発明王・エジソンに影響を受けた?“現代の魔法使い”メディアアーティスト・落合陽一「人とロボットの区別はやがてつかなくなる」

 “現代の魔法使い”と呼ばれるメディアアーティスト・落合陽一氏に注目が集まっている。生まれも育ちも東京・六本木。開成高、筑波大を経て、東京大学大学院にて博士号取得、現在は筑波大助教のほかデジタルハリウッド大学客員教授、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社代表取締役など、数々の肩書きを持っている。AbemaTV『AbemaPrime』の「2021 未来のテラピコ」のコーナーでは、落合氏の素顔に迫った。


 26歳のときに制作したのが代表作「ピクシーダスト」。直訳すると妖精の粉だが、これは四方から超音波を当てることで、発泡スチロールの粉を空中移動させる。自由自在に白い粉が空中を動き回る様子はまさに魔法のようだ。

 先月まで六本木ヒルズなどで開催されていたメディアアート展「MEDIA AMBITION TOKYO 2017」にも落合氏の作品は展示されていた。シャボン膜を超音波スピーカーで高速振動させ光を乱反射してスクリーンにする「Colloidal Display」。最新の超音波技術で音をビームのように出し、ある限られた範囲だけ音が聞こえるようになる超指向性スピーカー「ホログラフィックウィスパー」など、落合氏の作品はどれも斬新なアイデアと洗練されたデザインが組み合わさり、美しい。超指向性スピーカーを体験したスマートニュースの松浦茂樹氏も「思った以上にピンポイントで聞こえてくる」と驚きの表情をみせた。


 これまでの作品群について落合氏は「人間が人間のフィルターを通して感じるものと、人間が物質だと思う物の間に人間の形はしてないけど、人間な物がある。形は作らないけど、目に見えないもので表現したい。それに興味がある」と説明した。


 独創的な発想の原点は生まれ育った六本木にあった。港区立六本木中学校に通っていたという落合少年は電子工作やゲームが好きな少年だったという。そして六本木特有の文化について「日本語と英語、文化がぐちゃぐちゃな所。すごいお金持ちとそうでない人が一緒にいる」。相反するものが交わる面白さを学んでいった。

 また作品を生み出す上では“発明王”トーマス・エジソンに大きな影響を受けた。落合氏はエジソンについて「メディアアーティストだと思っている」「作っているものがすごく未来的でセンスが良いけど、外しているんですよ。いつも」と評す。


 エジソンが発明したもので代表的なものにスピーカーや音楽プレーヤーなどの源泉となった「蓄音機」がある。今でこそ音楽機器というイメージの蓄音機だが、エジソンは当初、なぜそれを作ったのか聞かれて「コミュニケーションのために録音するんだ」と言ったという。


 さらに、周囲から蓄音機に音楽を入れたらどうだと勧められ「音楽は蓄音機で聞かない。音楽はライブ(生演奏)で楽しむものだ」と語った。それでもエジソンの考えとは反対に、当時、蓄音機は音楽を聴く装置として世の中に普及。しかし、2017年の現代では音楽を楽しむ上で「ライブ回帰」が進むなど、エジソンの思い描いていた未来が現実となった。


「21世紀になってみると人は、音をコミュニケーションデバイスにしてスマホで通信していて、CDで音楽を聴くよりライブの方が重要だと言っている。エジソンは音が記録されてしまったら音楽の良さが失われてしまうという100年先のことがわかっていた」と落合氏。常に遠くを見据えていたエジソンに共感するという。

「映像と物質の区別はやがてつかなくなる。人と機械の区別もつかなくなる。それを“デジタルネイチャー”新しい自然と呼んでいる。どこまでが本当でどこまでが嘘で誰が機械で何が人間かもわかんない」


 AIについては「人間が今まで行ってきた莫大な無駄の排除」と解説。「例えば、学校の授業で国語は1人習えばいいのに、クラスの40人が習う。それは40倍の無駄。それをどうにかしたい。人工知能というのは、要はどう統計学的にどうやるかということ。そして、今まで我々が貯めた知見をどうやって問題解決に使うか」。来たるべき人工知能社会では「コンピュータと人間が融合した状態」で働いたり、喋ったりすることがキーワードになるという。最近になって、落合氏はこうした技術を人の暮らしに生かすにはどうしたらいいかを模索しているという。物質は現実で映像は非現実。超ハイテク技術を駆使してその境界線を消すことが魔法の秘密かもしれない。


AbemaTV/AbemaPrimeより)


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