障害者の性、男性不妊の研究・開発に取り組む「TENGAヘルスケア」の挑戦

■TENGAを使って"障害者の性"を豊かに

 アダルト雑貨のメーカー「TENGA」が、医療・福祉分野に本格的に進出しようと、新会社「TENGAヘルスケア」を設立した。まだ社員数は数名の規模だが、代表取締役の佐藤雅信さんは『「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」というTENGAのコンセプトの"誰もが"の通りに、障害のある・なしや、年齢、性別問わず、性を変えていきたい」と意気込む。

 同社の事業の柱のひとつとなっているのが"障害者の性"だ。障害者の60%以上が年収100万円以下であり、男性の障害者が風俗店を利用するのは容易ではない。そこで佐藤さんたちはTENGA製品をその解決に使えないかと考え、障害者が豊かな性生活が送れるよう活動するNPO法人の熊篠慶彦さんの協力も得ながら、製品改良を進めている。手が不自由な人がTENGAを使えるようなストラップも開発した。

 都内の障害者施設で利用者たちにアンケートを実施、製品の感想を尋ねた。評価は決して良いと言えるものではなく、問題点も数多く見つかったが、意見や感想はどれも改良のための貴重なデータだ。

 同社の中野有沙さんは「障害者の方々と関わっていく中で、よく挙げられるのが家族内での性的介助の問題です。家族同士でも話し合うのが難しい、すごくプライベートな問題なので、誰に相談すればいいのかもわからず、蓋をされがちです」と話す。


■自身の「膣内射精障害」の経験を糧に

 TENGAヘルスケアのもうひとつの柱が"医療分野"だ。がんや男性不妊の当事者のために、リハビリ用の製品を研究・開発している。


 厚生労働省の調査によれば、男性不妊の原因の1割近くが射精の障害で、その多くは「膣内射精障害」だと言われている。性行為の刺激では射精が出来ず、自然な形での妊娠が難しくなってしまうのだ。

 同社に協力、TENGAを用いたリハビリにも取り組んでいる獨協医科大学越谷病院の小堀善友医師は、膣内射精障害の原因について「一番多いのは俗にいう『床オナ』。勃起はしないまま性器を床などにギュって押し付けて射精してしまうことに慣れてしまっている方が多い。ただ、受診に来るのは、どうしようもなくて困っているという人が多く、氷山の一角ではないか」と話す。

 実は佐藤さん自身も、男性不妊の当事者だった。"膣内射精障害"と呼ばれる症状で、幼い頃に知ってしまった、水流による強い刺激を用いた誤ったマスターベーションのために、女性との性行為で射精に至ることが難しくなってしまったという。

 「初めて自覚したのは初体験の時。快感を感じられない感じで、"あれっ"と。いくら腰を振っても射精に到達することは出来ませんでした。終わりのない戦いの中で、痛くなって続けられないことも何度もありました。妻もよく我慢して対応してくれたなと思います」と振り返る。


 そこで佐藤さんは、射精寸前までTENGA製品を使用、すぐに挿入するという方法で妻との間に生命を授かった。完治するのは難しいと言われる膣内射精障害だが、TENGAの刺激の強いものから弱いものへ段階的に慣らしていくという方法で、完治したケースもあり、研究論文も発表されている。

 佐藤氏さんは「正しい情報を当時知っていれば、こんなことにならなかったという後悔もあるので、若い人にはそういう思いをさせたくない。自分の経験も活かしていきたい」と話す。


■2020年には世界へ向けて発信

 TENGAヘルスケアは羽田空港に近い東京・大田区の廃校跡にオフィスを移す予定だ。親会社から離れるのには意味があるという。

 「会社の一部門というよりは、新会社を設立して注力していくんだっていうのを対外的にも見せていきたい」(佐藤さん)


 医療機器としての認可も目指し、2020年には売上10億円を目標にしている。


 さらに2020年には「世界性機能学会」の大会が、日本で行われるという。同社はそのメインスポンサーのひとつになっている。オリンピック・パラリンピックが東京で開催される年を皮切りに、TENGAは世界へ向けて発信し始める。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000