伝説の深夜番組「虎の門」が復活!いとうせいこう「手元で観られる番組の中でダントツのものを作る」

2001年〜2008年にわたりテレビ朝日で放送された「虎の門」をご存知だろうか? 関東ローカルにも関わらず圧倒的な人気を博し、若手芸人の登竜門的存在としても知られていた番組だ。ここからブレイクしたスターは数多く存在し、まさに伝説的な深夜のバラエティ番組と言えるだろう。

そんな「虎の門」が、AbemaTV開局1周年記念の特別番組として、5月1日(月)に一夜限りの復活を果たす。これを祝し、AbemaTIMESでは今回の特番でも司会を務める、いとうせいこうにインタビューを敢行。放送への、意気込みを語ってもらった。



■すごいミュージシャンたちが集まったフリージャズセッションみたいな感じ


--今回、一夜限りの「虎の門」復活の話を受け、どう感じましたか?


いとうせいこう:当時の番組スタッフや出演者からは「なんで終わっちゃったの?」とか「今こそ、もう一度やるべき」って声が頻繁にあがってたんですよ。僕自身も前々からまたやりたいと思ってたし、復活が決まった時はすごくうれしかったですね。周りからの反応もすごかった。当時出ていた(千原)ジュニアやバカリズムも「聞きましたよ! 『虎の門』やるらしいじゃないですか」って声をかけてくれたしね。言葉にせず「俺はどうなるんですか? 出れるんですか?」って感じの雰囲気をガンガン醸しながら(笑)。当代きっての芸人たちがそう思ってくれるのはうれしいことですよ。実際にスケジュール合わせて出てくれる連中もいるわけだし。


--今まさにキャスティングの最中だそうですね(※取材当時)。具体的にどんな方々の出演を想定されてるんでしょうか?


いとう:キャスティングに関しては、やっぱり当時出てた面々を主眼にしてます。今テレビで番組を仕切っている芸人の多くは、「虎の門」に出てた面々だったりするんですよ。そんな連中が何年かぶりに集まってまたやるわけだから、気合の入り方も違います。全員の経験値やテクニックがグンとレベルアップした状態でまたやれるっていうのはすごいこと。きっと当時と同じフリをしても返しの切れ味が違うでしょうね。今だからこそできる新しい領域が見えたらいいな。まあ、それだけじゃなくて、当時小さいコーナーに出てた今は中堅と呼ばれているような芸人たちにも出演してもらうし、新たな要素も入れようと思ってますけどね。「今ならこの人入れたら面白いんじゃない?」みたいなやりとりを、スタッフとずっとしてますよ。


--実際、どんな内容になりそうですか?


いとう:そこは正直まだわからなくて。始まって全員揃った時の雰囲気を見てから、「ああ、今日はこういう感じになるのか」ってようやく感じるんだと思います。そこで生まれるのって計算不可能な楽しみなわけですよ。やってみなきゃわからないという生放送の恐ろしさもあるけど、だからこそみんな腕が鳴るんじゃないかな。腕っ扱きが集まるんだから、失敗するってことはまずないと思うし、例えるなら、すごいミュージシャンたちが集まったフリージャズセッションみたいな感じかな。そうなるとつまり、実力者を集めた上で僕がどの位できるのかってことが問われてくるんだけど(笑)。ただ、心配はしてないです。僕が1分間黙ってたって、きっと誰かが余裕で回してくれるはずだし。



■“虎の門”というか“虎の穴”


--「虎の門」って、当時どういう位置付けのどんな番組だったと思いますか? 番組のことを知らない読者もいると思うので、改めて教えてください。


いとう:放送してたのって90年代だっけ?


番組スタッフ:2001年スタートですね。


いとう:そっか。21世紀になってから始まったんだよね。最初はね、音楽アーティストのライブなんかもやってたんです。CHEMISTRYがライブやって、その後の深い時間に芸人たちがバーっと出てくるみたいな。その中でコーナー司会を僕が担当してて、当時はいかにトンがったナンセンスな企画をやるってことが使命でした。僕以外にも例えば、勝俣(州和)くんとかMEGUMIちゃんとか、たくさんのレギュラー陣がいて。それに加え、罰ゲームみたいなノリでフロアディレクターをやらされてたのがカンニング竹山。その姿はほとんど画面には映らないっていうね(笑)。あとは、コンビ名をくりぃむしちゅーに改名したばかりの上田(晋也)が「うんちく王決定戦」ってコーナーに出てたり。有田(哲平)も全然出番ないのに来てたなぁ。スタジオに来てひたすらモニターを鑑賞してるだけで、その姿が毎回必ず2秒くらいオンエアされるっていう。出番はそれだけだったね(笑)。


番組スタッフ:しかもノーギャラで(笑)。


--えっ!


番組スタッフ:逆に、「ノーギャラじゃないと俺出ません」って言ってきて(笑)。


いとう:そういうさ、なんか異様な熱気みたいなのがあったよね。そんな中で自分は何をできるのかっていう勉強と実験をすごくさせてもらった。“虎の門”というか“虎の穴”みたいなもんですよ。芸人がどういう風に場を仕切って、どうやって旋風を巻き起こしていくかっていうのを学ぶ場所でした。その上で、テレビにある色々な可能性を早い段階で試してたのが「虎の門」だったと思います。


■テレビでバカバカしい遊びがまだできた時代


--今考えると、本当に豪華な面々が出てましたよね。まさに若手の登竜門的な存在と言える、伝説的な深夜番組というか。


いとう:当時しばらく世に出てなかった板尾(創路)さんの復活も「しりとり竜王戦」っていうコーナーだったし、まだコンビでやってた頃のバカリズムを、「彼のことが好きだから出してくれ」ってゴリ押しして、キャスティングしたこともあった。僕も含め、スタッフが本当に好きなやつしか出さないっていうすごく贅沢な番組でしたね。例えば今の「アメトーーク!」とかもそうなんだけど、テレ朝だったら芸人を面白く扱ってくれるっていう信頼感って、やっぱり「虎の門」があったからこそだと思うんです。関東ローカルだったけど、とにかく変な力というか熱を持った番組だった。それまで深夜番組なんかやったこともない俺を抜擢してる時点で異常なことなんだから(笑)。でも最終的に「うんちく王」でゴールデンでの放送まで行きましたからね。ちなみに、その際の打ち合わせで「副音声が余ってるのがもったいない」って話が出たんですよ。その結果、副音声でみんなの言葉を英語とフランス語と中国語で同時通訳するっていう、わけのわかんない企画もやりました。誰も聞いてなかったと思うけどね(笑)。そういうバカバカしい遊びがまだテレビでできた時代だった。とか言いながら僕はいまだに、みうらじゅんとやってる番組で「副音サー」と名乗って、色々なものに副音声をつけるってことを一生懸命やってるわけなんだけど(笑)。


番組スタッフ:あと、テレ朝初の5.1CHもやりましたよね(笑)。しりとりの初めに流してた「いよー!」っていう声(歌舞伎の掛け声的なやつ)を5.1CHで回すっていう。


--(笑)。


いとう:本当にバカなことやってた(笑)。でもほら、テレビはそういう企画を出しながら技術を使わないと。今のテレビはどうしても「それって得になるんですか?」ってところから話が始まっちゃって、エンターテインメントまで持っていけないことが多いんですよね。「虎の門」はすごくチャレンジしてた番組だから、そりゃまぁAbemaとやるよね。挑戦することが大好きなんだもん。今まで誰もやってない形でのバカバカしいことって、まだまだあると思うんです。僕自身そういうことを考えるのが大好きだし、色々なことに挑戦して反応を見たいですね。良い意味で「なんだこれ?」と思われるようなものができたらいい。出演するやつも、撮ってるやつらもすごいんだもん。そしたら今度は配信する側の腕が問われてくるわけですよ。


■ネットで観るテレビのクオリティをどういう風に感じるか


--テレビとネット番組の違いをどのように捉えていますか?


いとう:現場で起きたものを見事に切り取るってことが、長年かけてテレビが習得したテクニックなんですよ。どういうカメラでこういうサイズ感で撮って、みたいなこともアウトプットする上で重要な要素。最終的にスイッチャーっていう人が全体的にひとつのラインにするためにカットを選んでいくんだけど、僕らはモニターを見ながら「今こっちが映ってるんだな」って判断して、発言を少しづつ変えていくみたいな一種のテレビ芸があるんです。これらは今のネットのテレビにはないことだし、言ってしまえば別にある必要もないと思うんだけどね。だけど敢えて今回それをやることで、観る人がどう感じるかっていうのは気になります。ネットで流れるテレビのクオリティを、視聴者がどう感じるのかっていう意味でも、「虎の門」はいい実験番組になるんじゃないかな。


--AbemaTVで放送するにあたって、ネットならではの“挑戦”みたいな意識ってあるんでしょうか?


いとう:Abemaは僕らにはぴったりの、すごく妥当なメディアなんじゃないかなと思ってるんです。もともと「虎の門」は、みんなが何か新しい枠を作ろうと思ってる機運の中でスタートした番組ですから。もちろん、ネット配信ならではなものもあったらいいなと思いますよ。例えば僕がラップトップをひとつ持ってたら、視聴者の意見をその場で見られるわけでしょ。実現するかどうかはさておき、放送中に「こんな意見も来てますよー」ってシェアすることもできるし。


■クリエイティブじゃない人たちの数が多くなってしまうと、結果メディアの価値が下がっちゃう


--放送終了から9年を経て、しかもそれがネットで配信されることで、以前とは異なる新たな部分も見えてきそうですよね。


いとう:ネット番組ってそれぞれの手元で観れちゃうわけでしょ。テレビの前に行かなきゃ観れなかった時代から、テレビを引き寄せて観る時代になって、観る方の態度も全然違ってきてる。でもね、テレビに比べてネットってどうしてもユーザーの年齢層が低いと思うんです。そうすると、基本的に文句言われることが多くなっちゃうんだよね。そんな状況だからこそ、どの位作り手が主導権を持って番組を作るかってことと、どこでプロっぽさを見せるかってことが、僕は大事になると思ってるんです。そういう意識が作り手にないと、絶対素人っぽい番組になってくるし、クリエイティブじゃない人たちの数が多くなってしまうと、結果メディアの価値が下がっちゃうんですよ。そうさせないやり方を僕自身、探っている状態なんです。「やっぱAbemaでやってる番組のレベルはすごいな」って言われるようにしないとダメ。手元で観られる番組の中でダントツのものを作りたいと思ってます。最強の布陣で思いっきりバカなことやるんで、ぜひ楽しみにしててください。


■ 【1周年記念特別企画】虎の門

放送日時:5月1日(月)夜9時~夜11時30分

放送チャンネル:AbemaSPECIAL2

放送URL:https://abema.tv/channels/special-plus/slots/986Xe548apWnnb

出演者(50音順):いとうせいこう / 勝俣州和 / MEGUMI / 野村真季(テレビ朝日アナウンサー) / カンニング竹山 / 蛭子能収 / 飯尾和樹(ずん) / 板尾創路(130R) / 井上聡(次長課長) / 大久保佳代子(オアシズ) / 川元文太(ダブルブッキング) / 竹若元博(バッファロー吾郎) / 千原ジュニア(千原兄弟) / バカリズム / etc…

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000