生活保護費をパチンコ、競輪などギャンブルに使うことは是か非か

 去年12月、日本維新の会が生活保護受給者のギャンブルを禁止する7本の法案を参議院に提出した。会見で日本維新の会参議院議員の藤巻健史氏は以下のように話している。


 「他の方のおカネでギャンブルをするのはやはりちょっとまずいのではないかという趣旨でこういう法案を作った」


 この法案は生活保護受給者のパチンコ、競輪、競馬、サッカーくじなどの購入を禁じるものである。また千葉県四街道市の市役所には窓口に「生活保護受給者の皆様へ」と題した、生活保護をギャンブルや過度な飲酒などに充てることは好ましくないとする文書が貼られていたという。その中にはこのような一文も。「生活の維持向上のために生活保護費の適正な支出がみられない場合は、停止や廃止といった措置を講じなければならない場合もあります」(現在は撤去)


 2013年には兵庫県小野市である条例が可決された。いわゆる生活保護受給者“見守り”条例だ。小野市の蓬莱務市長が「福祉給付制度の信頼確保と受給者の自立した生活を支援することを目的とするものである」と説明するこの法案は、生活保護の給付金をギャンブルに浪費することを禁じ、生活に支障が出ている人を見つけた場合、市への通報を義務付けるというものである。


 「『あの方は生活保護を受けているらしいが、あの生活態度はおかしいね。』ということについて、税金が投入されていることにもっと市民も住民も多くの人が関心を持つことからやっていかなければならない」と蓬莱市長はこの法案制定に踏み切った自身の考えを述べる。


 また大分県別府市では生活保護の受給開始時にこのような誓約書の提出を求めた。「パチンコ、競輪、遊技場に立ち入った場合は生活保護を廃止されても異存はありません」。別府市では職員がパチンコ店や競輪場を見回り調査し、過去にも指導を受けていた9人の支給を打ち切っている。これに対し別府市の長野恭紘市長は「どこかで線を引かないと、1回言っても2回言っても3回言ってもダメな人はどうするかと言われたら、厳しい処置をしないと」と話す。しかしながら九州の弁護士は「支給停止は違法」として処分取り消しを求め、去年4月大分県の指導によって廃止されている。

 今の日本の生活保護受給者数は約217万人、生活保護費は3兆8180億円(2015年厚生労働省発表)となっている。生活保護費をギャンブルに使うことは是か非か。「提出した法案は我々(日本維新の会)の中で唐突に出て来たものではなく、ずっと現場、市町村、日本中で続いてきた話」と話すのは日本維新の会政調副会長の足立康史氏。小野市では現在も条例が続いている一方で別府市は指導によって止めさせられている点を踏まえて「その議論を現場に任せるだけではなく、しっかりと国会でも議論していこうということで」国会に提出したと説明する。


 また生活保護法第60条の「(被保護者は)支出の節約を図り生活の維持及び向上に努めなければならない」という規定は別府市のケースを想定していないと足立氏は語る。その上で「今の現行法だけではなくて、本当にどうあるべきなのかを議論していくべきだという問題提起」だと述べた。


 「生活保護の元になっている」として憲法25条「全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を挙げるのは元日弁連会長で多重債務問題に詳しい弁護士の宇都宮健児氏。「これを具体化したのが生活保護」とし、「これは基本的人権であるので、国家のお恵みとか恩恵ではない。生活に困窮した場合は生活保護を利用する権利を国民は持っているということ。受け取ったお金はどういう風に使うかは基本的に個人の裁量に任されているためそれを国家がいちいち干渉するのは問題である」と述べた。

 さらに生活保護法27条では「行政の方は一定の指導はできるが最終的には被保護者の意に反して強制してはならない」となっていることについて言及し、「小野市の条例は憲法違反の条例であるし、別府などの措置も行き過ぎであると考えている」と述べた。


 「本当に社会の競争からはみ出してしまった方に生活保護を与えたい、救済したい、文化的な生活を営んで欲しいという考えはあるが、ギャンブルはお酒などと決定的に違う点がある」とコラムニストの吉木誉絵氏は述べ、「それは負けたら借金をするということ。負けたらもっともっと生活が悪くなるということ。そういった方達のためにむしろ入場規制するくらいのことをすることで救済するという方法もあると思う」と自身の考えを明らかに語った。


 実際にどのような形で受給者と受給者以外を区別するのか。これに対し足立氏は「生活保護のお金をプリベイドカードみたいな形でお配りをして、人がある程度チェックできるような形をトライアルでやるなど。いろいろな取り組みが今後必要になってくると思う」と述べた。


 「生活保護自体は非常に重要な制度」と語る足立氏。「ところが不正受給やギャンブルが通報やマスコミで広まって、生活保護制度全体に対するある種の歪んだ批判が高まっている。これを放置すると生活保護制度自体が崩れてしまう」とのことだ。


 「生活保護利用者が裁量でお金を使う権利があるにしても、やはり自分の生活を苦しめていくのは間違いない」と前置きし、「私の考え方は、本来ギャンブルは刑法で賭博罪で禁止されている。禁止されていることを合法化している社会自体が問題ではないか」とした上で、「生活保護利用者だけをとりわけ禁止するのは差別や偏見を煽ることになる。ギャンブルが問題であれば、ギャンブルそのものを禁止すべき」と述べた。


 この意見に同調し「パチンコが賭博じゃないということがそもそもおかしい」と述べるのは吉木氏。「ギャンブルに依存しないように行政側・国が、ちゃんと規制したりとか、救済措置を業者に責任もってやらせるとかそういったことを議論しないといけないと思う」と述べた。


 生活保護とギャンブルなどその使い道の是非。法律的解決が必要なのか。その動向に目が離せない。(AbemaNewsチャンネル/みのもんたのよるバズ!より)

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