バニラ・エア問題で渦中の木島英登氏が激白「騒動になったのは想定外。僕は終わった話だと思っている」

 「ただただ驚いている。車椅子でも自由に旅行ができて、飛行機に乗れたらいいなというだけで、騒動になったのは想定外」。


 バリアフリー研究所代表の木島英登氏と格安航空会社バニラ・エアをめぐる騒動。29日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に、渦中の木島氏が出演、今の心境を語った。


 ことの発端は5日、バニラ・エアを利用して滞在先の奄美空港から関西空港に戻ろうとした時のことだった。2日前、奄美空港に到着した際には同行者3人に車椅子ごと担いでもらい、タラップを降りた。しかし、復路では空港職員に「車椅子を抱きかかえたまま上り下りすることは禁止している」と制止されたのだという。

 「同行者が僕の車椅子を担ごうとすると、『危ないからやめてください』と。でも、飛行機に乗れないと帰れなくなる。それは困るから」と、階段に座って腕の力を使い、身体を持ち上げながら17段のタラップを一段ずつ登った。この対応に驚いた木島氏は、昨年4月に施行された障害者差別解消法に基づき、鹿児島県と大阪府の窓口におかしいと相談、顛末を自身のウェブサイトに公開した。

 このトラブルを朝日新聞が報じたことで、ネット上を中心に一気に論争が広がり、奄美空港には29日から電動の階段昇降機が導入され、批判を受けたバニラ・エアは「こんな形の搭乗はやるべきではなく、本意ではなかった。改めてお詫びを申し上げたい」と謝罪した。


 同社の山室美緒子副社長は取材に対し「お客様には大変ご不便とご不快な思いをさせてしまった。結果的にご自分の手とお連れ様の若干の介助を得ながら、階段を一段ずつ上がるという結果になってしまった。車椅子のお客様、お身体が不自由なお客様に対しては、ウェブサイトで事前にご相談頂くようにご案内していた。けれども、特に奄美空港の場合は空港の施設要件上、制限せざるを得ないということをご案内させて頂いていたが、そこがうまくお客様に伝わっていなかったのかもしれない」と話した。

 実際にバニラ・エアのホームページには、車椅子をご利用の方は5日前までに連絡をして欲しいという旨が記載があった。しかし木島氏は「面倒くさいでしょ。旅行経験なくて不安な人は相談したらいいと思うが、今回、もし事前に相談してたら乗れてなかったと思う」と話す。

 「歩けないから飛行機に乗ってはいけない、というのは初めてで、非常にショック。旅を始めて24年、158カ国に行って、空港も300カ所くらい行ったが、設備がないからとか、車椅子だからとかで乗ってはダメとは言われなかった。先進国以外で、小型機で何も無い時は這って上ったこともあるが、リベリアやシエラレオネの空港でも、みんな寄ってきて担いでくれたりした」と話し、「100%介助ができなくても、設備がないところは設備がないなりに手助けするとか、そういうふうになればいいと思う」。


■「私の思っているクレーマーは、無理難題を要求する人」

 「2002年に1人で飛行機に乗ったときに搭乗を拒否されたことがあった。その顛末もウェブサイト載せている。事実を知ることで、"これはおかしい"と思う人が増え、改善されていけばいいなと。事実関係をきっちり載せておくことで、行政の方々にも説明しやすく、他の方も簡単に観ることができる。言った・言わないにもならない」。

 そんな木島氏のウェブサイトには、


「当方、手足が不自由な者です。あなたは非常識で障害者の盾を不当に扱う障害者の敵です。あなたはただのクレーマーです。最低ですね」
「LCCがなんで安いのか考えていないような行動でうんざりです。障害者のイメージが悪くなるので、飛行機乗らないでください」 
「車椅子で搭乗時に不自由が生じるなら、設備の整った大手航空会社を利用すべきではないですか?それをあえて格安を使い、自分はこんな目にあった、とマスコミに言いふらすのは不自由を武器に使ってないか!」


 など、批判的で厳しい意見が寄せられている。また、Twitterや『AbemaPrime』には、


「たとえ規則があったとしても、臨機応変に対応すべきではなかったか。今後は改善するとのことだが男性があまりにも気の毒」
「格安飛行機にそこまで求めるなって声があるけど、安さを手に入れるためになんで車椅子の人だけが切り捨てられなきゃいけないのよ。そういうの差別って言うんでしょ」
「お客様は神様じゃない。航空会社側にも客を選ぶ権利がある」
「赤ちゃんをベビーカーに乗せたままで搭乗しようとしたら拒否るやん。それと同じ」 「怪我をしたら飛行機が飛べなくなり、他の乗客にも影響が出る」
「緊急時の避難のときのためにも、隣の席のひとに事前の同意が必要だってことなんだよ」


 など、賛否両論の意見が書き込まれた。さらに車椅子の利用者たちからは


「できることなら何にも連絡しないでも自由に乗りたいなあ。電車でも途中下車してみたい。しかし現実は厳しい。健常者の人が日常どれくらい関心を持っているのか」
「過去に車椅子を使っていた身体障害者だけど、車椅子での行動は制限がつくものだから事前に確認もせずに飛行機に乗ろうとする方がおかしい」

 といった声が寄せられている。

 木島氏はこれらの反応について、「色々な意見の方がいるなというのが、率直な感想だ。障害をもとにメシを食っていると言われても、実際そうですし、容姿が綺麗な方はモデルになり、話がうまい人は芸人になる。個性を活かして仕事をしているだけなので、"プロ障害者"と言われても良いかなとは思う」と話す。


 また、「クレーマーだと言われたりもしているみたいだが、私の思っているクレーマーは、無理難題を要求する人だ。『事前に確認もせずに飛行機に乗ろうとする方がおかしい』という声があったが、僕はただ行きたいところに行っているだけで、世界中の設備がないところにも行っている。今回もお手伝いを頼んでいるわけではない」と反論。


 事前連絡をしなかったことについても「ウェブサイトの記載に気づかなかった。特別な配慮を求めているわけではなく、機内用の車椅子を借りるだけなので、大したことではないと思っていた。改めてバニラ・エアのホームページを見ると、奄美空港に行く人は連絡をください、みたいな記載があったので、連絡をした方が良かったのかなと思う」と説明した。


 そして、「車椅子の人はLCCにサービスを求めるなと言う声もあるが、僕はバニラ・エアを批判しているのではない。バニラ・エアの全路線で車椅子の人が乗れないのであれば僕も怒ってしまうが、問題は奄美空港だけ。それを皆さん勘違いしている」とも話し、奄美空港での設備が改善された今、「僕は終わった話だと思っている」と述べ、騒動拡大への戸惑いをみせた。


 ネット上の論争を受け、乙武洋匡さんは現実を変えていくためには「あえて波風を立てていく場面が必要にもなってくる」と指摘している。しかし木島氏は「僕は波風を押さえたい。新たな問題を作ろうとも思っていない。尊厳を踏みにじられたとも思っていない」と話す。

 「朝日新聞さんが書いて、Yahoo!ニュースにも載って、大きくなったということがある。ただ僕は断られて奄美に行けないという人が何人もいるという話があったので、誰もが行けるようになってほしいというだけ。そしてそれが解決したということを伝えたかった」。


■「移動に困難を抱える人全体をどうするのかも議論すべき」

 生まれつき両足に障害があり、障害者支援のニュースサイト「プラス・ハンディキャップ」の編集長を務める佐々木一成氏は今回の論争について「空港設備の問題なのか、航空会社のサービスレベルの問題なのか、あるいはその場でのスタッフ個々人の接客の問題なのか、その原因の所在を明確にする必要がある」と述べ、論点を整理すべきだと指摘する。

 また、木島氏の言動に対する批判について「今まではアンタッチャブルというか、タブー視して議論しにくい状況があった。そこを利用したんじゃないかと、障害者も含めた当事者同士のねたみ、やっかみも出てきている。無理解や偏見があるような問題でもあるので、これをネタに攻撃ができるんじゃないかと感じている人が否定派・肯定派双方に一定数いる」と指摘する。


 その上で、「障害者を理解するという観点で、感情論が渦巻きながらもSNSで意見が出てくるのはいいことだと思う。また、車椅子の木島さんは移動することに困難なので法律によって配慮されます。でも、足が不自由な高齢者だけど障害者じゃない場合には配慮しなくて良いのか、ベビーカーの赤ちゃんは配慮しなくて良いのか。僕は義足ですが、タラップを上ることができる。"車椅子の障害者"の問題だけでなく、移動に困難を抱える人全体をどうするのかも議論すべき」とした。

 さらに佐々木氏は「車椅子の人が来ることを想定しておくべきだったことも事実だが、僕たち障害者が生きていくためには、社会や企業の配慮を待つだけではなく、こちらからも発信して、お互いが歩み寄るとよりよいサービスに繋がるものなので、法律で配慮が義務付けられたことをきっかけに、より歩み寄っていくこととも必要。そして、社会のルールや常識に準じる部分は必要だと思う。平等というものは、誰かが用意してくれるのではなく、障害者側もその平等な社会を作るメンバー。"障害者への理解"という言葉には、障害者が他の障害者のことを理解していますか、平等に扱っていますかということも含まれる」と問題提起した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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