Facebookの"検閲基準"が流出 表現の自由はどうあるべきなのか?

 イギリスのガーディアン紙が先月、Facebookのコンテンツ検閲方法を含む内部資料の一部を公開した。


 Facebookでは昨年、世界的に有名なピューリッツァー賞を受賞した写真を誤って児童ポルノと判断・削除してしまいユーザーからの抗議を受けたり、殺人動画が数時間にわたり表示されたままになるなどの問題が起きていた。内部資料によれば、検閲対象は暴力・ヘイトスピーチ・テロ・ポルノ・人種差別などに関連する投稿を対象としており、


 「裸や性的行為を描いている『自作』のアートは許可されるが、デジタル素材は削除対象」

 「妊娠中絶の動画は裸体が写っていなければ削除対象にはならない」

 「暴行による死亡を撮影した場合、『不快に感じる恐れがある』と警告を記入すれば常に削除対象になるとは限らない」


 など、詳細な独自の基準が示されている。他にも「『誰かがトランプ大統領を撃つ』は削除対象」「『お前を殺してやる』は削除対象にはならない」「自傷行為のライブ動画は削除にならない」などが挙げられている。

 また、これらのコンテンツの「チェック」「削除」「非表示」「放置」などの判断はユーザーや人工知能による報告に基づき、「モデレーター」と呼ばれるスタッフの手で行われていると判明した。モデレーターは2週間の訓練の後、コンテンツのレビュー業務に従事、上記のマニュアルをもとに扱いを判断する。作業を人の手で行う理由は、ヘイトスピーチ・テロ行為の宣伝などの書き込みは人間でなければ判断できないほど複雑なものだからだ。


 今回明らかになった規制内容について、東京工業大学の西田亮介准教授は「IPアドレスなどを通じて書き込んだ人を特定することができるので、そもそもインターネットに匿名で書き込むことができるという認識自体も間違っている。ネット上も実社会と同じような空間であると認識するべき」と指摘。その上で「Facebookの対応は、コンテンツマネジメントという見方もできる。他人の権利侵害、攻撃の予告などを除けば自由の範囲は広く、かなり考慮された、ミニマムな基準に思える」と話す。

 差別表現を巡ってネット上の表現の自由が議論されるきっかけとなったのが、フランスでのある訴訟だ。2012年12月、フランスのユーザーがTwitterに「良いユダヤ人は死んだユダヤ人」と書き込んだことに対し、ユダヤ人学生協会がTwitter社にアカウント削除や発信者の連絡先の提出を求めた。Twitter社が「ポジティブなメッセージをたくさん送ればいいのではないか」と拒否したため、協会が提訴、裁判所は「インターネットは公の場なので、人種差別禁止法が適用できる。匿名発信であっても責任を問われるべきである」と発信者の身元を明かすよう求めた。


 ネット上の情報発信に対する規制へは、国家も乗り出している。イギリスではIS支持の投稿だけで逮捕されるほか、違法なコンテンツを削除しない企業に対し罰金やもっと強力な規制を検討すべきだという議論がなされている。また、ドイツではFacebook、Twitterがフェイクニュースを24時間以内に削除しないかった場合、最大で60億円の罰金を科している。

 西田氏は「グローバル企業と国家が係争した結果、規制や撤退によって特定の国の国民だけがサービスを利用できなくなるということが本当に良いのかという問題もあり、SNSの規制は非常に難しい」と指摘。

 ジャーナリストの堀潤氏は「相手を貶めたり、心や身体を傷つけたりするのは自由ではないし、それは取り締まるべき。ただ、言論には言論で対抗するとうのを大前提にあるという考えを大事にしたい。忘れてはいけないのはFacebookもTwitterもGoogleも私企業のサービスだということ。営利のためにやっているので、企業に裁量がある。もし、私たちが表現の自由を行使したいのであれば、他のところでやればいいというだけの話。そういう意味では、国全体で規制をかけようとするのは問題だと思う」と話した。


 最も自由に情報を発信できる場だと言われてきたインターネット。20億人のユーザーが利用するFacebookの資料が示されたことで、言論の自由をどこまで認めるのかが問われている。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000