「全国の書店員さんに支えられた」――私小説『夫のちんぽが入らない』誕生秘話(後編)

 前編では、『夫のちんぽが入らない』作者のこだまさんと編集担当の高石智一さんに「作品誕生のきっかけ」や「制作時の苦労」について語ってもらった。後編では「本が出た後の反響」や「次回作の構想」について聞いた。

【前編】誰も賛同しなかったタイトル――私小説『夫のちんぽが入らない』誕生秘話


◆『夫のちんぽが入らない』は書店員さんたちの応援のたまもの

--発売直前まで「タイトルを差し替える話」もあったそうですが、本が発売するまでずっと不安でした?


こだま:タイトルが差し替えられるかもしれないと聞き、もしそうなったら本を読んでくれる人がどれくらいいるのか不安に思っていました。そんな中、全国の書店員さんたちの感想に励まされました。


高石:本の発売前に、販売部がゲラ読みを希望する書店に『夫のちんぽが入らない』のプルーフを送って、感想を集めたんです。


こだま:書店員さんたちから「絶対に、タイトルは変えずに発売してください」「ただただ2人のちんぽが入らない関係性に胸を打たれています」といった感想をもらったときはうれしかったですね。本を販売してくださる側の書店員さんたちがタイトルに嫌悪感を持たれるんじゃないか、すごく心配でしたから。


高石:熱い感想には本当に胸を打たれました。


こだま:書店員さんたちのおかげで「(この本は)出版に足るものなんだ」と自信がつきました。


--2017年1月18日に本が発売すると、瞬く間に話題になりました。1月22日~1月28日のAmazonの文芸書売り上げランキングでは、まさかの村上春樹の新作を抜いてしまうという。


こだま:びっくりしました。


高石:直木賞や芥川賞の受賞作品のとなりに『夫のちんぽが入らない』が陳列されている書店もありました。不思議な光景でした。


こだま:私は普段本屋がないような田舎に住んでいるので、ネットで読者の感想を見ているときだけ本を出した感触があります。


--こだまさんはTwitterをやられていますが、直接読者からの感想を受け取ることもあるのでは?


こだま:そうですね。自分と同様の悩みを持つ女性たちや、すごく夫婦関係に悩んでいる人たちから「本を読んで、つらさを紛らわすことができた」「気持ちが軽くなった」などのメッセージをいただくようになりました。


◆次回作の題材は「けんちゃん」

--現在の発行部数が13万部。読者から「もっとこだまさんの文章が読みたい」といった要望もあると思います。次回作の予定はありますか?


高石:次回作についてはもう、こだまさんと話しています。


こだま:同人誌やブログに書いた「けんちゃん」を書籍にできたらと思っています。


--それはどんな内容でしょうか?


こだま:教師をやめた後、私はある障害者施設の職員として働いていました。「けんちゃん」はそこで出会った不思議な少年です。彼はすごく心が優しくて、独創的な世界を持っています。そんな彼との交流をもとにした話を書いてみたい。


高石:毎回本を作り終えた後、僕はすごく寂しい気持ちになるんです。本が世に出るということは、世間的には“始まる”ことかもしれないですけど、編集者からすると“終わる”ことなので。「けんちゃん」が、『夫のちんぽが入らない』を送り出した後の寂しさを埋めてくれる気がしています。


こだま:私も高石さんとまたおもしろいものを作れたら嬉しいです。


高石:ふたりでちんぽを超えていきたいです(笑)。


▼ こだま

主婦。2014年、同人誌即売会「文学フリマ」に参加し、『なし水』に寄稿した短編『夫のちんぽが入らない』が大きな話題となる。2015年、同じく「文学フリマ」で頒布したブログ本『塩で揉む』は異例の大行列を生んだ。現在、『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』で連載中。短編『夫のちんぽが入らない』が、初の著書になる。


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