安倍政権も期待を寄せる、35歳の夕張市長の手腕

 豊かな自然に恵まれ、メロンで有名な北海道夕張市。かつては炭鉱で栄えた町だが、巨額の赤字を抱え、2007年に財政破綻。日本で唯一の「財政再生団体」の自治体としても知られている。その夕張の若きリーダーが、国政からも注目されている。


 菅官房長官が8日の会見で「これから大いに期待をしたいと思います」と述べ、高市総務大臣も「リーダーシップに心から期待を申し上げます」とコメントしたのが、鈴木直道市長、35歳。高校卒業後、東京都に入庁。働きながら大学の夜間課程で地方自治を学んだ。2008年に夕張市に派遣され、その後退職、2011年の夕張市長選挙で初当選。30歳の"最年少市長"として話題を呼んだ。若き市長を待っていたのは、353億円という巨額の財政赤字だった。

 鈴木市長はインタビューで「抱えた借金が多すぎたのです。夕張は「標準財政規模」という1年間で使うお金の約8倍の借金を抱えて倒産した」と説明する。


 夕張市は当時、年間8億円の税収に対し、26億円の借金を返済しなければならない状況にあった。 断行したのは徹底したコスト削減。図書館などの公共施設を廃止、各種団体に対する補助金を全てカット。さらに市民税や下水道代を引き上げるなど、市民にも負担を求めた。このことから"全国最低の行政サービス"、"全国最高の市民負担"とも揶揄された。


 この不可能ともいえる状況下でも、鈴木市長には再生の道が見えていたという。夕張再生のシンボルにしようと盛り上げてきた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」だ。今年も俳優の斎藤工さん、足立梨花さんらが参加するこの国際的映画祭への手応えも、その一つだったという。


 市民は鈴木市長の改革をどう思っているのだろうか。

  • 「若いけど本当に良くやる。頑張り屋だ。私、大好きよ」
  • 「やっぱりすごいんじゃないですか。あれだけ北海道、国と渡り合って、これだけのことを進めていけるということは」
  • 「他の町と比べるとまだ足りない部分はあるけど、市長だけでなく、市民皆さんが頑張っているのでいいんじゃないかなと」
  • 「これからもできれば長くやってもらいたい」

 と、なかなか好意的だ。

 自らを含む行政側にもメスを入れたこともその理由の一つだろう。市長報酬を70%カットし、月額給与は25万9千円。退職金も100%カットした。300人以上いた職員を100人にまで削減し、18人いた市議会議員は半数の9人に減らした。職員、議員ともに給与は40%カットした。


 目下の課題は、若者の流出と高齢化だ。住民への大きな負担により、多くの若者が市外に流出してしまったのだ。残った市民の高齢化も進み、人口の約半数は65歳以上。そこで10年目の節目でもある今年、財政再建だけではなく、地域再生にも乗り出した。

 今月には北海道日本ハムファイターズの激励会を訪れ、大谷翔平選手らとともに夕張市などを舞台にした映画『幸福の黄色いハンカチ』をモチーフにした"夕張カラー"のユニフォームを発表した。ユニフォームは選手たちが4月限定で着用、レプリカの販売収益の一部は夕張市に寄付される。


 この他、メタンガスの試験採取の実施、旧炭鉱住宅を再利用した若者向け滞在型観光施設のオープン、若者や子育て家庭が格安で住める住宅の建設など、今後10年で総額113億円、46の新規事業を実施する予定だ。


 博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏は「人口増加率1位の富山県舟橋村は、若者をいっぱい呼んで成功させた。図書館を作れば子育て世代が来てくれると、村の予算13億円のうち10億円をかけて立派な図書館を作った。夕張も若者を呼び込むという意味で、一点突破して欲しいなと思う」と話す。

 鈴木市長は夕張市の未来について「生活の質が上がり、幸せの実感、幸福度ですね。そういうものを上げることが大事。例えば10年後、20年後に夕張の人口が減ったとしても、そこに残ってくださった方の5割ぐらいが夕張に残って良かったと言って頂ければ辛うじて合格点かなと」と語る。


 夕張のため、財政再建と地域再生という2つの課題解決に奮闘する若き鈴木市長。今後の活躍に全国から注目が集まりそうだ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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