今、韓国では左派が人気? 韓国大統領選の候補者たちと北朝鮮の”気になる関係”

■"反日"を訴えることが手っ取り早い支持率回復策に…

 韓国の朴槿恵大統領に対する弾劾に伴い、5月にも行われると言われている次期大統領選。野党に対抗する有力候補として期待されていた潘基文前国連事務総長が出馬を急きょ断念、現時点で出馬に意欲を見せている主な候補者は以下の通りだ。


・文在寅(ムン・ジェイン)最大野党「共に民主党」元代表。

・安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事。

・李在明(イ・ジェミョン)城南市長。

・安哲秀(アン・チョルス)野党「国民の党」元共同代表


 複数の現地メディアによると、釜山のいわゆる「慰安婦像」については全員が「維持」を主張。昨年の「日韓合意」についても、再交渉や再検討、無効化が彼らの主張で、候補者たちの対日姿勢は揃って厳しいものと言える。

 日本にとってはもう1つ、気になる部分がある。それは北朝鮮との関係だ。


 現在、支持率トップを走る文氏は、一部報道によると盧武鉉大統領の秘書室長だった2007年、国連での北朝鮮に対する人権決議案の採決前に北朝鮮側に意見を求め、その結果、韓国は決議を棄権したのだという。


 また支持率2位の安煕正氏は、同じく大統領側近時代の2007年に北朝鮮の経済団体と接触していた疑惑が報じられている。


 次期大統領候補についてジャーナリストの崔碩栄氏は「朴槿恵大統領との選挙の時に僅差で負けたが、その時も支持率は48%くらいあった。一番リードしているのは文在寅さん」と話すのは、「(候補者たちには)反日が前提にあるとし、日本と仲良くしたいと言ったら支持率は落ちると思う」と指摘した。


 北朝鮮に詳しいデイリーNK編集長の高英起氏も「本命は文さん」としつつも、その周辺には過激な人物がいることに対する懸念を示す。「安煕正は左派にカテゴライズされる人物だが、北朝鮮問題にしろ安保問題にしろ、比較的現実的な方で右派の方からもそれなりの評価を受けている人物」と、安氏の可能性も示唆した。


 高氏も候補者たちの対日姿勢について「反日と訴えることが手っ取り早い支持率回復」とした上で、慰安婦問題においてもアメリカが仲を取り持ったという事実があるのに、アメリカについては一切批判しないことなどを挙げ「日本が舐められている。(政府の動きに)乗ってしまう韓国人も問題」と話した。

■なぜ今、韓国で左派が人気なのか?

 「共に民主党」、「国民の党」は共に左派だ。なぜ今、韓国で左派が人気なのか。


 崔氏は「韓国では"左派"というよりも"進歩派"と言う。前に進むという意味が、若者には格好良く見える。その逆の保守は古く見えて人気ではない」と話す。高氏も「左派は若々しく前向きなイメージ、保守は頑固で内向きなイメージを若者は抱いている」と説明した。


 1987年の民主化以降、教科書などが変わったことも影響しているという。


「私の頃は、北朝鮮は倒さなければならない敵だという教育を受けたが、今の若者たちは『仲良くしなければならない。同じ民族だ』ということが強調されている。その一方で昔より反日心は強くなっている」(崔氏)。


■朴政権反対デモに紛れ込んでいた「李石基」氏の解放運動

 朴政権に対する抗議デモの中に見られた、「李石基(イソッキ)議員釈放の署名運動」「李石基議員に自由を」という言葉。


 李石基氏とは、左派の少数野党「統合進歩党」の議員だった人物。現地メディアによると、北朝鮮の革命路線に追従し、韓国の体制転覆を謀議したとして2013年に逮捕され、「統合進歩党」も翌年解散させられている。


 つまり、北朝鮮の思想に近い政党や、李元議員への釈放を求めている市民グループが朴政権反対のデモに紛れ込んで活動していたということになる。


 韓国の中でのこうした動きは、1997年に大統領に就任した金大中氏による対北朝鮮政策「太陽政策」の影響が大きいという。南北2国間の緊張緩和を進め、2000年には歴史的な南北首脳会談を実現させたものだ。


 この路線は、次の盧武鉉政権にも引き継がれ、「祖国統一」というキーワードで若者にアピールし支持を得たという。しかしその後、南北関係は盧武鉉政権から李明博政権に入ってから一気に冷え込んで行く。今、韓国の有権者たちは、北朝鮮に近い政府ができるということに関してどう考えているのだろうか。


 崔氏は「一般の韓国人レベルだと、ある程度の血の繋がりがあるため、親近感を持てる。ただ、80年代までは反共産主義が強く、その世代と朝鮮戦争の記憶がある60代以上の方たちは今も反感がある」としながらも、「まだ南北統一の可能性は低い。統一されるとすれば、北朝鮮の民主化によってか、もしくは今の北朝鮮政権が崩壊して統一されるか、その二つしか韓国人の頭にはない」とした。

 高氏も「今でも戦争状態。それを忘れてはならない。北朝鮮に対して厳しく臨みながらもリスクは抑えるという現実的な思考がついているわけで、必ずしも北朝鮮がいいから彼らが親北とか宥和政策をやっているというわけではないことはキチッと押さえておく必要がある」とし、候補者たちのような人物が大統領に就任した場合に「北朝鮮がちょっとミサイルを撃つそぶりを見せたら"ちょっと待ってくれ。話し合おう"となるだろう。それこそが北朝鮮の狙いではないか」と指摘した。

AbemaTV/AbemaPrimeより)

(C)AbemaTV

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