当局が作り上げた“偽装生活” 北朝鮮に肉薄したドキュメンタリー

 北朝鮮を舞台にしたある映画「太陽の下で」が話題を呼んでいる。


 世界20都市で公開され、日本でも始まった映画「太陽の下で」。ロシア人監督が2年間交渉し、1年間の撮影が許されたドキュメンタリー映画だ。そこに映し出されていたのは北朝鮮の庶民の生活。しかし、普通の家庭の会話に1人の男が割って入る。男は「前半のセリフが長いからもっと短くしよう。大笑いする場面が欲しいんだ」と演出を始める。主人公の家族は実際に存在しており、役者ではない。しかし、家族が住んでいる住宅も用意されたもので、実際に住んでいる所ではない。実は北朝鮮当局によって作られた”理想的な生活”だったのだ。

 当局の介入を嫌った監督は真実を暴くことに目的を切り替え、カメラの録画スイッチを入れたまま隠し撮りを敢行。検閲を受ける前にフィルムを国外に持ち出し、映画を完成させた。


 金正恩委員長のもと、北朝鮮が隠そうとしていた“庶民の生活”とはどういったものなのだろうか。北朝鮮取材歴25年のアジアプレス大阪代表・石丸次郎氏は「外国人が北朝鮮に入っても一般庶民の暮らしを見ることはできない。『太陽の下で』ではドキュメンタリーを撮りに行ったけれど、シナリオは(当局が)準備している。演出まで始める」と語る。


 なぜ北朝鮮は演出、撮影をさせたのだろうか。石丸氏はその背景を「他の国に比べて、少し遅れているという姿は、北朝鮮の今の統治システムの中ではあってはならない、あるいは見せてはならないこと」と話す。

 庶民の生活を見せられない理由について石丸氏は「理由は2つ。朝鮮半島は分断国家ですから、競争相手である韓国よりも“自分たちがすばらしい”“優れた社会である”ということをアピールしないといけない。韓国に負けていてはダメだと。もう1つ、北朝鮮は“唯一領導体系”の国だということ。リーダーの導きによってすばらしい社会を作って、みんながリーダーを慕い、忠誠を尽くす一致団結した国」と解説した。


 デイリーNK東京支局長の高英起氏は「映画を撮ったのがいわゆる西側の方ではなく、プロパガンダが分かっているロシアの方が撮ったからこういうものが撮れた」「プロパガンダをそのまま撮ることによってプロパガンダを浮かび上がらせる逆説的な手法」とコメントした。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

※ 訂正:番組動画につきまして、放送では「領土体系」と記載しておりますが、「領導体系」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


(C)AbemaTV


続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000