"本物そっくりな裸の女児CG"に二審判決 児童ポルノ問題、「タナー法」での判断に課題も

 実在の少女の裸の写真をもとに本物そっくりに描かれた画像が「児童ポルノ」にあたるとして初めて摘発された事件で、東京高裁は24日、懲役1年・執行猶予3年、罰金30万円とした一審判決を破棄し、罰金30万円のみという判決を言い渡した。


 今回の裁判の争点は、現行法で処罰の対象とされている「実在する児童の裸」がCGによって表現された場合にも適用できるか否かだった。被告であるグラフィックデザイナー側は「画像は写真を参考に作成したオリジナルの作品で、実在の少女ではない」などとして無罪を主張していたのに対し、一審では34点のCG画像のうち3点について実在する少女の写真との同一性を認め、児童ポルノに当たると判断していた。


 24日の判決で東京高裁の朝山芳史裁判長は、画像3点が児童ポルノにあたるという一審判決を支持し、写真から"少女の年齢は18歳未満である"と結論付けた専門家の推定についても「十分な科学的裏付けがある」という判断を示した。その上で、「制作に使った写真は古く、少女への具体的な権利侵害は想定されず、違法性は高くない」として、罰金刑にとどまると結論付けた。判決後に会見した弁護団の山口貴士弁護士は「児童ポルノ禁止法の保護法益に社会的な公益をも盛り込んでしまった」「芸術活動に対して配慮が全くない」などとして疑問を呈した。


 児童ポルノ禁止法に詳しい徳永祐一弁護士は「現行法は本人の保護を目的にしており、実在する児童を描写した場合に有罪になる。ただ、その手段は限定されておらず、写真でもCGでも『実在した』児童を模写したという事実があれば有罪になるという理屈」と解説する。


 では、児童ポルノにあたるかどうかの明確な判断基準はあるのだろうか。徳永弁護士は「明確な定義がある」と話す。"実在"する"18歳未満"の児童のわいせつな姿を"視覚"で捉えることができる形で模写したものであることが条件だ。つまり、アニメーションであっても、実在する児童を模写したと立証できれば児童ポルノにあたるし、また児童の声が吹き込まれているものであっても、視覚で見ることが出来ないのであれば児童ポルノにはあたらないということだ。

 さらに、判断にあたっては、「タナー法」という、海外でも用いられている「児童性」を立証する方法が採用されている。これはイギリスの小児科医で子どもの成長や性的発達の研究をしていたジェームス・タナーが1962年に発表したもので、身体の成長度合いをもとにした判断基準だ。陰部の大きさの変化や発毛、女児であれば乳房のふくらみ・乳輪の大きさなどを5段階で判断、子どもの状態を1度としたとき、5度なら成人女性の可能性が高いということになる。


 ただ、体型には個人差があることから、タナー法で18歳以上の女性が女児と判断されるケースもあり、これだけを指標とすることには疑問視する声もあがっている。徳永弁護士も「見た目での判断なので限界があり、従来のようにタナー法では通用しなくなってきている」と指摘、タナー法はあくまでも一つの指標とし「肩幅、顔つきなどを合わせて詳しく検討すれば精度があがっていくのではないか」とした。

 

 弁護団が上告する意向を示している今回の裁判。今後も児童ポルノをめぐる議論や法規制のありかたに疑問を投げかけていきそうだ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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