「気仙沼に女性雇用の受け皿を」 藍染め工房を立ち上げ奮闘する子育て女性

 宮城県・気仙沼市にある「藍工房OCEAN BLUE」は、天然染料・手染めにこだわり、日本の伝統文化である藍染め商品を生み出す小さな工房だ。


 生地をアルカリ性の藍の染料に浸し、空気に触れさせて酸化させることで着色するという、伝統的な藍染めの技法。染料に浸す回数やその日の藍の状態によって色が変化してしまうため、非常に繊細な作業が必要になる。一つとして同じものがないという藍染めは、海の青をそのまま布に写したような美しさだ。

 代表を務める藤村さやかさんの生まれはアメリカ、震災の時は東京に住んでいた。3年前に気仙沼に嫁ぎ、一昨年、工房をオープンさせた。なぜ、気仙沼の地で藍染めの工房を始めるに至ったのか。藤村さんは「一番は、東日本大震災で津波が襲った地だということ。私自身は東京に住んでいたのですが、海に翻弄される船の映像というのが今でも頭の中に染み付いています。気仙沼は良い意味でも悪い意味でも"海"というイメージを世界中の人に持たれていると思うので、"気仙沼=海=ブルー"というのは、自然と想起しやすい商品になると思った」と話す。

「100年前に日本に根付いた産業なので、おそらく100年後もあるであろう産業。自分たちで工夫して考えて商品を考えれば、活路を見いだせるのではないかと思った」。震災によって津波の被害に遭った気仙沼。一方で、生活からは切り離せない、大切な海。そんな海の青を"気仙沼ブルー"としてブランド化したいと藤村さんは話す。


 藤村さんが気仙沼で藍工房を始めたのには、もう一つの目的がある。それは、この気仙沼をはじめ、地方が抱える「女性の雇用」の問題だ。藤村さんによると「もともと漁師町で、男の人が活躍する街。そもそも女性が選べる職種は田舎なのであまりなかった」という。賃金格差もかなり大きく、小学生以下の子供がいる世帯に絞ると、気仙沼の平均収入は宮城県全体よりも約9万円低く、仙台と比較すると約11万円も低いという。

 今年から施行された「改正男女雇用機会均等法」や「育児介護休業法」など、国全体で働く女性への後押しが進んでいるかのようにみえるが、地方での実態は必ずしも進んでいるとは言い難い。気仙沼で働く女性は「(職場の選択肢は)そんなに多くないですね。飲食店中心に漁業で栄えているんですけど」と話す。


 国税庁の調査では、男女別の平均給与の差はここ30年でまったく埋まっておらず、3年前のデータでもおよそ240万円の差が生じていることが分かっている。

 育児の面からも、女性の働きにくさはある。藤村さん自身、2才の息子を持つ母親だ。「保育所に申請してみたんですけど、田舎は田舎で若者不足なので、保育所があっても保育士不足なんです。仕事をしながら子育てをしていくっていうのがちょっと難しくて」。


 東京でバリバリ働き、そして、気仙沼に移り住んだことで痛感した、地方での女性の働きづらさ。こうした経験をもとに一念発起、藍染め工房をスタートさせ、「子どもを持つ女性でも働きやすい職場を」と、様々な取り組みを行ってきた。


「商品力を高めていくことによって、きちんとお金が回るようになって、地元のお母さんたちや私のように他所からきた人がみんな混ざって商品作りをしていく。それが気仙沼の新しい目になっていければと思う」。藤村さんを突き動かすのは「気仙沼に女性雇用の受け皿を作りたい」という熱い想いだ。


「もともと港町の気仙沼は、太平洋に開かれていて、新しいものを受け入れてくれる土壌があると思う」と藤村さん。気仙沼で始めた新しい挑戦。地方の「女性の雇用」に改革をもたらすべく、藍工房OCEAN BLUEは美しく藍を染め上げる。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

(C)AbemaTV

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