぶつけた。(聞き手:小松靖・テレビ朝日アナウンサー)


■「小池都知事にとって使いやすいんじゃないですかね(笑)」

ーー都民ファーストの会は今、国政、そして地方政治も含めて日本で一番注目されている政党だと思うが、その新代表になった心境は?


野田数氏(以下、野田):「新代表」と言いますが、1月から5月末までは私が代表を務めておりましたので、返り咲いたという思いで、特段気負いというものはありません。ただ、私どもが自信と責任を持って擁立した公認候補および推薦候補を55名当選させて頂いたので、非常に責任は重大だと思っておりますし、"勝って兜の緒を締める"、こういう心境です。


ーー小池都知事とは20年近い長い付き合いだということですが、なぜそこまで小池都知事は野田さんを信頼しているのか?


野田:どうですかね…使いやすいんじゃないですかね(笑)。自分を買い被っているわけではないですけども。


ーーどういう部分が"使いやすい"と評価されているのだと思う?


野田:なんなんですかね…あまりそういうのは考えたことないですね。ただ意外にこう見えて真面目に働いていますので、その辺りが評価されているのでしょうかね。

■小池都知事の代表辞任の意向は「選挙終盤に聞いた」

ーー小池都知事は選挙直前の6月1日になって代表になり、圧勝した翌日に代表を退いた。1カ月間だけ代表が入れ替わったのはなぜか?


野田:元々1月に私が代表に就任して地域政党化した段階で、選挙の前には代表になって頂こうという話を知事とはさせて頂いておりました。やはり小池都知事が実質的な代表を務めるグループだったわけですから、そこは分かりやすくした方がいいだろうと考えておりました。私もつぶさには聞いておりませんけれども、選挙が終わってから色々考えもあったのでしょう。それこそ"政治家の出処進退は本人が決めるべき"ということがありますけれども、(ご自身で)辞めるという判断をしたということです。


ーー音喜多駿幹事長は代表退任の意向を発表の直前に聞いたという。野田さんが聞いたのはいつ頃?


野田:私は選挙の終盤ですね。


ーー"二元代表制を担保するため"という都知事のお考えもよく分かるが、有権者からすれば「小池さんの政党だから一票を投じたのに」という思いもあるはずだ。


野田:二元代表制が云々という理屈も分からなくはありませんが、それはその通りだと思います。ただ、例えば大阪に目を向けると、大阪維新の会のように首長が政党の代表を務めるというパターンもあるものですから、何をどう取るか、という判断だったんだろうと思います。


ーー小池都知事を支援してきた若狭勝・衆議院議員は「代表を外れて、その上の特別顧問という立場に移っただけ。都民ファーストを離れたわけでもない。代表であろうと特別顧問であろうと、選挙カーに乗って応援したはずだ」と話していた


野田:6月まで、知事は我が党の特別顧問でしたから、元に戻ったということだろうと思います。それは誰がどう見たって、都民ファーストの会は"小池党"です。その認知もしっかりされるようになったから、自らが代表である必要はないと判断したのではないでしょうか。

■「むしろ政治経験のない人の方が期待できる」

ーー選挙参謀として、どうやって巨大組織である自民党と戦ったのか。ここまで党を躍進させるには相当な戦略もあったかと思う。


野田:あまり細かいことは申し上げませんけれども、やはり仲間を増やしていきましたね。どうしても新興勢力の新党というのは、人の批判をしてのし上がってくるわけですよね。私どもはそれは絶対にやめようと決めておりました。


あとは議会の中でも公明党をはじめとする多くの会派が支えてくれましたし、"表に出すと嫌がらせをされてしまうから本当にやめてくれ"と言われもしましたけれども、たくさんの自民党系支持団体もこちらを応援してくれました。


ーー55人中、39人が初当選、うち25人は政治経験がないという中での議会運営、リーダーとしてどうやっていくのか?


野田:むしろ政治経験のない人の方が心配はしていないんですね。非常に専門性の高い、多種多彩な人材が当選させて頂いたわけです。こういった方々は民間での経験と照らし合わせながら議会活動をしてくれるので、かえって楽なんですね。変な"癖"がついていないですから。これまで"第三極"と言われたところですとか、かつての民主党もそうですけれど、内部崩壊を起こして崩れていくんですよ。つまり統治をどうするかというところですよね。民間の経験がある方は、当然組織人として来ていて、わきまえていらっしゃるので、むしろ我々は期待しています。


ーー逆に議員経験者だと扱いにくい?


野田:扱いにくいわけではなくて、社会経験がなくて議員になっちゃったということがない人を選んでいますよ、当然。一定の社会経験を経た人や地方議員経験者を入れています。例えば今までの自民党を見ていると、平気でセクハラヤジを飛ばすとか、ムラ社会なんですよ。地縁、血縁ですよね。そういうことは絶対にやってはいけないと思いましたので、非常に優秀な、都民・有権者に責任を持って提示できる候補者を擁立したと考えているので、新人だからという心配はまるでないです。逆だと思いますよ、むしろ。何も社会性がない中で、世襲だ、地縁だ、血縁だ、で市会議員や区議会議員をやって、そのまま上がってきた人の方がむしろ危ないと思います。


ーー都民ファーストというきれいなパッケージなわけですけど、開けてみれば元々は自民党や民進党だった人もいる。そういう人たちが都民ファーストの会に行ったからといって何か変わるのか、という疑念をどうやって解きほぐすのか?


野田:それはもう、我々が公約で掲げたことをすぐに実現することですよね。私どもは条例を議員提案で積極的に出していく、実現していく、いうことを公約の柱に掲げた。法律を作るのが国会議員で、地方議員は条例を作るわけですよね。しかし今までの25年間、自民党が主導する都政では条例が1本しかできなかった。それも民主党が第一党になった時だけなんですよ。それをこれからどんどん進めていくということです。そうすることによって信頼を勝ち得ていくと考えています。


ーーなぜ条例を作ることが叶わなかったのか?


野田:やはり自民党が政策立案だけでなく、はっきり言えば議会の質問原稿まで全部都庁に丸投げしていたんですよ。変な形で議会と行政がくっつき過ぎていたんです。これが議会のあり方を歪めていたんだと思います。そもそも二元代表制で行政をチェックするなんてことはしてこなかったんです。していれば(築地市場が移転予定の豊洲新市場に)盛土がないことは見つかっていましたよね。

■「都民ファーストの会は、小池都知事をチェックできる」

ーー都民ファーストの会は都議会で知事を監視する立場。新人議員も多い中で、本当にチェックできるのか?


野田:チェックできるんです。なぜか。情報公開を進めるからです。都知事は行政の情報公開を一気に進めましたね。うちの公約集を見て頂ければ分かりますが、自民党都政の時代は、ほとんど情報公開で資料を取り寄せても"ノリ弁"。真っ黒ですよね。小池都知事になってから、個人情報以外は全部さらすようになった。これが議会ではまだ行われていませんので、行います。情報公開をしてメディアの皆さんに注目して頂きます。そうすれば、都民、国民の皆さんの目にさらされるわけですよ。その時に議会が"何だ、小池都知事へのチェック機能が働いていないね"となれば、議員は次の選挙でその責めを受けるんです。だから議会の情報公開が一番必要なんです。例えば、都議会本会議はインターネット中継をしていませんよね。各委員会の理事会も非公開ですよね。秘密会ですよね。こういうのも公開するんですよ。


ーーネットメディアが記者クラブから排除されていた部分もあるが?


野田:入れていくんです。それによって、仮に都民ファーストの議員団が公約と違うことをやっていれば批判されるわけですよ。だから情報公開さえ進めれば、二元代表制が成り立つんです。今までは隠蔽体質だからチェックが働かない"一元代表制"だったんですよ。しかも議会のドンによる。都知事が都庁に来ないんですから。これまでも行政の情報公開をしてきますが、今度は議会の情報公開も進めることによって、二元代表制が戦後初めて実現します。


ーーなかなか実現できなかった情報公開が簡単にできるのか?


野田:できます。小池都知事が当選直後に知事報酬を50%削減しましたね。その後に、こちらは何も言っていませんが、議会の方が公明党を中心に議員報酬の20%削減をしましたよね。政務活動費を全部公開するとか。行政側が進めれば、引っ張られて議会側もやるんですよ。あの時は我々の勢力もないに等しかったが、今はおかげさまで第一党を取れたので、都民ファーストの会の議員団が情報公開を進めていく。東京都政にようやく二元代表制が実現するということだと思っています。

■「議会に調査能力を付与していきたい」

ーー豊洲移転問題については?


野田:議会のもう1つの問題点として、立法能力もないですが、調査能力もないんですよ。行政に比べて情報量も少ないですし、調査をするスタッフもいないし、予算もつけられていないんですね。まずはこれを増やすことだと思います。議会が豊洲、築地の問題を語ろうとしても結局何の材料もないので、語れなかった。自民党が早く豊洲に移転しろというのは、非常に無責任な議論だったんです。だって自分たちで調査してないんですから。役所側の文書を見て、これは進めようとか進めるなとか、それだけだったんです。議会にもそういう調査能力を付与していきたいと考えています。


ーー間に合うのか?


野田:もちろん、間に合わせます。ただ、残念ながら今の段階では残念ながら行政の方が情報量もありますし、調査能力もありますから、行政側の調査に委ねているという状況です。


ーー行政との対立が激しくなり、厳しく追及する場面も出てくるのではないか。


野田:"追及"ではないです。むしろ"推進"していくんです。この方が合理的ではないか、こちらの案の方が現実的ではないかと議会が言えばいい。ただ議会に言えるだけの能力も材料もないんです。もちろん公明党や共産党は党の中に強力な政務調査会を持っていますから別ですけれども。自民党にはそういうのはないですし、民進党にもない。我々は議会全体としてそれをしっかり構築していきたいと考えています。当面は行政の結論をしっかりと見ていきたいと考えています。


ーー有権者が失望しないようにするためには?


野田:実績をどんどんあげていきます。去年の都知事選が終わった後のように、スピーディーに実績をあげて実現していきますので、そこはご期待頂ければと思います。


野田新代表には、東村山市議やアントニオ猪木参議員議員の秘書を務める傍ら、尖閣諸島の視察や保守系雑誌での評論活動など、右派的な言動が指摘されてきた。また、東京都議時代の2012年には現行憲法を無効とし大日本帝国憲法の復活を求める内容の請願に賛成していたことも報じられている。後編では、そうした野田氏の政治思想や、週刊誌報道について疑問をぶつけた。(後編に続く


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