日本企業・GPIFがクラスター爆弾の製造企業に投融資 その背景は

■被害者は94%が民間人

 23日、"非人道兵器"といわれるクラスター爆弾を製造している企業に対し、日本企業が投融資をしていたことが明らかになった。


 調査したオランダのNGO団体によると、米中韓の6社に対し、2013年から今年3月までに世界で166の金融機関が310億ドル、およそ3兆4000億円を投融資したとされている。このうち日本企業は「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャル・グループ」「オリックス」「第一生命」の4社で、その投融資額はあわせて20億ドル、日本円でおよそ2200億円に上るという。

 同団体に所属しているマイカ・ベネス氏は「ほとんどの犠牲者は一般市民です。製造企業への投資は許されません。兵器製造に貢献することになるからです」と話す。


 クラスター爆弾は空中で容器が開き、広範囲に無数の小型爆弾をばらまくことで、地上の人々を無差別に殺傷することから"非人道兵器"と呼ばれる。統計によれば被害者の内訳は民間人が94%、戦闘員が3%、除去作業員が3%となっており、非戦闘員の被害者が非常に多いことがわかる。


■3社は「個別の件についての回答は差し控える」

 クラスター爆弾の非人道性を訴え続けている目加田説子氏(中央大学教授、地雷廃絶日本キャンペーン・JCBL理事)によると、投下されたもののうち、数%〜30%ほどが不発弾として残り、"地雷"として民間人、とくに子どもたちを傷つけてしまっている現実があるのだという。

 2010年に発効、すでに日本を含む101カ国が批准しているクラスター爆弾禁止条約(通称・オスロ条約)では、生産、貯蔵、使用、移譲を禁止しているほか、被害者本人だけでなくその家族や地域までも対象にした支援を義務として明文化。


 目加田氏によると、オスロ条約にはクラスター爆弾製造企業への投融資をしてはならないという明確な規定はないが、28カ国で禁止、法律で禁じているのが10カ国に上るという。


 今回、日本企業が投融資をしていたのがわかった企業は「テキストロン」「オービタルATK」の2社。どちらもクラスター爆弾製造以外にも、航空機やミサイルなどを幅広く手がけるメーカーだ(テキストロン社は去年、製造中止を発表)。


 経済ジャーナリストの川口一晃氏は、「融資」となっている「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャル・グループ」の場合、クラスター爆弾製造とは別の事業に対して貸し出した可能性もあると指摘する。一方、「株式保有」の「オリックス」「第一生命」については、「第三者割当で買った場合、どの部門でもお金を使っても良いという判断をしたことになる。これだけ大きな投資額であれば、経営者も事業内容を把握しているはず」と話す。


 発表を受け、オリックスは「今後社内にて慎重に検討してまいります」とコメント、他3社は「個別の件についての回答は差し控える」としている。


■年金が兵器製造に?背景は

 今回の発表では、日本の公的年金を運用する「GPIF」も上記企業の株式を保有していることが明らかになった。


 GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、国民の年金積立金の管理・運用し、収益を挙げることで年金事業の安定を図っている。今回、問題となっている企業の株も、2015年度末時点でおよそ192万株保有しているが、実運用は委託先の金融機関に任されており、銘柄の選定も株式指数に基づいてほぼ自動的になされているのだという。

 GPIFを所管している厚生労働省の塩崎恭久大臣は会見で「政府やあるいはGPIFが特定の企業を投資対象としたり、逆に投資対象から外したりという指示はできない仕組みになっている。国民の皆さんからお預かりした大事な財産、資産でありますので、従来からこのような原則に従って、運用をしておりますので、この点は今後も守っていくべき」とコメントしている。

 目加田氏は「ノルウェーやスウェーデン、オランダは除外する企業をちゃんと選んでいる。とりわけ先進国ではESG投資と言って、環境、社会、統治に配慮した銘柄に投資していこうという動きがある」と指摘。日本でも議論がなされていくべきと訴えた。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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